サプリメントの広告と薬機法について

目次

薬機法とは

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品に関する法律です。

医薬品とは

薬機法上、医薬品とは、以下のように定義されています。

なお、妊娠は疾病ではありませんが、ピルなどの避妊薬も医薬品に含まれます。

  1. 日本薬局方に収められている物
  2. 人又は動物の疾病の診断治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具等でないもの
  3. 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの

(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

医薬品等の広告

医薬品に限らず、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療について、薬機法上、主に、以下のような規制がなされています。違反すれば中止命令罰則が科される可能性があります。

①効能等の虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布の禁止

薬機法66条1項では、医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的、暗示的であるかを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告することや、記述流布することを禁止しています。

②効能等の保証等の禁止

薬機法66条2項では、医薬品等の効能、効果又は性能について、医師等がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告することを禁止しています。

③堕胎暗示・わいせつ表現の禁止

薬機法66条3項では、医薬品等に関して堕胎を暗示したり、わいせつな文書や図画を用いることを禁止しています。

④広告方法の制限

薬機法67条では、がんやその他の政令で定める特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品等であって、医師の指導の下に使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについては、厚生労働省令で、医薬品を指定し、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限する等、当該医薬品等の適正な使用の確保のために必要な措置を定めることができるとされています。

⑤未承認医薬品等の広告の禁止

薬機法68条では、承認前の医薬品等の広告を禁止しています。

⑥その他にも厚生労働省の通達である医薬品等適正広告基準によって規制されています。

医薬品に該当するかどうか

サプリメントについて、ビタミンや亜鉛などではなく、ただの水だとしても、効能効果を標ぼうするときや、名称や、用法容量の記載によっては医薬品であるとみなされます。また、「サプリ」であることを明記したとしても、医薬品であるとみなされることがあります。

医薬品であるとみなされてしまうと、承認を受けていなければ未承認の医薬品の広告や販売をしたことになり、行政指導だけでなく、刑事責任を問われ、最悪は逮捕され、刑務所に入らなければならないということになります。

製品に記載した表現が薬機法違反となった場合、製品回収もあり得るため、リスクが大きくなってきます。

またこのことは、当該商品が人体に悪影響を及ぼしたか否かなどの周辺事情とも無関係です。

薬機法違反のペナルティとは

薬機法に違反すると、以下のようなペナルティがあります。

  1. 行政処分
  2. 刑事責任(刑罰)

行政処分までの流れ

厚生労働省の場合

①外部からの情報提供(同業者・消費者からの告発)・職権調査
②調査
③行政指導
④弁明の機会の付与
⑤行政処分(業務改善命令、措置命令、業務停止命令、許可・登録の取消)
⑥売上額の調査
⑦納付命令除外の判断
⑧弁明の機会の付与
⑨課徴金納付命令(令和3年8月1日より)

都道府県の場合

①外部からの情報提供(同業者・消費者からの告発)・職権調査
②調査(厚生労働省と連携)
③行政指導
④弁明の機会の付与
⑤行政処分(業務改善命令、措置命令、業務停止命令、許可・登録の取消)
⑥厚生労働省への報告

刑事事件の流れ

①外部からの情報提供(同業者・消費者からの告発)・職権調査
②警察の捜査開始
家宅捜索
事情聴取
関係者の逮捕
③送検
④終局処分
多くの場合、略式起訴
被害額が多く悪質と判断された場合、起訴
⑤判決言渡し

無承認無許可医薬品については、

販売すると「3年以下の懲役もしくは二百万円以下の罰金」

広告すると「2年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金」

という罰則が定められています。

薬機法を理解する重要性

サプリメントを広告・販売するにあたり、薬機法違反にならないように、効能効果を述べなければよいと思うかもしれませんが、何に効くかわからないようなサプリメントを購入しようとする人はいません。

そのため、適切に広告・販売をするには、薬機法を理解することが必要不可欠です。

また、インフルエンサーにSNSで発信してもらうことや、口コミサイトに体験談を書いてもらうことなども効能効果の標ぼうとなり、これにより対象となる商品が医薬品であるとみなされてしまう可能性も生じるので十分注意が必要です。

目次
閉じる