オンライン診療に関する法律の整理

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対面ではなくオンラインで医療行為が認められるための要件

厚生労働省におけるオンライン診療ガイドラインにおいて、患者への説明、患者の同意、適用対象、診療計画、本人確認、薬剤処方・管理、診察方法などについて、最低限遵守すべき事項が定められています。

特に重要となる要件として 「初診は原則対面診療」という要件があります。

この原則の例外は、一般的には患者がすぐに適切な医療を受けられない状況にある場合などにおいて、患者のために速やかにオンライン診療による診療を行う必要性が認められるときとされています。

なお、例外的にオンライン診療が可能とされる場合であっても、その後に原則として対面診療が必要とされています。

もっとも、コロナ渦における、時限的・特例的な取り扱いとして、下記通達が廃止されるまでの間は、初診でのオンライン診療が広く認められるようになっています。 具体的には、患者から電話等により診療等の求めを受けた場合に、オンライン診療による診断や処方が医学的に可能であると医師が判断した場合には、オンライン診療が可能となっています。

病院や医療施設は、薬局登録や販売許可を受けなくても、医療行為のための処方が認められること(院内調剤)

以下の通達により、病院・診療所の調剤所については薬局登録の必要はないとする解釈が示されています。

なお、診療所・病院の調剤所には構造設備要件があり(医療法23条1項、医療法施行規則16条1項14号)、診療所等の開設許可申請にあたって、同要件に該当することを示す事項についても記載・提出しなければなりません。

第二十一条から前条までに定めるもののほか、病院、診療所又は助産所の構造設備について、換気、採光、照明、防湿、保安、避難及び清潔その他衛生上遺憾のないように必要な基準は、厚生労働省令で定める。

医療法 23条1項

一 ~ 十三 (略)
十四 調剤所の構造設備は次に従うこと。
 採光及び換気を十分にし、かつ、清潔を保つこと。
 冷暗所を設けること。
 感量十ミリグラムのてんびん及び五百ミリグラムの上皿てんびんその他調剤に必要な器具を備えること。

医療法施行規則 16条1項

医師が医療行為のために未承認医薬品を処方することが認められていること

未承認医薬品に関する法規制は、医療法16条の3第1項8号、同施行規則9条の20の2第1項8号により、未承認医薬品について、使用条件を定めること、適否決定部門の設置、従業者が順守すべき事項の作成、適否決定部門による遵守事項の確認等などの法規制があります。

特定機能病院の管理者は、厚生労働省令の定めるところにより、次に掲げる事項を行わなければならない。
一 ~ 七 (略)
八 その他厚生労働省令で定める事項

医療法 16条の3第1項

前条第一項第三号の二に規定する事項は、次のとおりとする。
一 ~ 七 (略)
八 未承認新規医薬品等を用いた医療を提供するに当たり、次に掲げる措置を講ずること。
イ 未承認新規医薬品等を用いた医療を提供する場合に、当該未承認新規医薬品等の使用条件を定め、使用の適否等を決定する部門を設置すること。
ロ 別に厚生労働大臣が定める基準に従い、未承認新規医薬品等を用いた医療を提供する場合に、従業者が遵守すべき事項及びイに規定する部門が確認すべき事項等を定めた規程を作成すること。
ハ イに規定する部門に、従業者のロに規定する規程に定められた事項の遵守状況を確認させること。

医療法施行規則 9条の20の2第1項

これらの規制は、医療機関による未承認医薬品の処方が可能であることを前提とした定めとなっています。

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