カテゴリー: 薬機法,相談事例

新型コロナウイルスの検査キットを「雑貨」「研究用試薬」として販売することはできますか。それとも「体外診断用医薬品」として承認を得るべきですか。

体外診断用医薬品と雑貨との区別ですが、解説の第2に記載のとおり、一見すると体外診断用医薬品の定義に該当するようなものであっても、研究目的にて企業等に販売する場合には体外診断用医薬品にあたらず雑貨・研究用試薬にあたり、薬機法の適用はされません。
体外診断用医薬品として販売することの主要なメリットは、臨床的有用性が認められた製品として市場に販売できること、保険適用の対象となりうることの2点ですが、製造販売業の許可手続、製品についての承認手続が必要になるほか、薬機法上の医療用医薬品として販売方法等が制限されることからすると、良い点ばかりではありません。 以下では、体外診断用医薬品とは何かということについて説明します。

解説

第1 体外診断用医薬品の定義

(1)薬機法上の定義

体外診断用医薬品について薬機法では以下のように定義されています。

薬機法第2条14号 …「体外診断用医薬品」とは、専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品のうち、人又は動物の身体に直接使用されることのないものをいう。

(2)通達による定義・範囲

また、体外診断用医薬品のより詳しい定義・範囲については、下記の厚労省の通達により定められており、①目的、②対象、③形態の3つの観点から該当性が判断されます。

① 目的

次のいずれかを目的とするもの

(ア) 各種生体機能(各種器官の機能、免疫能、血液凝固能等)の程度の診断
(イ) 罹患の有無、疾患の部位又は疾患の進行の程度の診断
(ウ) 治療の方法又は治療の効果の程度の診断
(エ) 妊娠の有無の診断
(オ) 血液型又は細胞型の診断

②対象

検体中の次の物質又は項目を検出又は測定するもの

(ア) アミノ酸、ペプチド、蛋白質、糖、脂質、核酸、電解質、無機質、水分等
(イ) ホルモン、酵素、ビタミン、補酵素等
(ウ) 薬物又はその代謝物等
(エ) 抗原、抗体等
(オ) ウイルス、微生物、原虫又はその卵等
(カ) pH、酸度等
(キ) 細胞、組織又はそれらの成分等

③ 形態

(ア) 複数の試薬(試薬を含有する紙、布等を含む。)により、前記(2)の物質又は項目を検出若しくは測定する形態(いわゆるキット)
なお、キットから標準試薬(例、標準血清)を除いたものは、これに含まれる。

(イ) 単試薬により、前記(2)の物質又は項目を検出若しくは測定する形態

▶︎ 参考資料|厚労省通達 体外診断用医薬品の取扱いについて(昭和六〇年六月二九日薬発第六六二号)

第2 研究用試薬との区別

上記第1(2)の範囲からすると、体外診断用医薬品に該当するように思われるものであったとしても、研究用試薬の場合には、体外診断用医薬品に該当せず、薬機法の適用がないと考えられているようです。

厚労省が通知により伝達している外部機関の自主基準(p2序文最終段落)でも、研究用試薬に薬機法の適用がないことを前提とした記載があります。

▶︎ 参考資料|厚労省 研究用試薬の分析学的妥当性等を確保するための自主基準について

そして、研究用試薬と診断用医薬品の区別・違いですが、下記参考資料によれば、「その目的が疾病等の診断であるか否か」によって決まるものとされています。

▶︎ 参考資料|厚労省 厚労省通知 体外診断用医薬品の取り扱いに関する質疑応答集について Q5部分参照

本件についても、一見すると上記第1(2)の範囲に当たるような体外診断用医薬品に該当するような検査キット等についても、研究用試薬として企業等に販売するのであれば、特段の承認手続等を経ていなくとも薬機法上問題はありません。 また、研究用試薬についてはそれを直接的に規制する法規制は見当たりませんが、研究用試薬という特性から考えても、検体キットについて陽性・陰性との記載をすることも問題ないと思料いたします。

第3 研究用試薬として販売する場合と、体外診断用医薬品の承認を得て販売する場合の違い

(1) 体外診断用医薬品の承認を得るメリット

ア 臨床的有用性が認められたものとして市場に流通させることができる

体外診断用医薬品は、臨床的有用性が認められたものに承認がされることから、臨床的有用性のある製品として、他の研究用試薬と差別化を図ることができます。

イ 保険適用が可能となる

また、体外診断用医薬品の承認を得た製品は、承認後に所定の手続きを経ることで保険適用が可能となります。

▶︎ 参考資料|PDMAホームページより 体外診断用医薬品の開発・承認申請・審査について スライド25,26参照

(2) 体外診断用医薬品に必要な手続き・法規制等

まず、体外診断用医薬品を業として販売するにあたっては、体外診断用医薬品製造販売業許可が必要です(薬機法23条の2)。許可を受けるにあたっては、薬機法および省令の定める製造管理・品質管理体制基準や安全管理基準に適合する必要があります。

その上で、検体キットについて、体外診断用医薬品として品目ごとの承認の手続き(薬機法23条の2の5)が必要となります。品質、有効性及び安全性に関する事項の審査を通過する必要があります。

また、医薬品であることによる制約として、添付文書をつけることが必要となります(薬機法52条)

さらに、体外診断用医薬品には、医療用医薬品ないし一般用検査薬(一般医薬品である体外診断用医薬品)の区分がありますが、一部の例外(尿糖検査薬・尿蛋白検査薬・妊娠検査薬の3種類)を除いて基本的には医療用医薬品となります。 そのため、医療用医薬品であることによる販売に関する制約がかかることになります(一般消費者向けに店舗販売業者が販売することやネット販売等はできません)。

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