更新日:2026年8月7日 (金)

公開日:2026年8月7日 (金)

交通事故で労災は使わない方がいい?通勤中・業務中に利用するメリット・デメリットと自賠責保険との補償の違いを解説

交通事故で労災は使わない方がいい?通勤中・業務中に利用するメリット・デメリットと自賠責保険との補償の違いを解説 交通事故で労災は使わない方がいい?通勤中・業務中に利用するメリット・デメリットと自賠責保険との補償の違いを解説

サマリー

通勤中や業務中に交通事故に遭った際、「労災保険と自賠責保険のどちらを利用すべきか」「通勤災害や業務災害として労災申請すると会社に迷惑がかかるのではないか」と不安を感じる方は少なくありません。

交通事故が第三者行為災害に該当する場合、補償の選択や請求方法によって受け取れる内容や手続きの流れが異なるため、制度の違いを正しく理解しておくことが重要です。

本記事では、通勤中や業務中の交通事故における労災保険利用のメリット・デメリットを整理したうえで、どのようなケースで利用を検討すべきか、自賠責保険・任意保険との違いや補償内容の差について、実務上のポイントを踏まえて詳しく解説します。

交通事故で労災は使わない方がいい」は本当?

「交通事故では労災を使わない方がいい」と言われることがありますが、なぜそのように考えられているのでしょうか。実際には、通勤災害や業務災害に該当する交通事故では、被害者側にとって労災保険の利用が有利になるケースも少なくありません。

その理由として、労災保険制度には自賠責保険や任意保険のような「慰謝料」という給付項目が設けられていないことや、労災申請にあたって請求書類の作成・提出など一定の手続き負担があることなどが挙げられます。

しかし、これらは労災保険の一側面を切り取った説明に過ぎず、全ての交通事故ケースに当てはまるわけではありません。事故態様や過失割合、治療期間、休業状況などによって、有利・不利は大きく異なります。

実際には、被害者の過失割合や治療期間、休業損害の発生状況などによっては、労災保険を利用した方が結果的に有利となるケースも数多く存在します。

交通事故で請求できる賠償金の費目については、「交通事故で請求できる賠償金の費目とは|ケース別の相場も解説」で詳しく解説しています。

実務上は労災利用が有利となるケースが多い|ただし例外もある

結論として、通勤中や業務中の交通事故では、実務上は労災保険を利用した方が被害者にとって有利となるケースが多いとされています。特に、過失割合が問題となる事故や、治療・休業が長期化する可能性がある場合には、労災利用のメリットが大きくなる傾向があります。

労災保険には、自身の過失割合によって給付額が減額されない「過失相殺の影響を受けにくい」という特徴があるほか、相手方保険会社による一方的な治療費対応終了の影響を一定程度受けにくく、治療継続を検討しやすいというメリットがあります。

ただし、事故状況や損害額、治療期間によっては、ごく一部の例外的なケースとして、自賠責保険や相手方任意保険を中心に対応した方が手続きを進めやすい場合もあります。

交通事故の過失割合については、「交通事故の過失割合とは|決め方・納得できない場合の反論方法を紹介」で詳しく解説しています。

労災を使わない選択肢が検討される3つのケース

労災保険は交通事故被害者にとって有効な制度ですが、事故態様や損害規模によっては、あえて利用しないという選択肢が検討される場合もあります。

例えば、相手方の過失が100%で、ご自身の怪我も比較的軽微な場合などは、事故の状況や損害額によって、労災申請を行わずに相手方保険会社との示談対応のみで進めた方が、結果として手続きを簡潔に進められるケースもあります。

ここでは、労災を使わない選択肢が検討される代表的な以下の3つのケースについて、注意点も含めて詳しく解説します。

加害者側に100%の過失があり、怪我が軽微な場合

事故の責任が全面的に加害者側にあり、ご自身に過失がない(過失割合が10対0)場合には、一般的に、加害者側の自賠責保険や任意保険から、治療費・休業損害・慰謝料などの損害賠償請求を行うことになります。

