更新日:2024年12月14日 (土)

公開日:2024年12月14日 (土)

内縁の妻は年金を受け取れるか?遺族年金の受給要件を解説

内縁の妻は年金を受け取れるか?遺族年金の受給要件を解説 内縁の妻は年金を受け取れるか?遺族年金の受給要件を解説

サマリー

内縁関係にあった夫が亡くなったら、遺族年金を受け取れるのか気になる人が多いと思います。

この記事では、内縁の妻は遺族年金を受け取れるのかどうか、受給要件等について解説します。

内縁の妻に相続権はないが年金を受け取れる場合がある

内縁の妻に相続権はありませんが、夫が亡くなったときに一定の要件を満たしている場合は、年金や一時金等を受け取れることがあります。

内縁の妻が年金をもらうための要件

内縁の妻が年金や一時金等を受け取るには、以下2つの要件が認定される必要があります。

  1. ①事実婚関係にあったこと
  2. ②生計維持・生計同一関係にあったこと

①事実婚関係の認定要件

事実婚関係の認定要件は2つあります。

  • 当事者間に夫婦共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること
  • 当事者間に夫婦共同生活と認められる事実関係が存在すること

つまり、法律上の婚姻関係にはないものの、共に婚姻する意思を持って、夫婦としての共同生活を営んでいたことが必要です。

当事者間に夫婦共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること

内縁の妻が事実婚関係にあった者と認められるためには、お互いが婚姻の意思を持って法律婚の夫婦と同様の共同生活と認められるような関係を成立させようとする合意があったことが必要です。

例えば、以下のような事実があれば事実婚関係にあったと認められる可能性があります。

  • お互いの両親や親族が夫婦として認識している
  • 結婚式を挙げている
  • 2人の間に子どもがいて夫が認知している
  • 住民票が同一世帯になっている
  • どちらか一方の社会保険に扶養者として入っている

事実婚関係の認定要件を満たす場合でも、その内縁関係が反倫理的な内縁関係(近親者間・直系婚族間・養親子等間等の内縁関係)である場合は、事実婚関係にある者とは認められません。

重婚的内縁関係の場合は、届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者が事実婚関係にある者と認められます。

当事者間に夫婦共同生活と認められる事実関係が存在すること

内縁の妻が事実婚関係にあった者と認められるためには、共同生活をした実態がなければいけません。

一般的には、一定期間同居していること等が判断要素となりますが、同居期間が短い場合でも、将来において婚姻する意思を持って夫婦としての共同生活を営んでいる事情やその程度によって、事実婚関係が認められるケースもあります。

②生計維持・生計同一関係にあったこと

内縁の妻が年金や一時金を受け取るためには、事実婚関係の認定だけでなく、生計維持関係または生計同一関係の認定を受ける必要があります。

例えば、遺族年金や寡婦年金を受け取るためには、夫が死亡したときに、夫によって生計を維持されていたことが必要です(生計維持関係)。未支給年金や死亡一時金を受け取るためには、亡くなった方と内縁の妻が生計を同じくしていたことが必要です(生計同一関係)。

生計同一関係にあると認められるためには、以下のいずれかの要件が必要です。

  • 住民票上同一世帯に属している
  • 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一である
  • 住所が住民票上異なっているが、現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められる

生計維持関係にあると認められるためには、上記の生計同一要件に加え、収入要件を満たさなければなりません。

  • 前年の収入が年額850万円未満であること
  • 前年の所得が年額655万5,000円未満であること
  • 一時的な所得があるときは、一時的な所得を除いた後、前年の収入が年額850万円未満または前年の所得が年額655万5,000円未満であること
  • 上記①~③の要件に該当しないが、定年退職等の事情により、近い将来(おおむね5年以内)に収入が年額850万円未満または所得が年額655万5,000円未満となると認められること

いずれの要件も、前年の収入が確定していない場合は、前々年の収入で判断します。

内縁関係を証明する書類

内縁関係および生計維持・同一関係を証明する書類として、厚生労働省は、以下のような書類を挙げています。

健康保険被保険者証の写し

内縁関係でも夫の社会保険等の扶養に入れるので、扶養に入っていたら健康保険被保険者証の写しが内縁関係を証明する書類として有効です。

扶養手当支給の記載がある給与明細

夫の勤務先から扶養手当を受給していたら、その記載がある給与明細を提出しましょう。夫が妻を配偶者として認めていた証となるからです。給与明細の他に、源泉徴収票や課税台帳の写しも税法上扶養家族として扱われていたことを裏付ける書類として有効です。

