化粧品の特定成分の特記表示について

目次

特定成分の表示

化粧品の広告やパッケージに、「ナイアシンアミド」や「ヒアルロン酸」のように、特定の成分を目立たせて表示することは原則として認められていません

その理由は、承認を要しない化粧品において、特定成分を表示してしまうと、その成分が主成分であるとの誤解やあたかも有効成分であるかのような誤解を与えてしまうためです。

ただし、特定成分に配合目的を併記するなど誤解を与えないよう表示を行う場合には、特定成分を表示することが可能となります。

特記表示とは

特記表示とは、商品に配合されている成分の中で、特に訴求したい成分のみ目立つよう他の文字と離したり、色を変えたり、枠で囲んだり、大きな文字で表示することです。

なお、全ての成分を同等に表示する場合、特記表示には当たりません。

特定成分を特記表示することの問題点

  1. 化粧品ではなく、医薬品的という印象を与える可能性がある。
  2. 通常の化粧品より効果や安全面で成分的に優れているとの誤解を与える可能性がある。
  3. 当該成分が主たる成分であるとの誤解を与える可能性がある。

特定成分を表示させるためには

  1. 配合目的を明記する。
  2. 配合目的は化粧品で謳える効能効果の範囲であって事実であること。
  3. 写真やデザインについては、その写真などの近くに「〇〇(△△として配合)」と記載する。
  4. 抗酸化成分・肌荒れ改善成分・美肌成分・美容成分・エイジングケア成分などの表現は、当該成分が有効成分であるかのような誤解を与えたり、効能効果の逸脱となるため、配合目的としては認められない。
  5. 特定の成分を表示することは、その全てが特記表示となるので注意が必要。

平成23年7月21日薬食発0721第1号「化粧品の効能の範囲の改正について」より 一部抜粋

(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひがそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。

(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。

化粧品の効能の範囲の改正について|厚生労働省医薬食品局

特定成分の特記表示〈OK例〉

  • シアバター(保湿剤)
  • ユーカリ葉エキス(お肌の保護成分)
  • 肌にハリを与えるヒアルロン酸
  • コラーゲンが肌にうるおいを与え、乾燥を防ぎます。
  • 肌にうるおいを与えるアロエエキスを配合しました。
  • ビタミンC(製品の酸化防止剤)配合のクリームです。

特定成分の特記表示〈NG例〉

  • プラセンタを贅沢に配合。
    →配合目的の記載がないため、NG。
  • 美白成分アルブチン
    →化粧品で謳える効能効果の範囲では、「美白」とまでは言えずNG。
  • ナイアシンアミド(しわ改善) 
    →化粧品で謳える効能効果の範囲を超えているためNG。
  • レチノールは、肌への効果が高いとされる成分となっています。
    →配合目的の記載がないため、NG。
  • ホホバ油配合のクリームです
    →配合目的の記載がないため、NG。

まとめ

化粧品の配合成分を表示する場合、当該成分が有効成分であるかのような誤解を与えないようにすることが必要です。

また、薬理効果を明示又は、暗示するような表現を用いて、広告することはできませんので、どのような表現であれば表示可能か、表現に迷った場合には、是非当事務所にご相談ください。

目次
閉じる