このようなケースでは、過失相殺による減額が問題になりにくいため、労災申請を行わず、相手方保険会社とのやり取りを中心に進める選択が取られることもあります。

ただし、この判断は、怪我が比較的軽微であり、治療の長期化や後遺障害等級認定の問題が生じる可能性が低い場合に限って検討されるのが一般的です。

自賠責保険の傷害補償限度額(120万円)で十分収まる見込みの場合

自賠責保険では、傷害部分に関する支払限度額が被害者1名につき120万円と定められています。

この120万円の枠内には、治療費、休業損害、通院交通費、入通院慰謝料などが含まれます。

事故による怪我が比較的軽微であり、治療費や休業損害などの総額が120万円の範囲内に収まる見込みが高い場合には、自賠責保険の範囲内で対応を完結させる方法が検討されることがあります。

この場合、労災保険の請求手続きや必要書類の準備を省略できる点が、実務上のメリットとして挙げられます。

自賠責保険の入通院慰謝料等の計算方法については、「交通事故慰謝料の計算方法を詳しく解説【入通院・障害・死亡別】」で詳しく解説しています。

労災申請の手続き負担や時間的コストを避けたい場合

労災保険を利用する場合には、請求書類の作成・提出や、勤務先による証明手続き、労働基準監督署とのやり取りなどが必要になります。

特に、整骨院や接骨院で施術を受けるケースなどでは、医師の指示・同意の有無や労災適用の可否、提出書類の確認が必要となり、手続きが複雑に感じられることもあります。

仕事が多忙で手続き対応の時間を確保しづらい場合や、怪我が比較的軽く短期間の通院で改善する見込みである場合には、手続きの簡便さを優先して、あえて労災申請を行わないという判断が検討されることもあります。

ただし、治療が長引いた場合や後遺症が残った場合には不利益が生じる可能性もあるため、慎重な判断が重要です。

通勤中・業務中の交通事故で労災を利用する5つのメリット

通勤中や業務中の交通事故で労災保険を利用することには、被害者にとって以下のようなメリットがあります。

特に、通勤災害や業務災害として認定されるケースでは、過失割合や相手方保険会社の対応に左右されにくい補償を受けられる点が大きな特徴です。

自賠責保険や任意保険だけでは得られない補償や制度上のメリットがあるため、実務上は労災保険の利用が検討されるケースが多く見られます。

ここでは、通勤中・業務中の交通事故で労災保険を利用する主なメリットについて、実務上のポイントも踏まえながら詳しく解説します。

自身の過失割合が大きくても給付額が原則として減額されにくい

労災保険の大きなメリットの一つは、被害者自身の過失割合によって給付額が原則として左右されにくい点です。

交通事故では、被害者側にも一定の過失割合が認定されるケースが少なくありません。

特に、出会い頭事故や右左折時の事故では、被害者側にも一部過失が認められることがあります。

任意保険による損害賠償では、一般的に過失割合に応じた「過失相殺」によって賠償額が調整されます。一方、労災保険の給付については、原則として民事上の過失相殺の考え方が直接適用されません。

そのため、被害者側に一定の過失がある場合でも、治療費や休業補償給付などについて必要な給付を受けやすい点が、労災保険の大きな特徴です。

相手方保険会社による治療費対応終了の影響を受けにくい

加害者側の任意保険会社が治療費を一括対応している場合、治療期間が一定程度経過すると、「治療費対応を終了します」と打診されるケースがあります。

しかし、労災保険を利用している場合には、医師が治療の必要性を認めている限り、症状固定または治癒と判断されるまで、継続的な治療を受けやすくなる傾向があります。相手方保険会社の判断だけで治療終了を迫られにくい点は、被害者にとって大きな安心材料といえます。

治療費負担への不安を軽減しながら治療を継続しやすい点は、被害者にとって精神的負担の軽減にもつながります。

加害者が無保険やひき逃げの場合でも一定の補償を受けられる

万が一、事故の加害者が任意保険に加入していない、いわゆる「無保険」の状態であったり、ひき逃げによって相手方が特定できなかったりする場合には、十分な損害賠償を受けることが難しくなるケースがあります。

一方、労災保険は労働者保護を目的とした公的制度であるため、加害者側の資力や身元の特定状況に左右されず、一定の要件を満たせば、治療費や休業補償給付などを受けることが可能です。

