更新日:2023年8月10日 (木)

公開日:2023年8月10日 (木)

相続財産の中に投資信託が含まれていた場合の手続きの方法とは?

相続財産の中に投資信託が含まれていた場合の手続きの方法とは? 相続財産の中に投資信託が含まれていた場合の手続きの方法とは?

サマリー

投資家から集めたお金を投資のプロが株式や債券などで運用する投資信託は、比較的少額から始めることができる資産運用法として注目されています。相続が発生した時に、相続財産の中に投資信託が含まれていることがあるかもしれません。

この記事では、相続財産の中に投資信託がある場合にどのような手続きをとればよいのか解説をします。

投資信託の相続手続きはどのように進めるのか?

ここでは、投資信託の相続手続きについて解説します。

投資信託は相続開始と同時に当然に分割されることはない

相続財産の中に投資信託が含まれていた場合、他の財産と同様の手続きで処理を進めます。

従来は、投資信託の受益権は相続開始と同時に当然に分割され、遺産分割協議の対象にならないと考えられていました。平成26年に最高裁判所が投資信託の受益権は「相続開始と同時に当然に分割されることはないもの」と判断したため、現在は遺産分割の対象になると解釈されています。

参考:最高裁判所第三小法廷平成26年2月25日判決 | 裁判所 – Courts in Japan

遺言書がない場合は相続人全員での遺産分割が必要

被相続人が遺言書を残している場合は、遺言どおりに相続手続きを進めますが、遺言がない場合は、下記の方法で遺産を分割します。

遺産分割協議をする場合

相続人全員で遺産分割協議をして、遺産の分け方を話し合います。

その際に取り決めるのは、投資信託の受益権を誰がどの割合で相続をするのかということです。現物分割、代償分割、換価分割、共有分割という方法がありますが、一つの商品を一人の相続人が継承し、他の相続人とのバランスが取れなければ代償金で調整する方法が一般的にとられています。

協議がまとまったら相続人全員が署名と実印の押印をした遺産分割協議書を作成します。

調停・審判手続きを利用する場合

遺産分割協議で話がまとまらなかった場合、相続人は、家庭裁判所の遺産分割調停または審判手続きを利用できます。遺産分割調停では、調停委員が事情を聴き助言や解決案を提示します。

相続人全員が合意すれば遺産分割調停が成立します。話し合いがまとまらず、調停が不成立になった場合は、自動的に審判手続きに移行します。

投資信託を相続するときの金融機関での名義変更手続きの手順は?

ここでは、投資信託を相続するときの金融機関での名義変更の手順について解説します。

金融機関に被相続人の死亡を連絡する

被相続人が取引をしていた証券会社などの金融機関に、被相続人が死亡したことを報告します。その際に名義変更の手続きにはどんな書類が必要なのか確認をします。

投資信託の引き継ぎ方法を確定する

遺言書がある場合は遺言どおりに相続し、遺言書がない場合は遺産分割協議で誰が投資信託を相続するのか確定します。

名義変更に必要な書類を提出する

誰がどのような割合で相続するのか確定したら、名義変更手続きをします。提出書類は金融機関によって異なりますが、おおむね下記のとおりです。

遺言書がある場合

  • 遺言書の写し
  • 自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は、遺言検認済証明書または遺言書情報証明書
  • 被相続人の死亡証明書または死亡が確認できる戸籍謄本
  • 遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者選任審判書の写し
  • 遺言執行者の印鑑証明書
  • 遺言執行者が選任されていない場合は、相続人全員の印鑑証明書など

遺産分割協議書がある場合

  • 遺産分割協議書の写し
  • 被相続人の出生から死亡までが分かる戸籍謄本や除籍謄本
  • 相続人全員の関係が分かる戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書など

遺言書、遺産分割協議書のどちらもない場合

  • 被相続人の出生から死亡までが分かる戸籍謄本や除籍謄本
  • 相続人全員の関係が分かる戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書など

投資信託が引き継ぎ者の口座に移管される

金融機関で手続きが完了したら、被相続人の口座から相続人の口座へ移管されるので、相続人名義で開設された口座が必要です。

投資信託を相続する場合の注意点とは?

ここでは、投資信託を相続する場合の注意点について解説します。

投資信託は金融機関の手続き上、換価分割ができない

投資信託は金融機関の手続き上、換価分割ができません。被相続人の口座は死亡によって凍結されるため、被相続人が所有する投資信託を売却して現金化ができないからです。

現金化できるのは、名義変更手続きが完了して相続人の口座へ投資信託が移管されてからです。なお、取得価格よりも高額で売却した場合は、20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。

遺産分割時点の価格と手続完了時の価格が異なる場合がある

投資信託は、金融機関が毎日1回決定する基準価格によって価値が決まります。基準価格は日々変動するため、遺産分割協議時点の価格と名義変更手続きを経て売却した時点の価格が異なる場合があります。

投資信託と相続税の関係

投資信託の価値は変動するため、被相続人の死亡日の基準価格で、相続税評価額を計算します。投資信託を含めた相続財産の評価額が高額になると、相続税が課税される可能性があります。

投資信託が相続財産にある場合、弁護士に相談・依頼するメリットは?

ここでは、投資信託が相続財産にある場合、弁護士に相談・依頼するメリットについて解説します。

複雑な手続きを任せられる

投資信託の相続は、書類の収集をはじめ、複雑な手続きが必要です。被相続人の出生から死亡までの戸籍を集めるのは労力がいりますし、遺産分割協議書を不備なく作成することに困難を感じることもあるでしょう。

弁護士に依頼すれば、戸籍の取得や不備のない遺産分割協議書の作成など、すべての手続きを任せられます

税理士と連携して相続税評価のアドバイスが可能

投資信託の相続で切っても切れないのが相続税評価額など、税金問題です。相続問題に強い弁護士であれば、税理士と連携して案件処理を行っていることが多いので、適切なアドバイスが得られるでしょう。

まとめ

金融商品の多様化によって、投資信託をしている人も少なくありません。そのような背景から、今後相続財産の中に投資信託が含まれる事例も多くみられるでしょう。

投資信託は、通常の相続財産に比べて相続手続きが複雑ですし、相続税への対策も必要となります。相続財産に投資信託がある場合、弁護士に相談をしてみてはいかがでしょうか。

ネクスパート法律事務所には、投資信託などの有価証券の相続手続きに精通した弁護士が多数在籍しております。相続手続きにお困りの方は、当事務所の初回無料相談を是非ご利用ください。

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コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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