カテゴリー: 薬機法,法律・判例

(原審:広島高判昭和55年2月26日)
(原々審:山口地裁徳山支部判決昭和54年9月28日)

事案の概要

高麗人参凝縮液は、生薬を煮つめた臭いを感ずる茶黒色の粘稠(ネンチュウ)物質であり、その成分はサポニンの含量が約8パーセントの薬用人参(白参又は白毛)のエキスであつて、壷型磁製瓶に入れられており、これを高血圧、肝臓に効くなどと宣伝(演述)して、無許可で、業として販売したことが、医薬品無許可販売罪(薬事法84条5号(現薬機法84条9号)、24条1項、2条1項)に当たるとされた事例です。

この事例においては、販売された高麗人参濃縮液が、薬事法(現薬機法)2条1項の「医薬品」に該当するかどうかが争われました。

原判決は、このような成分、形状、名称、販売の際の演述等に徴すれば、右濃縮液は薬事法2条1項2号にいう「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」に当たることは明らかであると判示しました。

これに対し上告趣意は、本件濃縮液は食品又は薬効食品にすぎないし、医薬品に該当するかの判断につき販売の際の演述を考慮に入れることは、表現の自由を保障した憲法21条に違反する、と主張していました。

この上告趣意につき本決定は、「本件濃縮液は、被告人らによつて標ぼうされた効能、効果の点を除いても、客観的に薬事法2条1項の医薬品に該当することが明らかであるから、憲法21条違反をいう点は前提を欠く」とし、上告を棄却しました。

以下、原判決及び本決定について解説いたします。

解説

原判決について

原判決は、ある物が医薬品に該当するかどうかは、薬機法の趣旨・目的(第1条)から、必ずしも医学的知識が豊かとはいえない一般通常人の理解において合理的に判断すべきであるとした上で、以下のような判断基準のもと、以下の事実から高麗人参凝縮液が薬機法2条1項の「医薬品」に当たると判断しています。

1 判断基準

①成分もしくは本来的に有する薬理作用
のみならず、

②形状(剤型、容器、包装、意匠等)
③名称
④その物又は添付文書に表示された使用目的や効能
⑤用法用量
⑥販売の際の演述等

を参酌して、その使用目的性の有無を総合的に判定すべき

2 高麗人参凝縮液について

①成分・薬理作用
・生薬を煮詰めた臭いを感ずる茶黒色の粘稠物資
・サポニンの含有が約8%の薬用人参のエキス

②形状
「一和高麗人蔘濃縮液」等の表示がある黒色壺型磁製瓶に入れられている

③名称
高麗人蔘濃縮液

④表示された使用目的や効能・⑤用法用量
・「飲み方-一和高麗人蔘濃縮液は高麗人蔘から主成分を抽出し精製した人参濃縮液であります。備付のスプーンでお召し上がりください。また蜂蜜やレモンなどを加えればより一層風味があります。」などと記載された説明書の貼付された桐箱に納められている
・重量(容器を除く)は300グラム、販売単価は5万5000円

⑥販売の際の演述等
「高血圧や肝臓に効く」などとこの濃縮液の疾病に対する効能を演述した

3 結論

このような成分、形状、名称、販売の際の演述等に徴すれば、高麗人参濃縮液は薬事法(現薬機法)2条1項2号にいう「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」に当たることは明らか

本決定について

原判決に対し、販売者側から、販売の際の演述も考慮にいれることは表現の自由を保証する憲法21条1項に違反するとの理由で上告されましたが、本決定では、「本件高麗人参凝縮液は、被告人らによって標榜された効能、効果の点を除いても、客観的に薬事法(現薬機法)2条1項の医薬品に該当することは明らかである」と判示し、物自体からして医薬品に該当すると判断しました。
その趣旨は、薬事法(現薬機法)2条1項2号は、「……疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物……」と規定し、同項3号は、「……身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物……」と規定しているので、「被告人らによつて標ぼうされた効能、効果」を考慮に入れなければ、本件濃縮液が右2号の医薬品に該当するとは断定できないが、右のように標ぼうされた効能、効果を除いても、右濃縮液は、前記成分、形状、名称などの客観的事実からして、右2号又は3号のいずれかの医薬品には該当するから、違憲の主張は前提を欠く、としたものだと思われます(判例タイムズ466号86頁)。

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