医療広告規制の適用要件
ここでは、医療広告規制の基本的な枠組みを説明します。
医療広告ガイドラインでは、以下の2つの要件を両方満たす場合に広告規制の対象となるとされています。
- 誘引性
患者の受診等を誘引する意図があること - 特定性
医師や医療機関の名称が特定可能であること
医師を紹介するYouTube動画は、通常これらの要件を満たすものと考えられます。
第三者による配信でも規制対象となりうる理由
ここでは、医師・医療機関以外の第三者が配信する場合でも規制対象となりうる理由を説明します。
動画の配信主体が事業者であり、医師や医療機関自身ではない場合、「患者の受診等を誘引する意図」(誘引性)が認められないのではないかという見方もあります。
しかし、以下のような構成の場合、誘引性が認められる可能性があります。
- 利用料が顧客から事業者を経由して医師に支払われる
- 事業者が医師と顧客をマッチングするサービスを提供している
- 動画の目的が医師への相談・受診につなげることにある
このような場合、事業者が医師のために患者を誘引していると評価されうるため、配信主体が医師本人でなくても誘引性が否定されるとは言い切れません。
広告可能事項と限定解除要件
ここでは、広告可能事項と限定解除要件について説明します。
広告可能事項
医療広告においては、法令で定められた「広告可能事項」以外の情報は、原則として広告が禁止されています。
- 診療科名
- 医師の略歴
- 学会認定資格(厚生労働省に届出がなされているもの)
- 診療日・診療時間
- 予約の有無
- 医師個人の手術件数
- 届出がなされていない専門性資格
- 専門的な治療法の詳細
限定解除要件
広告可能事項以外の情報を広告するには、以下の限定解除要件をすべて満たす必要があります。
- 患者等が自ら求めて入手する情報を表示する媒体であること
- 問い合わせ先を明示すること
- 自由診療の場合は治療内容・費用を記載すること
- 主なリスク・副作用を記載すること
YouTube動画における問題点
ここでは、YouTube動画特有の問題点を説明します。
YouTube動画については、限定解除要件①「患者等が自ら求めて入手する情報」に該当するかどうかが問題となります。
YouTubeには以下のような特性があります。
- おすすめ表示
視聴履歴等に基づき、検索していない動画が表示される - 自動再生機能
視聴者が操作しなくても次の動画が再生される - 関連動画表示
視聴中の動画に関連する動画が自動的に提案される
これらの機能により、視聴者が能動的に求めていない状態で動画が表示・再生される可能性があります。
このような場合、視聴者が「自ら求めて入手した」とは言えず、限定解除要件①を満たさないこととなり、広告可能事項以外の情報(医師個人の手術件数等)を配信した場合には違法となるおそれがあります。
対応策
ここでは、適法に動画を配信するための対応策を説明します。
動画を「限定公開」に設定する(推奨)
最も確実な方法は、動画を「限定公開」に設定し、リンクを知っている方のみが視聴できる状態にすることです。
この場合、視聴者は能動的にリンクをクリックして動画にアクセスしていることになりますので、限定解除要件①を満たすものと整理しやすくなります。
公開動画とする場合の対応
公開動画とする場合は、サムネイルやタイトルには広告可能事項以外の情報(手術件数等)を表示しないという対応が考えられます。
ただし、この場合でも、おすすめ表示や自動再生で動画本編が再生された場合には、限定解除要件①を満たさない可能性が残ります。リスクを完全に排除することは難しい点にご留意ください。
その他の要件も満たす必要がある
限定解除要件①を満たす場合であっても、②〜④の要件(問い合わせ先の明示、治療内容・費用の記載、リスク・副作用の記載)は別途満たす必要があります。
動画内または概要欄にこれらの情報を記載することが必要です。
まとめ
YouTubeでの医師紹介動画に関するポイントは、次のとおりです。
- 配信主体が医師本人でなくても規制対象となりうる
利用料の流れやサービスの目的から誘引性が認められる可能性がある - 広告可能事項以外の情報には限定解除要件が必要
医師個人の手術件数等は広告可能事項に含まれない - YouTube動画は限定解除要件①を満たさない可能性がある
おすすめ表示や自動再生により「患者等が自ら求めて入手する情報」とは言えない場合がある - 最も確実な対応策は「限定公開」設定
リンクを知っている方のみがアクセスできる状態にすることで、限定解除要件①を満たしやすくなる

