有機・オーガニックの表示について

有機」「オーガニックをアピールする商品がよく店頭に並ぶようになりました。

化粧品等については、「有機」「オーガニック」と謳うには特にルールはなく、景品表示法に気を付ければよいです。しかし、食品については特別なルールが存在します。

目次

食品で有機・オーガニックと表示する場合

農産物・畜産物(※注1)・加工食品について、有機」「オーガニックという文字は、有機JASマークがあるものだけに表示ができます(※注2)。

有機JASマークは、国の登録を受けた機関から認証された事業者のみ表示できます。

これは、JAS法(日本農林規格等に関する法律)によって規制がされているものです。

つまり、農産物・畜産物・加工食品において、いくら生産方法等を工夫しても、有機JASマークがなければ「有機」「オーガニック」は勝手に謳うことはできないのです。

※注1:有機畜産物は畜種が定められており、規格に含められていない畜産物は対象にならない(例:はちみつ等)。

※注2:農産物・畜産物・加工食品は指定農林物資に指定されている。指定農林物資とは、名称の表示の適正化を図ることが特に必要とされるもの。

ただし、この規制は、商品及びその包装、容器、送り状に適用されます。

消費者への情報提供となるチラシ、メニュー、のぼり等については規制がないため、こちらで有機等を謳ってもJAS法上は問題ありません。

なお、景品表示法の対象にはなります。

参考:有機農産物及び有機加工食品のJAS規格のQ&A(問24-7,問24-8)

JAS(日本農林規格)とは

JASは、農林水産分野においての日本の国家規格です。

JASの対象となる品目は、飲食料品、農産物、林産物、水産物などで、これらの品位、成分、生産行程、流通行程等を定めたものJAS(日本農林規格)です。

しょうゆ、カップ麺、ジャム、有機農産物など、様々なものの規格が存在します。

有機JAS

(1)品目

有機JASの品目は、有機農産物・有機加工食品・有機畜産物・有機飼料・有機藻類です。

(2)そもそも有機とは

「有機」は辞書を調べると、有機物の性質を持つこと、と示されています。

有機JASにおいては、規格に該当するものを有機農産物、有機加工食品と呼ぶという整理をしています。

例えば、

  • 種播き、植え付け前2年以上及び栽培中に禁止されている農薬や化学肥料を使用しない
  • 田畑で生産すること

が基準の1つになっています(有機農産物の日本農林規格3条、4条)。

(3)認証について

認証を受けられる事業者は、生産行程管理者・小分け業者・輸入業者です。

生産行程管理者有機農産物、有機畜産物、有機加工食品などの生産を管理しまたは把握する事業者
小分け業者有機農産物や有機加工食品等を、単に小分けして再度有機 JAS マークを貼付する業者(有機農産物をカットして販売する業者等)
輸入業者JAS と同等の格付の制度を有する国1から、その国の制度において認証された有機農産物及び有機農産物加工食品の輸入を行い、外国の政府機関等の証明書を入手したものについて有機 JAS マークを貼付する業者

認証を取得するには、書類・設備等を準備し、講習を受けて認定機関に申請し、審査を受けて認証を得ます。

(4)有機JASマークを付けるには

認定を受けた事業者は、食品についてJAS 規格に適合するか否かの検査(「格付」という)を自らが行い、適合するものには有機 JAS マークを貼付します。

(5)認証後

技術的基準に適合した業務が行なわれているか、登録認定機関による調査が年 1 回以上行なわれます。

表示の注意

有機JASマークによって、農産物・畜産物・加工食品は初めて有機」「オーガニックと表示できます。

ただし、無農薬」と表示してはいけない、などのルールが別途存在します。有機JASの規格について、一定条件の農薬を使うことは許されており、消費者の誤認することを防ぐためです。

なお、有機JASではありませんが、JAS特有の表示の例として、

  • しょうゆ:「特撰」という表示はJASを満たした場合に認められる

等があります。

罰則

有機JASマークを付けていないのに農産物・畜産物・加工食品について「有機」「オーガニック」と謳った場合、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金(JAS法78条)や、認証を取り消されるなどの罰則が存在します。

まとめ

このように、食品で「有機」「オーガニック」と謳うことについて、食品の種類によって満たすべき基準は異なります。そのほかについても、「特撰」のように、言葉によっては一定の基準を満たさなければ謳えないものが存在します。そして、基準を満たすだけでなく、認証を受ける必要があるなど、表示のルールは多岐に渡ります

さらに、食品の表示はJAS法だけでなく、食品表示法、食品表示基準、景品表示法等にも気を付けなければなりません。商品を安全に効果的にアピールするには、乗り越えるべき問題が多くあります。

お困りごとがございましたら、ぜひご相談ください。法律のプロとして、アドバイス致します。

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