シャンプーの広告について

シャンプーやトリートメントなどのヘアケア商品を広告するにあたり、その商品の効能効果はどこまで謳えるでしょうか。

例えば、「毛髪構造を補強するシャンプー」は訴求できるでしょうか。

今回は、化粧品におけるヘアケア商品の広告で気を付けるべきポイントについて説明いたします。

目次

薬機法と広告について

薬機法第66条では、虚偽・誇大広告を禁止しています。

薬機法第66条 誇大広告等
1 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。

薬機法第66条

また、薬機法第68条 承認前(未承認)の医薬品等の広告を禁止しています。

薬機法第68条 承認前の医薬品等の広告の禁止
何人も、第14条第1項、第23条の2の5第1項若しくは第23条の2の23第1項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第14条第1項、第19条の2第1項、第23条の2の5第1項、第23の2の17第1項、第23条の25第1項若しくは第23条の37第1項の承認又は第23条の2の23第1項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

薬機法第68条

広告するうえでの注意点

  1. 化粧品の配合成分の表現については、その成分が有効成分であるかの誤解を与えるような表現を禁止しています。
  2. 薬理効果を明示又は暗示する成分が配合されている旨の広告は行ってはいけません。
  3. 毛髪の損傷補修表現については、メーキャップ効果のように、物理的な効果を謳うことはできますが、治療的に回復するような広告を禁止しています。

では、どのような表現なら可能でしょうか。

以下の表は、化粧品であるヘアケア商品に対して標ぼうできる効能効果となります。

こちらは医薬品適正広告基準で広告の適正化をはかるために遵守すべき事項として記載されています。

広告で訴求したいワードや特定成分を特記表示する際の配合目的などは、事実の範囲で、こちらの表から選択します。

  1. 頭皮、毛髪を清浄にする。
  2. 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
  3. 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
  4. 毛髪にはり、こしを与える。
  5. 頭皮、毛髪にうるおいを与える。
  6. 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
  7. 毛髪をしなやかにする。
  8. クシどおりをよくする。
  9. 毛髪のつやを保つ。
  10. 毛髪につやを与える。
  11. フケ、カユミがとれる。
  12. フケ、カユミを抑える。
  13. 毛髪の水分、油分を補い保つ。
  14. 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
  15. 髪型を整え、保持する。
  16. 毛髪の帯電を防止する。

具体例 

薬機法の条文や医薬品適正広告基準に照らし合わせて、ヘアケア商品の薬機法チェックをしていきます。

薬機法チェックをする際は、化粧品等の適正広告ガイドラインにも目を通します。

同ガイドラインは、医療広告等適正広告基準に基づき、日本化粧品工業連合会が作成したものです。

「洗うだけで汚れをやさしくオフしつつ毛髪構造を補強するシャンプー」

→事実である限り、毛髪の損傷の物理的な補修表現は可能ですが、「毛髪構造を補強」というと、物理的に構造から変えることは難しく、薬理的な効果に寄ってきてしまう可能性があり、治療的回復表現はできません。 「傷んだ髪を補修するシャンプー」でしたら標ぼう可能です。

「髪のからまりを改善」
「皮脂バランスを改善」

→化粧品で「改善」とまでは言えないため、「髪にうるおい与えることでからまりをケアする」「皮脂をケア」でしたら標ぼう可能です。

「加水分解ケラチン配合」
「多様な美容成分を配合」
「エイジングケアに特化した成分」

→特定の成分を目立たせて表示する場合、それが有効成分であるかのような誤認を招くため、化粧品に認められた効能の範囲で配合目的を併記しなければなりません。 また、「美肌成分」や「エイジングケア成分」等の表現は、当該成分が有効成分であるかのような誤解を与えたり、効能効果の逸脱等となるため、配合目的として認められません。

「○○市場 3冠達成」

→売上№1のように、調査会社や調査期間等を引用し、出典を明らかにしながら表現することは可能です。また、誤認させるおそれがなければ、注釈による表示も可能です。

使用体験談
「植物由来成分で作られているので安心して使うことができました。」
「このシャンプーを使用してから、くせ毛が気にならなくなりました。」

→単に使用感を説明する使用体験談は表示可能ですが、使用感を強調したり、効果や安全性についての使用体験談は認められません。 これは、「※個人の感想であり、効能効果を示すものではありません。」との打消し表示をした場合も例外ではありません。

まとめ

このように、化粧品であるヘアケア商品で標ぼうできる広告には様々な制限があります。

ヘアケア商品や化粧品などの広告を作成するにあたり、どこまで攻めた広告を制作できるか、広告制作にご不安が生じる場面があるかと存じます。

ネクスパート法律事務所では、専門チームが薬機法・医療法・景表法・特商法の観点から総合的にチェックを行い、代替案の提案までさせていただいております。

お困りのことがございましたら、是非一度、ネクスパート法律事務所へご相談ください。

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