広告可能な事項について

目次

医療に関する広告として広告可能な範囲

医療法第6条の5第3項の規定により、医療法又は広告告示により広告が可能とされた事項以外は、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も広告をしてはならないこととされています。

医療機能情報提供制度との関係

医療法第6条の3による医療機能情報提供制度の対象となる事項については、専門外来を除いて医療に関する広告としても、原則として広告可能な事項です。ただし、都道府県が独自に報告を求める事項については、法又は広告告示で広告可能な事項として定められていない場合には、広告できません。

広告可能な事項の表現方法について

(1) 広告の手段

医療法又は広告告示により広告が可能とされた事項については、文字だけではなく、写真、イラスト、映像、音声等による表現も可能です。

(2) 広告可能な事項の記載の仕方

広告可能な治療の方法等については、正確な情報が提供され、患者やその家族あるいは住民自身によるその選択を支援する観点から、患者等の情報の受け手側の理解が可能となるように分かりやすい表現を使用したり、その説明を加えることは認められます。

(3) 略号や記号の使用

広告可能な事項について、社会一般で用いられていたり、広告の対象となる地域において、正 確な情報伝達が可能である場合には、略号や記号を使用することは差し支えないものとします。

広告可能な事項の具体的な内容

広告可能事項については、一つ一つの事項を個別に列記するのではなく、一定の性質を持った項目群として、まとめて「○○に関する事項」と規定するいわゆる「包括規定方式」をとっています。

(1) 医療法第6条の5第3項第1号関係

「医師又は歯科医師である旨」については、医師法第2条に規定する免許又は歯科医師法第2号に規定する免許を有する医師又は歯科医師である旨を医業又は歯科医業に関する広告に記載することができます。また、病院又は診療所に従事する薬剤師、看護師その他の医療従事者に関する氏名等は、広告可能な事項であり、本号の規定が、病院又は診療所に従事する者が薬剤師、看護師その他の医療従事者である旨の広告を妨げるものではありません。

(2) 医療法第6条の5第3項第2号関係

「診療科名」については、医療法第6条の6第1項の規定にあるように、医療法施行令(昭和 23年政令第326号。以下「政令」といいます。)第3条の2で定められた診療科名又は当該診療に従事する医師が厚生労働大臣の許可を受けたものです。

ア 政令に定められた診療科名

政令に定められた診療科名については、「広告可能な診療科名の改正について」(平成20年3月 31 日医政発第 0331042 号厚生労働省医政局長通知)で定めるところによります。

以上の点を踏まえ、広告するに当たって通常認められる診療科名の例示は以下の通りです。

医 科歯 科
内科外科泌尿器科歯科
呼吸器内科呼吸器外科産婦人科小児歯科
循環器内科心臓血管外科産科矯正歯科
消化器内科心臓外科婦人科歯科口腔外科
心臓内科消化器外科眼科 
血液内科乳腺外科耳鼻いんこう科 
気管食道内科小児外科リハビリテーション科 
胃腸内科気管食道外科放射線科 
腫瘍内科肛門外科放射線診断科 
糖尿病内科整形外科放射線治療科 
代謝内科脳神経外科病理診断科 
内分泌内科形成外科臨床検査科 
脂質代謝内科美容外科救急科 
腎臓内科腫瘍外科児童精神科 
神経内科移植外科老年精神科 
心療内科頭頸部外科小児眼科 
感染症内科胸部外科小児耳鼻いんこう科 
漢方内科腹部外科小児皮膚科 
老年内科肝臓外科気管食道・耳鼻いんこう 
女性内科膵臓外科 
新生児内科胆のう外科腫瘍放射線科 
性感染症内科食道外科男性泌尿器科 
内視鏡内科胃腸外科神経泌尿器科 
人工透析内科大腸外科小児泌尿器科 
疼痛緩和内科内視鏡外科小児科(新生児) 
ペインクリニック内科ペインクリニック外科泌尿器科(不妊治療) 
アレルギー疾患内科外科(内視鏡)泌尿器科(人工透析) 
内科(ペインクリニッ外科(がん)産婦人科(生殖医療) 
ク)精神科美容皮膚科 
内科(循環器)アレルギー科など 
内科(薬物療法)リウマチ科  
内科(感染症)小児科  
内科(骨髄移植)皮膚科  

また、複数の事項を組み合わせた通常認められる診療科名の例示は以下の通りです。

「血液・腫瘍内科」、「糖尿病・代謝内科」、「小児腫瘍外科」、「老年心療内科」、「老年・呼吸器内科」、「女性乳腺外科」、「移植・内視鏡外科」、「消化器・移植 外科」、「ペインクリニック・整形外科」、「脳・血管外科」、「頭頸部・耳鼻いんこう科」、「肝臓・胆のう・膵臓外科」、「大腸・肛門外科」、「消化器内科  (内視鏡)」、「腎臓内科(人工透析)」、「腫瘍内科(疼痛緩和)」、「腎臓外科(臓器移植)」、「美容皮膚科(漢方)」、「小児矯正歯科」など

