解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、男性です。仕事を通じて知り合った既婚女性Bさんと1〜2か月の関係を持ち、その関係はBさんの夫Cさんに知られて、Cさん夫婦はその数か月後に離婚しました。Aさんは、関係が始まる前からBさんが離婚の意向を夫に伝えていたと聞いていました。離婚の後、Cさんの代理人弁護士から、本件が離婚の原因であるとして慰謝料500万円を求める通知が届きます。当事務所は受任後、事実関係を照会したうえで、関係は短期間であること、関係が始まる前から離婚協議が進んでいたと聞いていることを示し、「離婚協議後の不貞行為」についての裁判例の水準を根拠に交渉しました。相手方は請求額の半額から段階的に下げ、当方は段階的に引き上げて、書面で8往復。当方が訴訟に移行した場合は撤回する条件を付して提示した後、相手方が200万円を最終提示し、当方はこれを受け入れて200万円・一括で合意しました。合意書の認諾文言については、当方の要請で「婚姻共同生活の平和を維持する権利を侵害した」から「権利の一部を侵害した」に修正されています。担当は北條さやか弁護士です。
口頭で求められた500万円に対し、合意額は200万円(6割減)。支払いは一括で、受任から締結まで数か月。手続はすべて代理人間の書面のやり取りで進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 離婚した元夫の弁護士から、500万円を求められた
- 相手方は本件が離婚の原因だと主張していた
- Aさんは、関係が始まる前から離婚協議が進んでいたと聞いていた
- 関係は1〜2か月の短期間だった
本当の課題は3つ
- 離婚との因果関係——相手方夫婦が離婚に至った事案は慰謝料が高くなる傾向がありますが、関係が始まる前から離婚協議が進んでいたのであれば、本件のみが離婚の原因とは言えません。この点を、裁判例の水準を根拠に示す必要がありました
- 長い応酬を崩さずに進める——相手方が段階的に下げ、当方が段階的に上げる交渉が続く中で、どこで最終回答を出し、どの条件を付すかが結果を左右します
- 合意書の文言——認諾条項の文言は、依頼者の今後に関わります。「権利を侵害した」と「権利の一部を侵害した」では意味が異なります。締結前に修正を求める必要がありました
Aさんはご相談時に「関係自体は、1、2か月」「不倫相手に求償しないで低くしたい」と話されていました。
弁護士の対応
(1) 事実を照会し、裁判例の水準を根拠に提示する
受任後、当事務所は受任通知を送り、相手方ご夫婦の状況などを照会したうえで、請求額の2割にあたる額を提示しました。相手方は本件が離婚の原因であると主張して請求額の半額を示し、以後、当方が段階的に引き上げ、相手方が段階的に引き下げる応酬が続きます。当事務所は、関係は短期間であること、関係が始まる前から離婚協議が進んでいたと聞いていることを示し、離婚協議が進んだ後の不貞行為については裁判例上100万円台前半が水準になることを根拠に、請求額の3割程度を提示しました。
(2) 訴訟移行時の撤回条件を付して提示する
相手方は請求額の半額弱を維持しました。当事務所は、訴訟に移行した場合には撤回する条件を付して、請求額の4割弱を提示。相手方は200万円を最終提示として示してきました。
(3) 200万円で受け入れ、認諾文言の修正を求める
当事務所はAさんの意向を確認のうえ、200万円で応じる旨を回答しました。相手方の合意書案には、Aさんが相手方の「婚姻共同生活の平和を維持する権利を侵害した」との認諾文言がありましたが、当事務所は、離婚協議が進んでいた事案であることを踏まえ、「権利の一部を侵害した」に修正するよう要請。相手方はこれに応じました。
(4) 資金を手当てして締結
Aさんは借り入れの審査を経て資金を手当てし、支払期日の調整を経て締結。期限内に一括で振り込み、終結しました。合意書には、修正後の認諾条項、損害賠償債務200万円の一括払い、清算条項が置かれています。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 相手方の弁護士に自分で回答期限を伝えたうえで相談し、依頼
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 関係の期間と、離婚協議について聞いていた経緯を共有し、主張の土台に
- 相手方の提示が変わるたびに報告を受け、提示方針を確認
- 資金の手当ての見通しを伝えて支払期日を調整し、認諾文言の修正について説明を受けて締結
解決結果
ご依頼前、Aさんは離婚した元夫から500万円を求められ、本件が離婚の原因だとされていました。
解決時には、金額は500万円から200万円へ。「離婚協議後の不貞行為」の裁判例の水準を根拠に、8往復の書面交渉を経て合意しました。合意書には、不貞の事実の確認(「権利の一部を侵害した」との文言に修正)、損害賠償債務としての200万円の一括払い、清算条項が置かれ、接触禁止や求償権に関する条項は置かれていません。Aさんは借り入れで資金を手当てし、期限内に一括で振り込んで終結しました。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
相手方夫婦が離婚に至った事案では、相手方は本件が離婚の原因だと主張してくることが通常です。しかし、関係が始まる前から離婚協議が進んでいたのであれば、本件のみが原因とは言えず、裁判例の水準もそれを前提に整理できます。本件では、その水準を根拠に8往復の書面交渉を続け、訴訟移行時の撤回条件を付した提示で相手方の最終提示を引き出しました。合意書の文言は、金額と同じくらい今後に関わります。締結前に確認してください。
この事例に関するよくある質問
Q1. 相手方夫婦が離婚しました。本件が原因だと言われていますが、関係が始まる前から離婚の話があったと聞いています。
離婚に至った事案は慰謝料が高くなる傾向がありますが、関係が始まる前から離婚協議が進んでいたのであれば、本件のみが原因とは言えません。裁判例にも、離婚協議が進んだ後の不貞行為について一定の水準があります。本事例では、その水準を根拠に交渉し、500万円の請求が200万円での合意となりました。
Q2. 交渉が何往復も続いています。どこで最終回答を出せばよいですか?
事案によります。本事例では、8往復の応酬の中で、訴訟に移行した場合には撤回する条件を付した提示を行い、相手方の最終提示を引き出しました。どこで動くかは、裁判例の水準と依頼者の意向を踏まえて代理人と相談することをお勧めします。
Q3. 合意書の「権利を侵害した」という文言は変えられますか?
交渉の対象です。本事例では、離婚協議が進んでいた事案であることを踏まえ、「権利の一部を侵害した」に修正するよう要請し、相手方が応じました。
Q4. 一括で払える資金がありません。
支払期日の調整や、資金の手当ての方法は代理人と相談できます。本事例では、依頼者が借り入れの審査を経て資金を手当てし、支払期日を調整して締結しました。