相手方保険会社から十分な補償を受けられない状況でも、公的補償制度による支援を受けやすい点は、大きなメリットといえます。

休業(補償)給付に加えて「特別支給金」が支給される

交通事故による怪我で仕事を休み、賃金を受けられない場合には、労災保険から休業4日目以降について、給付基礎日額の60%に相当する「休業(補償)給付」が支給されます。

さらに、社会復帰促進等事業として、給付基礎日額の20%に相当する「休業特別支給金」が支給されます。

これにより、合計で給付基礎日額の80%相当の給付を受けられる仕組みとなっており、休業期間中の生活維持につながります。

なお、第三者行為災害では、自賠責保険や任意保険との調整が行われる場合もあるため、実際の受給関係については個別事情の確認が必要です。

休業(補償)給付については、「休業補償(労災)とは?休業損害との違いを徹底解説|併用はできる?」で詳しく解説しています。

後遺障害が残った場合にも比較的手厚い補償制度がある

治療を継続しても後遺障害が残った場合には、労災保険による障害補償給付の対象となる可能性があります。

障害等級に応じて、「障害(補償)年金」または「障害(補償)一時金」が支給されるほか、「障害特別支給金」や「障害特別年金・障害特別一時金」などの給付対象となる場合があります。

また、被害者が死亡した場合には、一定の要件のもとで遺族(補償)給付などが支給される制度も設けられています。

なお、労災保険給付と自賠責保険・任意保険による損害賠償には調整が行われる場合があるため、実際の受給額や請求方法については、交通事故に詳しい弁護士へ相談しながら進めることが重要です。

「労災を使わない方がいい」と言われる理由|デメリットと注意点を解説

交通事故で労災保険を利用する際のデメリットとしては、主に「補償内容」と「申請手続き」の2つの側面が挙げられます。

これらの特徴を十分に理解しないまま、「労災は使わない方がいい」という情報だけを鵜呑みにしてしまうと、本来利用できたはずの補償や制度上のメリットを見逃してしまう可能性があります。

ここでは、労災保険のデメリットとされるポイントに加え、実務上の対処方法や考え方についても解説します。

労災保険には慰謝料に対応する給付項目がない

労災保険は、業務災害や通勤災害によって生じた損害について、労働者の生活保障を目的とする公的制度です。そのため、民事上の損害賠償で認められる「慰謝料」のような、精神的苦痛に対する給付項目は設けられていません。

この点が、「労災を使わない方がいい」と言われる理由の一つとして挙げられることがあります。

もっとも、交通事故による入通院慰謝料や後遺障害慰謝料については、加害者側の自賠責保険や任意保険へ別途請求することが可能です。

そのため、労災保険を利用しながら、自賠責保険や任意保険へ慰謝料請求を行うという形で、制度を併用するケースも多く見られます。

休業(補償)給付は平均賃金の満額補償ではない

労災保険の休業(補償)給付は、給付基礎日額の60%に相当する休業(補償)給付と、20%に相当する休業特別支給金を合わせ、実質的に給付基礎日額の80%相当となっています。

賃金の全額が補償される制度ではないため、人によってはこの点をデメリットと感じることがあります。

もっとも、自賠責保険や任意保険による休業損害も、実際には収入資料や就労状況に基づいて算定されるほか、被害者側に過失がある場合には過失相殺によって減額される可能性があります。

一方、労災保険では、原則として被害者の過失割合による減額が行われないため、事故態様によっては労災利用の方が結果的に有利となるケースもあります。

労災申請には書類作成や手続き負担がある

労災保険の給付を受けるためには、所定の請求書類を作成したうえで、会社による事業主証明や医師の診断内容などを添付し、管轄の労働基準監督署へ提出する必要があります。

相手方任意保険会社による「任意一括対応」のように、保険会社が一括して対応してくれるケースと比較すると、被害者自身で対応すべき事項が多く、手続き負担を感じる場合があります。

