販売に際し、高血圧、動脈硬化、肝臓疾患、便秘等に効果がある旨記載したポスターや、これらの疾患・症状に薬理作用を示す治験例集計紙を添付するなどして、その医薬品的効能効果を演述宣伝した事実を斟酌して「医薬品」に該当するとされた事例(最判昭和63年4月15日)

(原審:東京高判昭和59年9月12日)

(原々審:横浜地判川崎支部昭和58年12月21日)

※販売の際の演述を斟酌して、「医薬品」への該当性を判断した事例

目次

事案の概要

ある販売業者が、その業務に関し、無許可で、海藻エキス(わかめの芽株(胞子葉)の水溶液)を主成分とする「ビバ・ナチュラル」という製品を、高血圧、動脈硬化等に効果があるなどと演述、宣伝て、医師、薬局等に販売したことが、「医薬品」の無許可販売罪薬事法84条5号(現薬機法84条9号)に当たるとして起訴された事案です。

解説

本件では、薬事法(現薬機法)上の「医薬品」該当性につき、その製品の成分、形状、名称、表示された使用目的・効果効能・用法用量、販売方法、販売の際の演述宣伝の内容などを総合して判断がなされています。

本判決では、以下のような事実を挙げて、「ビバ・ナチュラル」が医薬品に該当すると認定されました。

成分: 海藻エキス

形状:顆粒状粉末1グラム入りのアルミ袋が1箱に30包入り

名称:「ビバ・ナチュラル」

効能効果:高血圧、動脈硬化、肝臓疾患に非常に効果がある

用法用量:効能書や宣伝用パンフレットの説明文に「1箱(30包入り、1か月分)」との表示。

     箱内に入れてある厚めの紙を使用した印刷物にも1日1包の処方を指示したとみられる記載がある

販売方法:1箱4500円で普通の海藻の市価と比較して高価。

     小売値が外箱に表示されている。

     外箱に東京都医師協同組合連合会推奨品のレッテルが貼られている

     「このビバ・ナチュラルは、高血圧、動脈硬化、肝臓疾患に非常に効果がある」旨を記載したポスターを配布し、これらの疾患・症状に対する薬理作用を示す「治験例集計紙」を添付するなどして、医薬品的効能効果を演述宣伝した。

他方で、アルミ袋30包を納めてある前の外部に製品名のほか、「海藻のエキス」、「健康食品」と表示してあること、その箱の中に入れられている約7センチ平方大の注意書に「当製品・海藻のエキス『ビバ・ナチュラル』は薬ではありません。」との記載があることを考慮しても、外観上医薬品に相当程度近似しているとの印象を否めないと判断されました。

目次
閉じる