結婚式場等の証明書や挙式・披露宴等の実施を証する書類

挙式や結婚披露宴などが最近(1年以内)に行われている場合は、結婚式場等の証明書、挙式・披露宴の実施を証する書類を提出しましょう。

葬儀で喪主を務めたことが分かる証明書

夫の葬儀で喪主を務めた場合、会葬御礼等を提出しましょう。喪主を務めるのは、社会通念上配偶者と同等の地位がなければ親族から同意が得られないため、内縁関係にあったことを証明しやすくなります。

賃貸契約書の写し

賃貸物件に住んでいたら、賃貸契約書の写しで内縁関係を証明できる可能性があります。契約書の同居人欄に内縁の妻と記載があれば、内縁関係を証明できる可能性が高いです。

生命保険の保険証の写し

夫の保険金の受取人になっていた場合、生命保険の保険証の写しで内縁関係を証明できる可能性があります。

参考:生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

内縁の妻は要件を満たせば遺族年金の受給ができる

内縁の妻は、要件を満たせば遺族年金の受給ができます。どのような要件があるのか、必要書類について以下で解説します。

遺族年金を受け取るための要件

遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。

それぞれ受け取るための要件が異なりますので、以下で説明します。

遺族基礎年金の受給要件

遺族基礎年金は、以下の1~4のいずれかの要件を満たしている人が亡くなった場合、遺族に支給されます。

1. 国民年金の被保険者である間に死亡している

2. 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所があった人が死亡したとき

3. 老齢基礎年金の受給権者が死亡したとき

4. 老齢基礎年金の受給資格を満たした人が死亡したとき

遺族基礎年金の受給対象者は、以下のとおりです。

  • 亡くなった人に生計を維持されていた子のある配偶者
  • 子(18歳になった年度の3月31日までにある人、もしくは障害年金の障害等級1級または2級の状態にある20歳未満の人)

子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません。

遺族厚生年金の受給要件

遺族厚生年金は、以下の1~5のいずれか要件を満たしている人が亡くなった場合、遺族に支給されます。

1. 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき

2. 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき

3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている人が死亡したとき

4. 老齢厚生年金の受給権者であった人が死亡したとき

5. 老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき

遺族厚生年金の受給対象者は、亡くなった人に生計を維持されていた遺族のうち優先順位が高い人が受給できます。以下は優先順位の高い順となります。

1. 子のある配偶者

2. 子(18歳になった年度の3月31日までにある人、もしくは障害年金の障害等級1級または2級の状態にある20歳未満の人)

3. 子のない配偶者

4. 父母

5. 孫(18歳になった年度の3月31日までにある人、もしくは障害年金の障害等級1級または2級の状態にある20歳未満の人)

6. 祖父母

なお、子のある妻が遺族厚生年金を受け取っている間は、子には遺族厚生年金は支給されません。子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給できます。

遺族年金を受け取るための必要書類

内縁の妻が遺族年金を受け取るために必要な書類は以下のとおりです。

  • 年金請求書(日本年金機構の公式サイトからダウンロード可)
  • 亡くなった人と請求者の基礎年金番号がわかる書類(基礎年金番号通知書、年金手帳等)
  • 亡くなった人と請求者の戸籍謄本
  • 続柄・変更事項のあるもの
  • 請求者の住民票(世帯全員・本籍地・続柄の記載のあるもの)
  • 亡くなった人の住民票の除票
  • 請求者の収入がわかるもの(所得証明書、源泉徴収票等)※
  • 子の収入がわかるもの(義務教育終了前は不要/高校在学中の場合は在学証明書または学生証のコピー等)※
  • 亡くなった人の死亡診断書のコピー
  • 請求者の名義となる口座の通帳
  • 事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書(日本年金機構の公式サイトからダウンロード可)
  • 内縁関係を証明する書類