もっとも、労災保険を利用することで、過失割合の影響を受けにくい給付や、長期治療時の補償を受けやすくなるなどのメリットが得られる場合があります。

【項目別】労災保険と自賠責保険の補償内容・違いを比較

労災保険と自賠責保険は、いずれも交通事故被害者の救済を目的とする制度ですが、制度趣旨や補償内容、給付の考え方には重要な違いがあります。

どちらを利用すべきか、あるいはどのように併用すべきかを判断するためには、それぞれの制度の特徴を正確に理解しておくことが重要です。

ここでは、代表的な5つの項目に分けて、両制度の補償内容や違いを比較します。

補償額・支払限度額の違い

自賠責保険では、被害者1名ごとに支払限度額が定められており、傷害部分は120万円、後遺障害部分は等級に応じて最大4,000万円、死亡事故については最大3,000万円が上限とされています。

一方、労災保険では、治療費や休業(補償)給付について、自賠責保険のような一律の支払限度額は設けられていません。

そのため、治療期間が長期化し高額な治療費が発生した場合でも、医学的必要性が認められる限り、一定の給付を受けられる可能性があります。

過失割合が補償内容へ与える影響

被害者側の過失割合が補償額へどのように影響するかは、労災保険と自賠責保険を比較するうえで重要なポイントです。

労災保険では、原則として、被害者側の過失割合によって給付額が減額されることはありません。

一方、自賠責保険では、被害者側の過失割合が一定以上となる場合、「重過失減額」によって保険金額が減額される仕組みがあります。

休業時の補償内容・給付額の違い

仕事を休んだ場合、労災保険では、休業4日目以降について、給付基礎日額の80%相当(休業(補償)給付60%+休業特別支給金20%)の給付を受けられます。

一方、自賠責保険では、実際の減収状況に応じて休業損害が認定されますが、1日あたりの支払限度額が設けられています。

さらに、被害者側の過失割合が大きい場合には、自賠責保険による支払額が減額される可能性があります。

精神的苦痛に対する慰謝料の有無

交通事故による精神的苦痛に対する慰謝料については、自賠責保険や任意保険による損害賠償の対象となります。

具体的には、入通院期間や治療状況に応じた入通院慰謝料や、後遺障害等級認定を受けた場合の後遺障害慰謝料などがあります。

一方、労災保険には、精神的苦痛そのものに対する慰謝料給付は設けられていません。

そのため、慰謝料請求を行う場合には、加害者側の自賠責保険や任意保険に対して損害賠償請求を行う必要があります。

後遺障害が残った場合の補償内容の違い

後遺障害が残った場合、労災保険では障害等級に応じて、「障害(補償)年金・一時金」や「障害特別支給金」などの給付対象となる場合があります。

自賠責保険では、後遺障害等級に応じて、後遺障害慰謝料や逸失利益(後遺障害がなければ将来得られたと考えられる収入)などが損害賠償の対象となります。

なお、労災保険と自賠責保険・任意保険を併用すること自体は可能ですが、同一損害については給付調整や求償関係が生じる場合があるため、具体的な請求方法については慎重な確認が必要です。

会社に迷惑がかかる」は本当?労災申請が会社へ与える影響を解説

「労災を申請すると会社に迷惑がかかるのではないか」と不安を感じ、申請をためらう方は少なくありません。特に、通勤災害や業務災害では、「会社の労災保険料が上がるのではないか」「職場で不利益な扱いを受けるのではないか」と懸念するケースは少なくありません。

