医療広告の規制の趣旨

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基本的な考え方

医療に関する広告は、患者等の利用者保護の観点から、次のような考え方に基づき限定的に認められた事項以外は、原則として広告が禁止されています。

  1. 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しいこと。
  2. 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。

近時の医療法改正により、これらは維持しつつ、規制対象をwebサイト等にも拡大する一方、患者等に正確な情報が提供されその選択を支援する観点から、医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合については、幅広い事項の広告が認められることとなりました。

(1) 広告を行う者の責務

医療に関する広告を行う者は、その責務として、患者や地域住民等が広告内容を適切に理解し、治療等の選択に資するよう、客観的で正確な情報の伝達に努めなければならなりません。さらに、患者の受診等を誘引するという目的を有するものの、患者や地域住民等の利用者へ向けた客観的で正確な情報伝達の手段として広告を実施するべきであり、また、医療機関等が自らの意思により行う必要があります。

(2) 禁止される広告の基本的な考え方

医療法第6条の5第1項の規定により、内容が虚偽にわたる広告は、患者等に著しく事実に相違する情報を与えること等により、適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受けるおそれがあることから、罰則付きで禁じられています。

同様の観点から、医療法第6条の5第2項の規定及び医療法施行規則(昭和23年厚生省令第 50 号。以下「省令」といいます。)第1条の9により、次の広告は禁止されています。

  1. 比較優良広告
  2. 誇大広告
  3. 公序良俗に反する内容の広告
  4. 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告
  5. 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告

(3) 広告可能な事項の基本的な考え方

医療法第6条の5第3項の規定により、医療を受ける者による医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合として厚生労働省令で定める場合を除き、医療法又は「医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」(平成 19年厚生労働省告示第 108 号。以下「広告告示」といいます。)により、医療に関する広告として広告可能な事項は、患者の治療選択等に資する情報であることを前提とし、医療の内容等については、客観的な評価が可能であり、かつ事後の検証が可能な事項に限られるものとされています。

他の法律における規制との関係

医療に関する広告の規制については、医療法に基づく規定の他に、不当景品類及び不当表示防止法(昭和 37 年法律第 134 号。以下「景表法」といいます。)、医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第145 号。以下「薬機法」といいます。)があり、これら他法令に違反する広告は、当該他法令に基づく指導・処分等の対象となり得るものです。

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