他方、法令上根拠のない名称や、組み合わせの診療科名のうち、診療内容が明瞭でないものや、医学的知見・社会通念に照らし、不適切な組み合わせである名称については、患者等に対して適切な受診機会を喪失させることに繋がるとともに、不適切な医療を提供するおそれがあることから、これらを診療科名とすることは認められず、罰則をもって禁止されています。

① 不適切な組み合わせとして認められない診療科名(省令第1条の9の4参照)。

診療科名不合理な組み合わせとなる事項
内科整形又は形成
外科心療
アレルギー科アレルギー疾患
小児科小児、老人、老年又は高齢者
皮膚科呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、腎臓、脳神経、気管気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓又は脳
泌尿器科頭頸部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管脳神経、乳腺、頭部、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓又は脳
産婦人科男性、小児又は児童
眼科胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓又は心臓
耳鼻咽喉科胸部、腹部、消化器、循環器、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓又は心臓

② その他法令に根拠のない名称については、診療科名として広告することは認められません。具体的には、以下に例示する名称は診療科名として認められません。

「呼吸器科」、「循環器科」、「消化器科」、「女性科」、「老年科」、「化学療法科」、「疼痛緩和科」、「ペインクリニック科」、「糖尿病科」、「性感染症科」、「インプラント科」、「審美歯科」など

イ 厚生労働大臣の許可を得た診療科名

「麻酔科」については、当該診療に従事する医師が厚生労働大臣の許可を得た場合に限り、広告可能とされているものです。

また、法第6条の6第4項の規定により、麻酔科を診療科名として広告するときには、許可を受けた医師の氏名を併せて広告しなければならないとされていることにも留意しましょう。

(3) 医療法第6条の5第3項第3号関係

「病院又は診療所の名称、電話番号、所在の場所を表示する事項及び病院又は診療所の管理者の氏名」については、「病院又は診療所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項並びに管理者の氏名」が広告可能です。

(4) 医療法第6条の5第3項第4号関係

「診療日若しくは診療時間又は予約による診療の実施の有無」については、広告可能です。

(5) 医療法第6条の5第3項第5号関係

「法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である場合には、その旨」については、指定を受けた旨や法令における名称、それらの略称を示すことができます。

以下の例示の他、法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である場合には、その旨も広告可能です。

ア 保険医療機関である旨

健康保険法(大正 11 年法律第 70 号)による指定を受けた旨を広告することができます。

イ 労災保険指定病院、労災保険指定診療所、労災保険二次健診等給付病院又は労災保険二次健診等給付診療所である旨

労働者災害補償保険法施行規則(昭和 30 年労働省令第 22 号)による指定を受けた旨を広告することができます。

ウ 母体保護法指定医である旨

母体保護法(昭和 23 年法律第 156 号)による指定を受けた旨を広告することができます。

エ 臨床研修指定病院、歯科医師臨床研修指定病院又は歯科医師臨床研修指定診療所である旨

医師法又は歯科医師法による指定を受けた旨を広告することができます。

オ 身体障害者福祉法指定医である旨

身体障害者福祉法(昭和 24 年法律第 283 号)による指定を受けた旨を広告することができます。

カ 精神保健指定医、指定病院又は応急入院指定病院である旨

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)による指定を受けた旨を広告することができます。

キ 生活保護法指定医療機関である旨

生活保護法(昭和 25 年法律第 144 号)による指定を受けた旨を広告することができます。

ク 指定養育医療機関である旨

母子保健法(昭和 40 年法律第 141 号)による指定を受けた旨を広告することができます。

ケ 特定感染症指定医療機関、第一種・第二種感染症指定医療機関等である旨

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成 10 年法律第 114 号。以下「感染症予防法」といいます。)による指定を受けた旨を広告することができます。

コ 指定居宅サービス事業者、指定介護療養型医療施設である旨

介護保険法(平成9年法律第 123 号)による指定を受けた旨を広告することができます。

サ 依存症専門医療機関又は依存症治療拠点機関である旨

「依存症専門医療機関及び依存症治療拠点機関の整備について」(平成 29 年6月 13 日付け障発 0613 第4号)による選定を受けた旨を広告することができます。

「依存症専門医療機関(アルコール健康障害)」、「依存症専門医療機関(薬物依存症ギャンブル等依存症)」等のように、選定基準を受けた内容がアルコール健康障害、薬物依存症 又はギャンブル等依存症のいずれであるのかを示す必要があります。

(6) 医療法第6条の5第3項第6号関係

「地域医療連携推進法人(第 70 条の5第1項に規定する地域医療連携推進法人をいう。第 30条の4第 10 項において同じ。)の参加病院等(第 70 条の2第2項第2号に規定する参加病院等をいう。)である場合には、その旨」については、参加する地域医療連携推進法人名や参加している旨について広告可能です。

(7) 医療法第6条の5第3項第7号関係

「入院設備の有無、第7条第2項に規定する病床の種別ごとの数、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の員数その他の当該病院又は診療所における施設、設備又は従業者に関する事項」については、病院又は診療所の構造設備・人員配置に関する事項を示すことができるものであること。