しかし、これらの不安の中には、制度内容の誤解や不正確な情報に基づくものもあります。

ここでは、労災申請が会社へ与える影響や、通勤災害・業務災害における実務上の扱いについて解説します。

業務災害や通勤災害に該当する場合、労働者は法律上の権利として労災申請を行うことができます。

通勤災害では会社の労災保険料へ直接影響しにくい

会社の労災保険料へ影響が生じる可能性があるのは、労災保険料率に「メリット制」が適用されるケースです。

このメリット制は、主に業務中に発生した「業務災害」に関係する制度であり、一般的には通勤途中の事故である「通勤災害」は算定対象に含まれません。

そのため、通勤中の交通事故で労災保険を利用したとしても、原則として、それだけを理由に会社の労災保険料が上がることはありません。

この点を理解しておくことで、「会社へ迷惑をかけるのではないか」という不安を軽減しやすくなります。

会社が非協力的でも、労働者自身で労災申請は可能

労災保険の請求は、被災した労働者に認められた法的権利です。

仮に会社側が、「手続き負担が大きい」「会社の評価に影響する」といった理由から申請に非協力的であったとしても、労働者は自身の判断で労災申請を進めることが可能です。

労災請求書には会社(事業主)の証明欄が存在しますが、会社の承諾や許可が得られなければ労災申請自体が受理されないわけではありません。

会社の協力が得られない場合の対応方法と相談先

会社が事業主証明への記載を拒否するなど、十分な協力が得られない場合でも、労災申請自体は可能です。

そのようなケースでは、労災請求書の事業主証明欄を未記入(空欄)のままとし、「会社が証明を拒否している経緯や事情」を記載した書面(事業主証明不能理由書など)を添えて、所轄の労働基準監督署へ直接提出する対応を取ることが可能です。

提出後は、労働基準監督署が勤務実態や事故状況などの事実関係を調査し、労災認定の可否を判断します。

手続き対応に不安がある場合には、労働基準監督署へ相談するほか、交通事故や労災実務に詳しい弁護士へ相談することも有効です。

「交通事故で労災は使わない方がいい?」に関するよくある質問

ここでは、交通事故における労災保険の利用について、特によくある疑問や不安をQ&A形式で解説します。

加害者側の保険会社から「労災を使わず自賠責で対応してほしい」と言われた場合は?

その場ですぐ同意せず、事故状況や治療見込みを踏まえて慎重に判断することが重要です。

実務上、保険会社から自賠責保険の範囲内で対応を進める提案がなされるケースもあります。

もっとも、事故態様や過失割合、治療期間によっては、労災保険を利用した方が結果的に有利となる場合もあるため、内容を十分確認せずに同意することは避けた方がよいでしょう。

労災保険と自賠責保険・任意保険のどちらを優先的に利用するかは、怪我の程度や治療見込み、過失割合などを踏まえて個別に判断することが重要です。

軽いむちうちでも労災申請をするメリットはありますか?

軽度のむちうちであっても、労災申請を行うメリットが生じる場合があります。

事故直後は軽症と思われても、後から痛みやしびれなどの症状が長引くケースは少なくありません。

仮に治療が長期化し、治療費や休業損害などが自賠責保険の支払限度額を超えた場合には、対応方法によって自己負担や補償面で不利益が生じる可能性があります。

労災保険を利用しておくことで、治療継続に関する不安を軽減しながら通院しやすくなる点は、大きなメリットの一つです。

労災保険と自賠責保険は併用できますか?

はい、労災保険と自賠責保険・任意保険を併用すること自体は可能です。

ただし、治療費や休業損害など、同一の損害項目について二重に補償を受けることはできません。

例えば、治療費や休業(補償)給付については労災保険を利用し、慰謝料については加害者側の自賠責保険や任意保険へ請求するという形で進められるケースがあります。

どの制度を優先的に利用するかによって、最終的な受給内容や手続き負担が変わる場合もあるため、必要に応じて専門家へ相談しながら進めることが重要です。

まとめ|交通事故では労災利用が有利となるケースも多い

通勤中や業務中の交通事故において、「労災は使わない方がいい」という考え方が当てはまるのは、怪我が軽微で自賠責保険の範囲内で十分対応できる場合など、限定的なケースにとどまります。

実務上は、労災保険を利用することで、過失割合による影響を受けにくく、相手方保険会社による治療費対応終了の影響も受けにくいなど、多くのメリットが得られるケースがあります。

特に、被害者側の過失割合が大きい事故や、治療の長期化が見込まれるケースでは、労災保険の利用を検討する実益が大きいと考えられます。

また、通勤災害については、一般的に会社の労災保険料へ直接影響しにくいとされています。

どの制度を利用すべきか判断に迷う場合には、一人で悩まず、労働基準監督署や交通事故・労災問題に詳しい弁護士へ相談することが重要です。

交通事故のお悩みは、ぜひネクスパート法律事務所にご相談ください。

コラム監修者

RUI SATO

RUI SATO

所属:代表(東京オフィス)

明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。

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