解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、女性です。既婚男性Bさんとの関係が以前にBさんの妻Cさんに知られ、Aさんは関係を終わらせることや今後接触しないことなどを内容とする誓約書に署名していました。ところがその後もBさんを含む知人のグループでの連絡や面会が続き、Cさんの代理人弁護士から、誓約書に違反したとして慰謝料500万円を求める内容証明が届きました。当事務所は受任後、誓約後に不貞の再発はないこと、誓約書に違約金の定めはないこと、相手方ご夫婦が別居・離婚に至っていないことを示して交渉。相手方が裁判例を挙げて反論する中で、求償権の有無で金額を変える二択を2度にわたって提示し、相手方が示談の条件とした直筆の謝罪文を交付したうえで、120万円・求償権放棄で合意しました。合意書で確認した事実は「連絡を取り続け、面会や旅行をしたこと」にとどめ、不貞の再発を認める形にはしていません。担当は北條さやか弁護士です。
請求500万円に対し、合意額は120万円(約76%減)。支払いは一括で、受任から締結まで数か月。手続はすべて代理人間の書面のやり取りで進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、500万円の内容証明が届いた
- 以前に誓約書に署名しており、その違反を理由とする請求だった
- 誓約後も、Bさんを含むグループでの連絡や面会は続いていた
- 訴訟や仮差押えの可能性にも言及されていた
本当の課題は3つ
- 「誓約書違反」の中身——誓約書には、違反した場合に相応の慰謝料を支払う旨はあっても、金額の定めはありませんでした。また、誓約後に不貞が再発したのか、連絡や面会にとどまるのかで、金額の水準は大きく変わります。この線引きが交渉の軸でした
- 相手方の証拠と主張——相手方はやり取りの記録や旅行の事実を挙げて、不貞の継続を主張していました。事実関係のうち何を認め、何を認めないかを整理する必要がありました
- 謝罪の伝え方——相手方は、直筆の謝罪文を示談の条件としていました。一度約束を破った形になっている以上、謝罪をどう形にするかが、合意に至るかどうかを左右しました
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
弁護士の対応
(1) 「不貞の再発はない」「誓約書に金額の定めはない」を示す
受任後、当事務所は、誓約後に不貞行為はないこと、誓約書には違反時の金額の定めがないこと、相手方ご夫婦が別居・離婚に至っていないことを書面で示し、求償権を放棄しない形で請求額の2割程度を提示しました。相手方は、求償権放棄を前提に200万円を超える額を示し、あわせて直筆の謝罪文と再度の誓約を求めてきました。
(2) 根拠を求め、二択で提示する
当事務所は相手方の提示額の根拠を求めました。相手方は、誓約を破って再び不貞に及んだ事案や離婚に至っていない事案の裁判例を挙げて反論し、求償権の条件を付けないなら検討するとしました。当事務所は、求償権を放棄するなら請求額の2割程度、放棄しないなら3割程度という二択で提示。相手方はやり取りの記録や旅行の事実を挙げて、求償権放棄を前提に3割程度の額を示し、謝罪文の内容次第では示談に応じない意向も示しました。
(3) 記録の読み方を反論し、二択を刻む
当事務所は、相手方が挙げたやり取りの記録を見る限り、それを不貞行為と読み取ることは困難であると反論したうえで、求償権を放棄するなら請求額の4分の1程度、放棄しないなら4割弱という二択を改めて提示し、謝罪文は作成する旨を伝えました。相手方は、謝罪文の内容によって前向きに検討すると回答しました。
(4) 直筆の謝罪文を交付し、120万円で締結
Aさんは謝罪文を作成し、当事務所を通じて相手方に送りました。相手方からは全文を直筆で書き直すよう求められ、Aさんは直筆で再作成して送付。相手方はこれを受けて示談に応じ、120万円・求償権放棄の合意書を送付してきました。合意書で確認する事実は「連絡を取り続け、複数回面会し、旅行に行ったこと」とされ、不貞の再発を認める文言にはなっていません。当事務所は条項の意味をAさんに説明したうえで締結し、Aさんは期限内に一括で振り込みました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 誓約後の接触の経緯を整理して共有し、認める範囲と認めない範囲を確認
- 二択の提示方針と、相手方の反論への対応について説明を受けて判断
- 謝罪文を作成し、直筆での再作成の求めにも対応。締結後は期限までに一括で振り込み
解決結果
ご依頼前、Aさんは誓約書違反を理由とする500万円の請求と、訴訟・仮差押えの可能性を前に、対応の見通しが立たない状態でした。
解決時には、金額は500万円から120万円へ。誓約後に不貞の再発はないとの線を維持し、二択の提示と直筆の謝罪文を経て合意に至りました。合意書で確認した事実は「連絡を取り続け、複数回面会し、旅行に行ったこと」にとどめ、不貞の再発を認める内容にはなっていません。合意書には、解決金の一括払い、求償権の放棄、Bさんおよび相手方との接触禁止と違反時の違約金、清算条項が置かれ、Aさんは期限内に振り込んで終結しています。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
一度誓約書を書いた後に、その違反を理由として請求を受けるご相談があります。このとき大切なのは、誓約後に何があったのかを正確に線引きすることです。不貞が再発したのか、連絡や面会にとどまるのかで、金額の水準は大きく変わります。本件では、不貞の再発はないとの線を維持し、合意書の確認事項もその範囲にとどめました。そのうえで、求償権の有無で金額を変える二択と、直筆の謝罪文で誠意を形にして、合意に至っています。誓約書があるから終わりではなく、何を認め何を認めないかの整理から始めてください。
この事例に関するよくある質問
Q1. 以前に誓約書を書きましたが、その後も連絡を取ってしまいました。慰謝料を払うことになりますか?
誓約書の内容と、その後に何があったかによります。誓約後に不貞が再発したのか、連絡や面会にとどまるのかで、金額の水準は大きく変わります。本事例では、不貞の再発はないとの線を維持し、500万円の請求が120万円での合意となりました。
Q2. 誓約書に「相応の慰謝料を支払う」とあります。金額はどう決まりますか?
金額の定めがない場合、具体的な額は、その後の事実関係と裁判例の水準を踏まえた交渉で決まります。本事例でも、誓約書に金額の定めがないことを前提に、求償権の有無で金額を変える二択を提示して交渉しました。
Q3. 相手が直筆の謝罪文を求めています。書くべきですか?
相手方が謝罪文を示談の条件としている場合、誠意を形にして伝えることが合意につながることがあります。本事例では、印字した謝罪文に対して全文直筆での再作成を求められ、直筆で再提出したうえで合意に至りました。内容や書き方は、代理人と相談しながら決めることをお勧めします。
Q4. 合意書に「不貞行為があった」と書かれることはありますか?
合意書で確認する事実の範囲は、交渉の対象です。本事例では、誓約後に不貞の再発はないとの線を維持した結果、合意書の確認事項は「連絡を取り続け、面会や旅行をしたこと」にとどまりました。