更新日:2026年10月13日 (火)

公開日:2026年10月13日 (火)

財産分与の請求期間が2年から5年に延長へ|改正法と離婚時期による違いを解説

財産分与の請求期間が2年から5年に延長へ|改正法と離婚時期による違いを解説 財産分与の請求期間が2年から5年に延長へ|改正法と離婚時期による違いを解説

サマリー

財産分与の請求期間が2年から5年に延長される法改正を解説。改正法の施行日と離婚時期による取扱いの違い、請求を検討する際の注意点を弁護士が紹介します。

離婚後に元配偶者へ財産分与を請求できる期間について、見直しの動きが報じられています。

離婚後の財産分与、申立ては5年まで。令和8年3月31日以前の離婚は2年のまま
出典:マネーの達人 – Yahoo!ニュース

2026年10月11日に配信されたこの報道によれば、財産分与の請求期間は現行の2年から5年へと延長される一方、令和8年3月31日以前に離婚した場合は従来どおり2年のままとされる点が注目されています。本コラムでは、この改正の内容と根拠条文を整理し、離婚のタイミングによって取扱いがどう変わるのかを弁護士の視点から解説します。

財産分与の請求期間とは|現行民法768条の規定

財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚に際して清算・分配する制度です。民法768条1項は「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」と定め、同条2項は、協議が調わないときや協議できないときは家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求できるとしています。

問題となるのが期間制限です。現行の民法768条2項ただし書は、離婚の時から2年を経過したときは、原則として財産分与の請求(調停・審判の申立て)ができなくなると規定しています。この2年という期間は「除斥期間」と解されており、時効のような中断・停止の制度がなく、2年が経過すると当然に権利行使ができなくなる点が大きな特徴です。実務上も、離婚後に財産分与について話し合いがまとまらないまま2年が経過してしまい、請求自体ができなくなるケースが少なくありませんでした。

改正のポイント|請求期間が5年に延長される背景

報道によれば、今回の民法改正により、財産分与の請求期間は2年から5年へと延長されます。背景には、離婚後の生活再建や財産の把握に時間を要するケースが多く、2年という期間が短すぎるとの指摘が従来からあったことが挙げられます。特に、退職金や不動産、株式などの財産分与では、評価や資料収集に時間がかかることも多く、2年以内に調停を申し立てられないまま権利を失ってしまう当事者も一定数存在していました。

期間が5年に延長されることで、離婚後にじっくりと財産状況を調査し、弁護士に相談したうえで請求の要否を判断する時間的余裕が生まれることが期待されます。もっとも、期間が延びたからといって請求権の存在自体が保証されるわけではなく、分与の対象となる財産や割合は従来どおり個別の事情に応じて判断される点には注意が必要です。

施行日と経過措置|離婚時期による取扱いの違い

今回の改正で特に注意すべきは、適用の時期的な区切りです。報道のとおり、令和8年(2026年)3月31日以前に離婚した夫婦については、請求期間は改正前と同じ2年のままとされ、同年4月1日以降に離婚した夫婦について、改正後の5年という新しい期間が適用される整理がされています。

つまり、同じ「財産分与を請求したい」というケースであっても、離婚した日が令和8年3月31日以前か、4月1日以降かによって、使える期間が2年なのか5年なのかが変わってくることになります。本日(2026年10月13日)時点ではまだ改正法施行前の離婚であれば2年の期間制限が適用される可能性が高く、「いずれ5年に延びるから」と安易に先延ばしにすると、権利行使ができなくなるおそれがあります。経過措置の詳細な取扱いについては、今後の法務省の通達や施行規則等で明確化されると見られるため、個別の離婚時期における適用関係は専門家に確認することをおすすめします。

財産分与を請求する際の実務上の注意点

財産分与の対象となるのは、婚姻中に夫婦の協力によって形成された共有財産であり、預貯金や不動産、保険の解約返戻金相当額、退職金(将来分を含む)、株式などが典型例です。他方で、婚姻前から有していた財産や、相続・贈与によって取得した財産は「特有財産」として原則対象外となります(民法762条1項参照)。

請求にあたっては、まず相手方との協議を試み、まとまらない場合は家庭裁判所に財産分与請求調停(審判)を申し立てる流れが一般的です。前述のとおりこの申立てには期間制限があるため、離婚後に財産分与の話し合いを先延ばしにすることは禁物であり、できるだけ早期に財産の把握と請求の準備を進めることが重要です。特に相手方が財産を開示しない場合や、財産隠しが疑われる場合には、弁護士を通じた調査や調停手続の中での財産開示を求める対応が有効です。

まとめ

今回報じられた民法改正により、財産分与の請求期間は離婚後2年から5年へと延長される見通しですが、令和8年3月31日以前の離婚には改正前の2年の期間が適用されるという経過措置がある点に注意が必要です。自身の離婚がどちらの取扱いになるのか、現時点でどの程度の期間が残されているのかを正確に把握することが、財産分与を適切に実現するための第一歩となります。

財産分与の請求期間や、離婚時期による適用関係の判断、財産調査の進め方などでお困りの場合は、弁護士法人ネクスパート法律事務所までご相談ください。

コラム監修者

RUI SATO

RUI SATO

所属:代表(東京オフィス)

明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。

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