解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、独身の女性です。既婚男性Bさんと数か月の関係があり、それがBさんの妻Cさんに知られました。AさんはCさん本人と直接会い、Cさんが用意した、関係の事実を認めて今後接触しないこと、慰謝料の協議に誠意をもって応じることなどを記した書面に署名。その後、Cさん本人の名前で慰謝料300万円を求める内容証明が届き、期限は到達から1週間とされていました。相手方に弁護士は付いていません。当事務所は受任の当日に受任通知を送り、Aさん本人だけでなく勤務先を含む関係者への連絡も控えるよう求め、以後の窓口をメールに指定。相手方本人との協議を経て100万円・一括で合意しました。合意書は当事務所が起案し、慰謝料の一括払いと遅延損害金、親族を含む相互の接触禁止に「正当な理由」を具体的に列挙して定義し、違反時の違約金を相互・同額に設定。締結時にAさんの手書きの謝罪文を1回限り交付する条項も置いて、相手方本人に署名してもらう形で締結しました。担当は北條さやか弁護士です。
請求300万円に対し、合意額は100万円(3分の1)。受任から締結まで数か月で、支払いは締結の翌日までに完了。受任後、Aさんが相手方本人と直接やり取りする場面はありませんでした。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方本人と直接会い、相手方が用意した書面に署名していた
- その後、本人名義で300万円の内容証明が届き、期限は1週間だった
- 相手方に弁護士は付いておらず、本人と直接向き合わなければならない状態だった
- 相手方が勤務先など周囲に連絡してくるのではないかという不安があった
本当の課題は3つ
- 署名した書面の位置づけ——Aさんが署名した書面は、関係の事実を認め、慰謝料の協議に誠意をもって応じるという内容で、具体的な金額の約束ではありません。事実関係は争わず、金額と条項の設計に集中する判断が必要でした
- 周囲への連絡を止める——相手方本人が勤務先や関係者に連絡すれば、Aさんの生活に直接影響します。受任通知の段階で、本人だけでなく関係者への連絡も控えるよう明確に求める必要がありました
- 弁護士のいない相手方との合意書の運用——相手方に代理人がいない場合、合意書の「正当な理由なく接触しない」といった条項は、何が正当な理由にあたるかで後日の争いになりがちです。定義を具体的に書いておく必要がありました
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 相手方本人と会った後、内容証明が届く前の段階で電話で相談し、内容証明が届いた直後に依頼
弁護士の対応
(1) 受任通知で、本人と関係者への連絡を止める
受任の当日、当事務所は相手方本人に受任を通知し、Aさん本人だけでなく、勤務先を含む関係者への連絡も控えるよう求めたうえで、以後の連絡は当事務所宛のメールに限る旨を指定しました。相手方が周囲に連絡してくる不安は、この時点で止まっています。
(2) 事実関係は争わず、金額を協議する
Aさんが署名した書面で関係の事実を認めていたため、当事務所は事実関係を争わず、金額と条項の設計に集中しました。相手方本人とメールでの協議を重ね、100万円・一括で合意しています。
(3) 「正当な理由」を定義した合意書を起案する
相手方に代理人がいないため、合意書は当事務所が起案しました。接触禁止の条項は「正当な理由なく接触しない」という限定を置くのが通常ですが、弁護士のいない相手方との間では、何が正当な理由にあたるかで後日の争いになりがちです。そこで当事務所は、公的機関からの呼び出し、事前の書面による合意、偶然の遭遇で直ちに離れる場合、無関係な取引上の必要や公的な義務のための最小限の接触、人命に関わる緊急事態を、「正当な理由」として条文に列挙しました。接触禁止は相手方とAさんの双方に、親族を含めて課す相互の条項としています。違反時の違約金は、相手方とAさんの双方に同額で設定しています。あわせて、支払いが遅れた場合の遅延損害金と、締結時にAさんの手書きの謝罪文を1回限り交付する条項を置きました。
(4) 本人に署名してもらい締結、翌日までに支払い
最終案は事務所内で確認したうえで相手方本人に送り、相手方本人が署名して締結。Aさんは締結の翌日までに一括で振り込み、手書きの謝罪文を当事務所経由で交付して終結しました。
この解決のポイント
- 署名済みの書面を踏まえて事実関係は争わず、金額と条項の設計に集中したこと
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所宛のメールへ
- 署名した書面の内容を共有し、事実関係を争わない方針を確認
- 合意書の条項(「正当な理由」の定義・違約金・謝罪文)の説明を受けて判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは相手方本人と会って書面に署名した後で、1週間の期限付きの300万円の内容証明を前に、周囲への連絡の不安も抱えていました。
解決時には、金額は300万円から100万円へ。合意書は当方で起案し、慰謝料の一括払い、支払いが遅れた場合の遅延損害金、親族を含む相互の接触禁止、清算条項を置きました。接触禁止には、公的機関からの呼び出し、事前に書面で合意した場合、偶然の遭遇で直ちに離れる場合、無関係な取引上の必要、人命に関わる緊急事態といった「正当な理由」を具体的に列挙して定義し、違反時の違約金は相互・同額としています。締結時には、Aさんの手書きの謝罪文を1回限り交付する条項も置きました。Aさんは締結の翌日までに振り込み、終結しています。受任後、相手方本人がAさんや勤務先に連絡する場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
相手方本人と会って書面に署名してしまった後のご相談があります。署名した書面が具体的な金額の約束でなければ、金額と条項の設計はそこから組み立てられます。本件では、受任通知で勤務先を含む関係者への連絡を止め、事実関係は争わずに金額を協議しました。弁護士のいない相手方との合意書では、「正当な理由なく」という一言が後日の争いの種になります。何が正当な理由なのかを条文に書き切ることが、本当の意味での解決につながります。
この事例に関するよくある質問
Q1. 相手方本人と会って、用意された書面に署名してしまいました。もう手遅れですか?
署名した書面の内容によります。関係の事実を認め、慰謝料の協議に誠意をもって応じるという内容であれば、具体的な金額の約束ではなく、金額と条項はそこから交渉できます。本事例では、署名の後に受任し、300万円の請求が100万円での合意となりました。
Q2. 相手方が勤務先に連絡してくるのではないかと不安です。
受任通知で、本人だけでなく勤務先を含む関係者への連絡を控えるよう求めることができます。本事例でも、受任の当日にその旨を通知し、以後の窓口をメールに指定しました。ただし、相手方の行動を完全に保証するものではありませんので、連絡があれば代理人にご相談ください。
Q3. 合意書の「正当な理由なく接触しない」とは、何が正当な理由なのですか?
一般には、公的機関からの呼び出しや緊急時などが該当しますが、条文に書かれていなければ後日の争いになりがちです。本事例では、弁護士のいない相手方との間で争いを防ぐため、接触禁止について「正当な理由」を具体的に列挙して定義しました。
Q4. 謝罪文を求められています。何度も書かなければなりませんか?
合意書に「1回限り交付する」と定めることで、繰り返し求められることを防げます。本事例では、締結時に手書きの謝罪文を1回限り交付する条項を置きました。