はじめに
食品として販売する物に関して広告をする際には、健康の保持増進の効果等について、虚偽・誇大な表示をすることが禁止されています。
健康増進法31条1項では、「何人も」食品に関して広告その他の表示をするときは、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させるような表示を禁止しています。
そのため、商品を供給していない広告代理店や高校媒体事業者も表現規制の対象となります。
健康増進法上の食品とは
健康増進法上の食品とは、薬機法上の「医薬品」を除く全ての飲食物をいいます。
医薬品的効能効果を標ぼうするものは、食品として販売するものであっても、薬機法上の「医薬品」に該当し、健康増進法の「食品」には該当しません。
しかし、医薬品的効能効果を標ぼうして販売するものについても、健康保持増進効果等についての虚偽誇大表示を禁止する必要があるため、健康増進法第31条第1項では、食品として販売に供する物を規制の対象としています。
健康食品とは
健康食品については、そのものを規定する単独の法律は現状ありませんが、一般的には、健康の保持増進の助けになる食品として販売・利用されるもの全般を指すと考えられます。
- 健康食品のうち、個別に生理的機能や特定の保健機能成分を示す有効性や安全性等に関する国の審査を受け、消費者庁長官によって、特定の保健の目的が期待できる旨の表示を許可又は承認された食品を「特定保健用食品」といいます。
※許可を受けた表示内容を超える表示をする場合、その表示は虚偽誇大表示等に該当するおそれがあります。 - また、特定の栄養成分を含むものとして国が定める基準に従い当該栄養成分の機能を表示する食品を「栄養機能食品」といいます。
※国が定める基準に係る栄養成分以外の成分の機能を表示する場合などには、その表示は虚偽誇大表示等に該当するおそれがあります。 - さらに、国の定めるルールに基づいて、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要事項を販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性関与成分によって特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を容器包装に表示する食品を「機能性表示食品」といいます。
※国の許可を受けたものと誤認される表示をする場合、その表示は虚偽誇大表示等に該当するおそれがあります。
これらを総称して「保健機能食品」といいます。
健康増進法の要件
①表現の対象が健康保持増進効果であること
疾病の治療や予防を目的とする効果として、医師の治療がなくてもガンや糖尿病等が治る等の表現は禁止されています。
②表現の形態が広告とみなされること
広告の判断基準
- 顧客を誘引する意図が明確にあること
- 特定食品の商品名等が明らかにされていること
- 一般人が認知できる状態にあること
③表現の内容が誤認を招く内容であること
誤解を招くとは
- 学術データを引用しているが、その発表内容が適切な方法により実証されていない等の理由によって科学的根拠にならない場合
- でっちあげられた体験談や都合の良い箇所だけを抜粋した体験談等
付近ルール
書籍、冊子、ホームページに特敵の食品や成分にかかる学術的解説を掲載する場合であっても、その解説の付近から特定食品の販売ページに容易にアクセスが可能である場合や、販売業者の連絡先が掲載されている等の場合は、健康増進法に該当する可能性があります。
あっせんルール
特定の食品や成分の健康保持増進効果等に関する書籍や冊子、ホームページには、サプリメントの効能しか表示せず、商品名やメーカー名を記載していなくても、その書籍等に連絡先が書いてあり、そこに連絡をすると、商品名やメーカー名を教えてくれるといった場合、健康増進法に該当する可能性があります。
健康増進法違反行為に対する措置
誇大表示の禁止に違反する表示を行った場合
消費者庁長官及び都道府県知事、保健所設置市長、特別区長は、
- 健康増進法第31条第1項の規定に違反して表示した者に対し、当該表示を改善するよう指導を行う。
- 国民の健康の保持増進に重大な影響を与えるおそれがある場合、その表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。(健康増進法第32条第1項)
- 正当な理由なく、勧告に係る措置をとらなかった場合、その者に対して、その勧告に係る措置をとるべき旨の命令を出すことができる。(健康増進法第32条第2項)
- 命令に従わなかった場合、罰則(6月以下の懲役又は100万円以下の罰金)を適用。(健康増進法第36条の2)
まとめ
健康食品であっても、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させるような表示をしたり、医薬品的効能効果を標ぼうすると、健康増進法上問題となり、命令に従わなかった場合には、罰則が適用されることとなります。

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