※請求者および子の収入関係書類は、年金請求書にマイナンバーを記入することで、添付を省略できます。

その他、状況によって追加書類の提出を求められることがあります。

参照:申請・届出様式(年金等の受け取り)|日本年金機構

内縁の妻は死亡一時金または寡婦年金の支給対象になる

遺族基礎年金の受給要件を満たさない場合でも、内縁の妻は死亡一時金もしくは寡婦年金のいずれかを受給できる場合があります。両方の受給権を満たす場合は、いずれか一方を選択して受給します。以下でそれぞれ解説します。

死亡一時金の受給要件と必要書類

死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めていた人が、何らの給付も受けることなく亡くなった場合に、遺族が受け取れる給付金です。

受給要件

死亡一時金の受給要件は以下のとおりです。

  • 死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月あること
  • 老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取ることなく亡くなったこと

受給要件を満たした人と生計を同じくしていた以下の遺族のうち、優先順位の高い人が受けられます。

1.  配偶者

2. 子

3. 父母

4. 孫

5. 祖父母

6. 兄弟姉妹

必要書類

死亡一時金を受け取るには、夫の死亡日の翌日から2年以内に、以下の書類を年金事務所に提出しなければいけません。

  • 国民年金死亡一時金請求書(日本年金機構の公式サイトからダウンロード可)
  • 亡くなった人の基礎年金番号がわかるもの(基礎年金番号通知書、年金手帳等)
  • 亡くなった人と請求者の戸籍謄本
  • 請求者の住民票の写し(世帯全員・本籍地・続柄の記載のあるもの)
  • 亡くなった人の住民票の除票(請求者の住民票の写しにある場合は不要)
  • 死亡一時金を受け取る口座の通帳等
  • 事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書(日本年金機構の公式サイトからダウンロード可)
  • 内縁関係を証明する書類

寡婦年金の受給要件と必要書類

寡婦年金は、自営業者など国民年金の第1号被保険者だった夫が、老齢基礎年金を受ける前に亡くなった場合に、その妻が受け取れる年金です。

受給要件

寡婦年金の受給要件は以下のとおりです。

  • 夫が第1号被保険者として保険料を納付した期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上あること
  • 婚姻期間が10年以上あること(事実婚も含む)
  • 夫の生計で妻の生活が維持されていたこと
  • 夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受給したことがない
  • 妻の年齢が65歳未満であること

必要書類

寡婦年金を受給するには、夫の死亡日の翌日から5年以内に、以下の書類を年金事務所に提出しなければいけません。

  • 亡くなった人の基礎年金番号が分かるもの(基礎年金番号通知書または年金手帳等)
  • 亡くなった人と請求者の戸籍謄本
  • 請求者の住民票の写し(世帯全員・本籍地・続柄の記載のあるもの)
  • 亡くなった人の住民票の除票(請求者の住民票の写しにある場合は不要)
  • 寡婦年金を受け取る口座の通帳等

内縁の夫が亡くなった場合は未支給年金の請求も忘れずに!

内縁の夫が亡くなった場合、未支給年金の請求も忘れずに行いましょう

年金は後払い方式のため(例えば4月15日に振り込まれるのは2月分と3月分)、受け取っていない年金があれば、未支給年金の請求によって受け取れるからです。

死亡した時期や請求手続きの時期によっては、死亡日以降も亡くなった人の口座へ年金が振り込まれることがあります。その場合、請求する遺族の口座に未支給年金は振り込まれませんが、遺族に受け取る権利を移すという趣旨で、未支給年金の手続きが必要です。

まだ受け取っていない年金がある場合は、以下の書類を添えて未支給年金を請求しましょう。

  • 未支給年金・未支払給付金請求書および受給権者死亡届(報告書)(日本年金機構の公式サイトからダウンロード可)
  • 亡くなった人の年金証書
  • 死亡の事実が分かる書類(住民票の除票・戸籍抄本・死亡診断書)
  • 亡くなった人と請求者の戸籍謄本
  • 亡くなった人と生計を同じくしていたことが分かる書類(亡くなった人の住民票の除票等)
  • 未支給年金を受け取る金融機関の通帳
  • 事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書(日本年金機構の公式サイトからダウンロード可)
  • 内縁関係を証明する書類

まとめ

内縁関係の妻は相続人になれませんが、一定の要件を満たせば年金の受給資格があります。法律婚ではないからと諦めずに、受給資格があるかどうかを確認しましょう。

 

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コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:東京本店

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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