ここでは、病床の種別、病棟又は診療科(広告が可能な診療科名に限ります。)等ごとの病床数、人数や配置状況についても広告できるものです。また、医療従事者以外の従業員の人数や配置状況についても示すことができます。

(8) 医療法第6条の5第3項第8号関係

広告告示により定められている広告可能な事項は、「当該病院又は診療所において診療に従事する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の氏名、年齢、性別、役職及び略歴」(広告告示第1条第1号)及び「次に掲げる研修体制、試験制度その他の事項に関する基準に適合するものとして厚生労働大臣に届け出た団体が行う医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の専門性に関する認定を受けた旨」(広告告示第1条第2号)です。

ア 当該病院又は診療所において診療に従事する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の氏名、年齢、性別、役職及び略歴

イ 医療従事者の専門性に関する認定を受けた旨

次に掲げる研修体制、試験制度その他の事項に関する基準に適合するものとして厚生労働大臣に届け出た団体が行う医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の専門性に関する認定を受けた旨を広告することができます。

(9) 医療法第6条の5第3項第9号関係

「患者又はその家族からの医療に関する相談に応ずるための措置、医療の安全を確保するための措置、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他の当該病院又は診療所の管理又は運営に関する事項」については、病院又は診療所の管理又は運営に関することを広告することができます。

(10) 医療法第6条の5第3項第10号関係

「紹介をすることができる他の病院若しくは診療所又はその他の保健医療サービス若しくは福祉サービスを提供する者の名称、これらの者と当該病院又は診療所との間における施設、設備又は器具の共同利用の状況その他の当該病院又は診療所と保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に関する事項」については、紹介可能な他の医療機関や保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者の名称、共同で利用する設備又は医療機器等の他の医療機関や介護保険サービス事業者等との連携に関することを広告することができます。

(11) 医療法第6条の5第3項第11号関係

「診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供、第6条の4条第3項に規定する書面の交付その他の当該病院又は診療所における医療に関する情報の提供に関する事項」については、医療に関する情報提供に関して、その内容、提供方法又は実績等について、広告することができます。

(12) 医療法第6条の5第3項第12号関係

「当該病院又は診療所において提供される医療の内容に関する事項(検査、手術その他の治療の方法については、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるものに限る。)」については、「検査、手術その他の治療の方法」に関しては、保険診療等の医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして広告告示で定めた事項に限定して広告可能であるものであり、往診の実施に関すること等その他の医療の内容については、広く広告することが可能です。

例えば、自由診療のうち薬機法の承認又は認証を得た医薬品又は医療機器を用いる検査、手術その他の治療の方法については広告することが可能です(広告告示第2条第5号関係)。

ただし、公的医療保険が適用されない旨(例えば、「全額自己負担」、「保険証は使えません」、「自由診療」等)及び標準的な費用を併記する場合に限って広告が可能です。

また、薬機法の広告規制の趣旨から、医薬品又は医療機器の販売名(販売名が特定可能な場合には、型式番号等を含みます。)については、広告してはなりません。医師等による個人輸入により入手した医薬品又は医療機器を使用する場合には、仮に同一の成分や性能を有する医薬品等が承認されている場合であっても、広告は認められません。

また、当該治療の方法に、併用されることが通常想定される他の治療の方法がある場合は、それらを含めた総額の目安についても、分かりやすいように記載しなければなりません。

(13) 医療法第6条の5第3項第13号関係

「当該病院又は診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数 その他の医療の提供の結果に関する事項であって医療を受ける者による医療に関する適切な選択 に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの」については、医療の提供の結果に関する事項は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして広告告示に規定された平均的な入院日数等に限り、広告することが可能です。

死亡率や治癒率等については、対象となった患者の状態等による影響も大きく、適切な選択に資する情報であるとの評価がなされている段階にはないことから、医療機能情報提供制度において報告が義務付けられた事項についてのみ、広告することが可能です。

(14) 医療法第6条の5第3項第14号関係

「その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項」については、法第6条の5第1項第1号から第 12 号に掲げられた事項に準じるものとして厚生労働大臣が広告告示第4条各号で定めたものを広告できるものであること。

医療に関する内容に該当しない事項

医療に関する広告については、医療法又は広告告示により広告が可能とされた事項以外の広告が禁じられていますが、以下のア~オに示す背景等となる画像や音声等については、通常、医療に関する内容ではないので、特段制限されるものではありません。

ただし、風景写真であっても、他の病院の建物である場合やそのような誤認を与える場合、あるいは、芸能人が当該医療機関を推奨することや芸能人が受診をしている旨を表示(音声によるものや暗示を含みます。)することは、医療に関する広告として、規制の対象として取り扱うこと。

ア 背景等となる風景写真やイラスト等

イ レイアウトに使用する幾何学模様等

ウ BGMとして放送される音楽、効果音等

エ 広告制作者の名称、広告の作成日、写真の撮影日等

オ 芸能人や著名人の映像や声等

芸能人や著名人が、医療機関の名称その他の広告可能な事項について説明することは、差し支えありません。なお、実際に当該医療機関の患者である場合にも、芸能人等が患者である旨は、広告できない事項ですので、認められないものとして扱います。

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