医療広告のバナーやinstagramタイアップなどで気を付けるべきこと

クリニックや、歯医者さんの広告についても、最近行政指導などが厳しくなってきています。Yahoo!やGoogleの広告審査に落ちるということもよくあるでしょう。

さて、医療広告にも実は2つの類型があります。

A ユーザーが、見たいと思って見にくる広告

(例:LPやコラム記事などユーザーがクリックして見る広告や、院内に置いてあるパンフレットなど

B ユーザーが、見たいと思っていないのに、自動的に見させられる広告

(例:自動的に表示されるバナー、instagramタイアップ、テレビCM、電車内広告など

この2つの分類で、広告できる内容は大きく異なります。

Aは、いわゆる限定解除の要件を満たせば、広告が禁止される事項(虚偽・誇大・比較優良など)以外は広く表現して差支えありません。

Bは、医療法上認められた広告可能な事項、しか広告することができません。

本日は、バナー広告、instagramタイアップ、テレビCM、電車内広告など、Bのパターンの広告について、ご説明します。

なお、YouTubeに関しては、サムネイルや動画説明の画面はBのパターン、動画はクリックしてユーザーが自分で見にきてくれるのでAのパターンになることが多いでしょう。

当事務所では、web広告やSNS広告に関する広告表現のチェックや、社員教育のサポートなども行っておりますので、ぜひお気軽にお問合せください。

目次

バナーやinstagram等で広告可能な事項

代表的には以下の事項を広告することができます。

院名や院長名、問い合わせ先など、形式的な事項に限られ、治療の効果などを広告することはできません。

テレビCMも同様であり、「イエス 高須クリニック」「大塚美容外科」など、院名だけで広告するというのが伝統的な手法であったといえます。

最近では、湘南美容外科など、二重整形術という術内容についてまで言及するところもありますが、その場合は、自由診療であることや、標準的な費用を明記する必要があります。

(その他のものはページ末尾にも記載しています。)

院名 
院長名 
問い合わせ先住所・電話番号
診療科名美容外科 等
診療日・診療時間・予約受付時間 
入院設備の有無 
医療機器の配置状況  ※ただし未承認の医療機器はNG。医療機器の名称については一般的なものに限り、販売名や型番はNG
医療の安全を確保するための措置※「医療の安全を保障します」「万全の安全管理体制」などの広告は客観的な事実として評価できないためNG
ウェブサイトのアドレス、電子メールアドレス、QRコード 
自由診療のうち、保険診療と同一の検査、手術その他の治療方法※ただし、保険適用とならない旨(「全額自己負担」「保険証は使えません」「自由診療である旨」等)及び、標準的な費用を併記する場合に限る。
自由診療のうち、薬機法の承認又は認証を得た医薬品又は医療機器を用いる検査、手術その他の治療方法※ただし、保険適用とならない旨(「全額自己負担」「保険証は使えません」「自由診療である旨」等)及び、標準的な費用を併記する場合に限る。)

禁止される広告

バナーやinstagram等で広告してはいけない事項の代表例は以下です。

専門外来 ※限定解除すれば広告可能
死亡率・術後生存率 ※限定解除すれば広告可能
未承認の医薬品や未承認の医療機器による治療の内容 ※限定解除し、さらに厚労省が承認していない旨、入手経路、対応する承認薬の有無、諸外国における安全性情報を記載すれば広告可能
ビフォーアフター写真NG例:術前又は術後(手術以外の処置等を含む。)の写真やイラストのみを示し、説明が不十分なもの ※限定解除すれば広告可能
医薬品や医療機器の販売名を用いた治療※限定解除すれば広告可能
学会の認定する研修施設※限定解除すれば広告可能
診療科名や医師が研修を受けた旨※限定解除すれば広告可能
専門性の資格・専門医・医師個人の手術件数※限定解除すれば広告可能
再生医療※限定解除すれば広告可能
治療効果※限定解除すれば広告可能

求められれば裏付けとなる根拠を示し、客観的に実証できる必要がある

このほかに禁止される広告は、限定解除されない場合と同様です(虚偽・誇大・比較優良・公序良俗違反・体験談など)。

バナーに関して、厚生労働省の医療広告ガイドラインのQ&Aでは、以下のように記載されています。

Q1-7 インターネット上のバナー広告の取り扱いは、法改正に伴って変わったのでしょうか。(P.2)  

A1-7 バナー広告に医療機関の名称が記載されているなど特定性がある場合は、広告に該当するため、医療法及び医療広告ガイドラインで認められた広告可能事項に限って、広告可能です。 なお、従前はバナー広告にリンクした医療機関のウェブサイトはバナー広告と一体的に取り扱うこととされていましたが、改正医療法施行後はバナー広告にリンクした医療機関のウェブサイトであっても、リンク先の医療機関のウェブサイトは患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトになりますので、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です。

厚生労働省|医療広告ガイドラインに関するQ&A

限定解除できなかった場合に広告可能な事項

未承認の医療機器を用いた治療や治療効果については、「限定解除」ができれば広告可能ですが、逆に「限定解除」ができなければ不可、とされています。

Q2-13 未承認医薬品、医療機器を用いた治療については、広告可能でしょうか。  (P.6,10,11,25,26,32)   A2-13 わが国の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律において、承認等されていない医薬品・ 医療機器、あるいは承認等された効能・効果又は用法・用量が異なる医薬品・医療機器を用いた治療について、限定解除の要件を満たしたと判断される場合には、広告可能です。

Q2-17 治療効果に関する内容について、ウェブサイトでは、広告可能でしょうか。 (P.25)

A2-17 治療の効果に関する内容については、広告可能事項ではないため、広告できません。 なお、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどについては、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能ですが、求められれば裏付けとなる根拠を示し、客観的に実証できる必要があります。

バナー広告などにおいて、医療機関の名前を掲載しない形であれば、医療法ではなく、景表法上の優良誤認や有利誤認に該当するかどうかチェックすればよいですが、医師の氏名や医療機関の名前が特定可能であり、医療広告となる場合には、広告可能な事項がかなり限られてきます。

その判断に迷われた際には、ぜひネクスパート法律事務所までご連絡いただければ幸いです。

ご参考(その他、バナーやinstagram等で限定解除されなくても広告可能な事項)

従業者の人数
医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴
医療従事者の専門性に関する認定を受けた旨
休日・夜間診療の実施
診療記録を電子化している旨
セカンドオピニオンの実施・実績
苦情相談窓口
症例検討会を開催している旨
往診の実施
在宅医療の実施
手術の件数
平均的な入院日数
在宅患者、外来患者、入院患者の数
平均病床利用率
患者満足度調査を実施している旨
医療従事者以外の従業者の氏名、年齢、性別、役職、略歴
保険指導又は健康相談の実施
治験を実施している旨
個人情報の適正な取扱いを確保するための措置
平均待ち時間
開設日・診療科目別の診療開始日
紹介可能な他の病院の名称
共同利用することができる医療機器に関する事項
紹介率・逆紹介率
クレジットカードの使用の可否、使用可能なクレジットカードの種類、分割払いの可否
入院患者に対して提供するサービスとして、貸しテレビの利用料、インターネットの接続環境やその他費用
手話又は点字を含む対応することができる言語
施設内に設置された店舗
駐車設備に関する事項
送迎サービス
携帯電話の使用に関する事項
通訳の設置
開設者
公認会計士又は監査法人の外部監査を受けている旨
町の写真等、医療に関する内容に該当しない事項
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