私たちの身の回りの食品には、様々な表示がされています。
これらをよく見ると、食品の種類によって表示の仕方が違っていることがわかります。
例えば、パン類の包装には、賞味期限又は消費期限や保存方法が記載されていますが、野菜にはそのような記載がありません。屋台で売られる食品には、そもそも表示がないこともあります。
今回は、食品表示について解説します。
食品表示は義務
食品表示法において、消費者等に販売されるすべての食品に、原則として、食品表示が義務付けられています(食品表示法第5条)。
具体的な表示のルールは、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)に定められています。
ただし、製造場所での販売等、条件によっては適用対象外となります。
製造場所での販売については、製造者が直接消費者に手渡しができるので、その場で品質を消費者に説明ができるため表示は省略可といった理由です。
食品表示法には、食品表示基準を守らなかった場合の罰則規定が存在します。
例)原産地の虚偽の表示をした場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金(食品表示法第19条)。法人の場合は1億円以下の罰金(食品表示法第22条)。
食品の分類
食品表示法では、「加工食品」、「生鮮食品」及び「添加物」の3つに区分されます。
加工食品とは、製造又は加工された飲食物として別表第1に掲げるものをいいます。
生鮮食品とは、加工食品及び添加物以外の飲食物として別表第2に掲げるものをいいます。
添加物とは、食品衛生法第4条第2項に規定するものをいいます。
具体的には、以下の25種類が加工食品です(一部詳細の説明省略)。
1麦類、2粉類、3でん粉、4野菜加工品(野菜缶・瓶詰、トマト加工品、きのこ類加工品、塩蔵野菜(漬物を除く。)、野菜漬物、野菜冷凍食品、乾燥野菜、野菜つくだ煮、その他の野菜加工品)、5果実加工品(果実缶・瓶詰、ジャム・マーマレード及び果実バター、果実漬物、乾燥果実、果実冷凍食品、その他の果実加工品)、6茶、コーヒー及びココアの調整品、7香辛料(ブラックペッパー、ホワイトペッパー、レッドペッパー、シナモン(桂皮)、クローブ(丁子)、ナツメグ(肉ずく)、サフラン、ローレル(月桂葉)、パプリカ、オールスパイス(百味こしょう)、さんしょう、カレー粉、からし粉、わさび粉、しょうが、その他の香辛料)、8めん、パン類、9穀類加工品(アルファー化穀類、米加工品、オートミール、パン粉、ふ、麦茶、その他の穀類加工品)、10菓子類、11豆類の調整品、12砂糖類、13その他の農産加工品、14食肉製品、15酪農製品、16加工卵製品、17その他の畜産加工品、18加工魚介類、19加工海藻類、20その他の水産加工品、21調味料及びスープ(食塩、みそ、しょうゆ、ソース、食酢、調味料関連製品、スープ、その他の調味料及びスープ)、22食用油脂、23調理食品、24その他の加工品、25飲料類
生鮮食品は、農産物や畜産物などのことを指します。
ただし、加熱処理や乾燥を行った場合などは加工食品となります。そのため、タケノコ水煮や干しぶどうなどは、加工食品として必要な食品表示が求められます。
添加物は、食品を着色、香り付けするなどの目的で使用されるものであり、加工食品や生鮮食品とは特性等が異なるため、別の区分とされています。
分類ごとの必要事項と表示場所
食品表示基準は、食品の分類や特性によって、表示の必要事項や表示方法が定められています。
種類が多岐にわたるため、ここでは一部の例をご紹介します。
例1 容器包装されていないピーマン(生鮮食品・農産物)の場合
必要事項 | 名称・原産地(食品表示基準第18条第1項) |
表示場所 | 食品に近接した掲示その他見やすい場所(食品表示基準第22条) 例:商品のすぐそばにあるプレートなど |
例2 容器包装に入れられたパン(加工食品)の場合
必要事項 | 名称・保存の方法・消費期限又は賞味期限・原材料名・添加物・内容量又は固形量及び内容総量・栄養成分の量及び熱量・食品関連事業者の氏名又は名称及び住所・製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称等(食品表示基準第3条1項) 一定の要件に該当する場合に表示が必要となる事項として、アレルゲンなど(食品表示基準第3条第2項) |
表示方法 | 食品表示基準別記様式1により、容器包装の見やすい箇所に表示し、表示が義務となっている栄養成分については、食品表示基準別記様式2により表示(食品表示基準第8条)。 |

例3 屋台で売るたこ焼きの場合(製造者が消費者に手渡ししている)
表示義務なし
まとめ
消費者に販売する食品は、原則食品表示義務がありますが、分類や特性によっては、必要事項や表示義務がなくなるなど態様が変わってきます。
食品表示のほか、食品のパッケージには商品を宣伝する表示も記載されることが多く、景表法や薬機法の規制対象にもなり得ます。
食品表示や広告を正しく安全に記載するには、多くの注意が必要です。お困りごとがございましたら、ぜひネクスパート法律事務所ご相談くださいませ。