更新日:2026年6月11日 (木)

公開日:2026年6月11日 (木)

立ち退きを求められたら知っておくべき立ち退き料の相場の金額を解説

立ち退きを求められたら知っておくべき立ち退き料の相場の金額を解説 立ち退きを求められたら知っておくべき立ち退き料の相場の金額を解説

サマリー

貸主から突然立ち退き要請を受けると、多くの人は不安な気持ちになります。住み慣れた家や長年営んできた店舗を離れることは、負担が大きいからです。
日本の法律は、賃借人の居住権や営業継続の権利を保護しています。
そのため、原則として貸主の一方的な都合で立ち退きは求められません。
貸主から立ち退きの要請があった場合、冷静に状況を把握し、自身の権利を正しく理解しましょう。

この記事では、以下の点について解説をします。
立ち退き料が意味するものとは?
立ち退き料を左右する5つの要素とは?
立ち退き料の相場の金額はどれぐらいか?
立ち退きを求められたら取るべき5つの行動は?

貸主から突然立ち退き要請を受けると、多くの人は不安な気持ちになります。住み慣れた家や長年営んできた店舗を離れることは、負担が大きいからです。
日本の法律は、賃借人の居住権や営業継続の権利を保護しています。
そのため、原則として貸主の一方的な都合で立ち退きは求められません。
貸主から立ち退きの要請があった場合、冷静に状況を把握し、自身の権利を正しく理解しましょう。
この記事では、以下の点について解説をします。
立ち退き料が意味するものとは?
立ち退き料を左右する5つの要素とは?
立ち退き料の相場の金額はどれぐらいか?
立ち退きを求められたら取るべき5つの行動は?

立ち退き料が意味するものとは?

立ち退きを求められたら、立ち退き料がどういう意味を持つかを理解するのが重要です。

立ち退き料は正当事由を補うための補償金

立ち退き料は、法律によって支払い義務や金額が定められているものではなく、貸主の正当事由を補うための補償金です。この点が立ち退き交渉をするにあたり重要なポイントです。
借地借家法は、貸主が賃貸借契約を一方的に解約することに対し、厳しい要件を課しています。
具体的には、以下の点が求められます。

  • 契約期間満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の通知を出すこと(※)
  • 正当事由が存在すること

※賃貸借契約について期限の定めがない場合は、更新拒絶の通知が賃借人に到達した6か月後に解約となります。
正当事由は、単に家を建て替えたい、売却したいなど、貸主側の都合だけでは認められません。貸主と借主の事情を比較し、建物の状況やこれまでの賃貸借の経緯など、様々な要素を総合的に考慮して判断します。
立ち退き料は、正当事由の強弱を補完する財産上の給付として機能します。貸主側の正当事由が弱い場合に、立ち退き料を支払う意思を示せば正当事由の具備が認められる可能性が高まります。貸主が、法律上強い権利を持つ賃借人に対し、退去を求めるための交渉の武器として立ち退き料を用いると考えてよいでしょう。

立ち退き料は貸主側の正当事由の強さによって変動する

立ち退き料の有無や金額は、貸主側の正当事由の強さによって変動します。

正当事由が強いケース

借主側に明らかな契約違反がある場合、立ち退き料を支払わなくてもよいケースがあります。例えば以下の行為があった場合です。

  • 家賃を長期間滞納している
  • 無断で第三者に転貸している
  • 近隣に迷惑行為を繰り返している

こうしたケースがあれば、貸主は債務不履行を理由に契約を解除できるため、立ち退き料を支払う必要はありません。こうしたの状況では、立ち退き交渉は成立せず、賃貸借契約の解除と明け渡しを求める法的手続きに移行する可能性があります。

正当事由が弱いケース

貸主都合による以下のケースでは、正当事由が弱いと判断される場合が多いです。

  • 資産価値を上げるために建物を建て替えたい
  • 建物を自己使用したい
  • 売却したい

これらのケースでは、貸主は立ち退き料を提示しなければ交渉が難航する可能性が高いです。裁判になった場合、立ち退き料の支払いを条件として正当事由が認められるケースが多いです。
多くの賃借人は、貸主から立ち退きを求められたら応じなければならないと考えがちです。法律は賃借人の居住権を強く保護しており、貸主側に正当事由がなければ、原則として立ち退きを拒否できる強い権利を持っています。立ち退き料は、拒否する権利を放棄してもらうための対価であり、交渉の起点となります。

立ち退き料を左右する5つの要素とは?

立ち退き料の最終的な金額は、貸主と借主双方の事情や建物の現況など、複数の要素を総合的に考慮して判断されます。特に交渉がまとまらず裁判になった場合、裁判所は借地借家法に基づき、以下5つの要素を天秤にかけて判断を下します。

建物の使用を必要とする事情

貸主が自己使用を必要とする理由の切迫度と、借主がその土地や建物を必要とする事情(長期間の居住、事業の継続など)を比較します。

賃貸借に関する従前の経緯

賃貸借契約の期間の長さや賃料の支払い状況、更新の有無などが考慮されます。

建物の使用状況

居住用か事業用か、使用頻度はどのくらいかなどが判断材料となります。

建物の老朽化などの現況

建物の経過年数や老朽化の度合い、耐震性の問題などが考慮されます。

財産上の給付

貸主が立ち退き料を提示しているか、その金額は妥当かなどが判断されます。

立ち退き料の相場の金額はどれぐらいか?

立ち退き料は法律で規定されていませんが、判例等の積み重ねにより、物件の種類や用途に応じた相場が存在します。
以下で物件の種類ごとの相場と、内訳の考え方を示します(いずれも賃貸の場合)。

用途 物件の種類 立ち退き料の相場(目安)
住宅 アパート・マンション・戸建て(借地上の建物) 家賃料の6か月〜10か月分
店舗 飲食店 500万円〜4000万円(家賃料の62〜100か月分)
事務所 300万円〜600万円(家賃料の121〜36年か月分)
クリニック 5000万円〜2億円(家賃料の250〜400か月分)

住宅の場合に立ち退き料に含まれるものは?

アパート・マンション・戸建てように住居として物件を使用している場合、立ち退き料の算定には以下の要素が考慮されます。

  • 引っ越し費用
    引っ越し業者に支払う実費、梱包・運送費用、各種手続き費用など
  • 新住居を確保する費用
    新しい物件を借りる際の仲介手数料、礼金、敷金など
  • 家賃増加分等
    新居の家賃が高くなる場合差額分を12か月〜24か月程度補填

KW「マンション 建て替え 立ち退き 料」
KW「立ち退き 料 一軒家」

店舗・事業用の場合に立ち退き料に含まれるものは?

飲食店・事務所・クリニックのように店舗や事業所として物件を使用している場合、立ち退き料の算定には以下の要素が考慮されます。

  • 移転費用
    引っ越し費用・新店舗の内装工事費・設備機器の移設費用など
  • 借家権・借地権の補償
    賃借権の喪失に対する補償
  • 営業補償
    休業期間中の収益減少の補填・得意先喪失による売上減少の補填

一般的に住居に比べて、店舗・事業所の立ち退き料は高額になる傾向があります。立ち退きによって失われるものが住む場所ではなく、事業が生み出す経済的価値であるためです。これは、立ち退き料の相場や金額の妥当性を判断する上で重要なポイントです。

立ち退きを求められたら取るべき5つの行動とは?

突然の立ち退き要請に直面した場合、適切な行動を取れば不当な要求を回避できる可能性が高まります。ここでは、あなたが取るべき5つの行動について解説します。

賃貸借契約内容の確認をする

賃貸借契約書を確認して、普通借家契約か定期借家契約かをチェックします。
定期借家契約の場合、原則として契約期間満了で終了するため更新の概念がありません。一般的な普通借家契約であれば、貸主は正当事由を示さなければ更新を拒否できません。

更新拒絶の通知の確認

更新拒絶の通知が法律に沿って出されているか、確認をしましょう。
普通借家契約の場合、貸主は契約期間満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の通知を出さなければいけません。期間を過ぎている場合、通知が無効になる可能性があります。通知書の形式や内容に不備がないか、冷静に確認しましょう。

安易な交渉に応じない

貸主が提示する条件に安易に合意してはいけません。
最初に提示された立ち退き料が必ずしも妥当な金額とは限らないからです。提示された金額があなたの損失を十分に補償するものか見極めなければいけません。

交渉内容を書面で記録する

貸主との交渉内容を書面で記録しましょう。
口頭のみのやり取りはトラブルの原因となります。すべての交渉や連絡を書面で残しておきましょう。万が一裁判になった場合に重要な証拠になります。

弁護士に相談する

少しでも疑問点があれば、早めに弁護士に相談をしましょう。
立ち退き交渉は、法律知識が不可欠であり、精神的にも負担が伴います。
弁護士に相談すれば、あなたの法的な立場を客観的に整理し最適な戦略を立てられます。弁護士への相談は、不当な条件で合意するリスクを避け、あなたの権利を守る上で重要なステップです。

まとめ

立ち退きを求められたら、一人で悩まずに早めに不動産案件を多数手掛けている弁護士に相談をしてください。立ち退きは、あなたの生活や事業の根幹に関わる重要な問題です。適切な知識と専門家の力を借りて納得のいく形で解決しましょう。

ネクスパート法律事務所には、不動産案件を多数手掛けた実績のある弁護士が在籍しています。初回相談は30分無料ですので、一度お問合せください。

コラム監修者

RUI SATO

RUI SATO

所属:東京オフィス

明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。

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