韓国在住・韓国籍のインフルエンサーを日本に招いて撮影やプロモーション活動を行う場合、興行ビザの取得は必要でしょうか。
「韓国はビザ免除国だから不要では?」「小規模な撮影案件なら取得しなくても大丈夫では?」と考えている事業者の方もいらっしゃるかもしれませんが、報酬が発生する場合は案件の規模にかかわらず興行ビザの取得が必要です。
本記事では、興行ビザの必要性と、費用削減のための方策を解説します。
ビザ免除国でも興行ビザが必要な場合
ここでは、韓国籍のインフルエンサーが日本で活動する際にビザが必要となる場合を説明します。
韓国はビザ免除国であり、短期滞在(90日以内)であればビザなしで日本に入国できます。
しかし、日本での芸能活動(撮影を含む)で報酬が発生する場合には、在留資格「興行」(興行ビザ3号)の取得が必要です。
この要件は案件の大小によって変わることはありません。小規模な撮影案件であっても、報酬が発生する限り興行ビザの取得が必要です。
興行ビザを取得しない場合のリスク
ここでは、興行ビザを取得せずに活動した場合のリスクを説明します。
興行ビザを取得せずに報酬を伴う活動を行った場合、以下のリスクがあります。
- インフルエンサー本人
不法就労(資格外活動)に該当
退去強制の対象となる可能性 - マネジメント会社
不法就労助長罪に問われるリスク
法定刑:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
「他社では小規模案件はビザを取得していない」という話を聞くこともあるかもしれませんが、見逃されているだけで違法状態であることに変わりはありません。特にIPOを目指す企業にとっては、コンプライアンス上の致命傷となる可能性があります。
費用削減の方策
ここでは、興行ビザ取得にかかる費用を削減するための方策を説明します。
興行ビザの取得には1回あたり15万円程度の費用がかかることがあり、渡航費・宿泊費を合わせると利益が出ないケースもあります。以下の方策により、費用負担を軽減できる可能性があります。
長期在留期間の取得
興行ビザで「3月」以上の在留期間が許可された場合、在留カードが交付され、「みなし再入国許可制度」の対象となります。
この場合、在留期間内かつ出国から1年以内であれば、追加の手続きや費用なく複数回の入出国が可能です。
ただし、興行ビザの在留期間は30日・3月・6月・1年・3年の5種類があり、単発の撮影案件では「30日」または「3月」が許可されるケースがほとんどです。3月以上が許可されるのは、プロスポーツ選手や継続的に日本で活動する芸能人など、長期の活動実績がある場合に限られます。
したがって、単発案件中心の場合は実現可能性が限定的です。継続的に案件が発生する特定のインフルエンサーについては、年間の活動計画を具体化して長期ビザの申請を試みる余地はありますが、許可の可否は入管の審査次第となります。
申請業務の内製化
現在の費用の内訳が代行費用(行政書士等への依頼費用)が大部分であれば、社内で申請業務を行うことでコスト削減が可能です。
興行ビザ3号は1号と比べて要件が緩和されており、書類準備の難易度は相対的に低くなっています。
ただし、以下のデメリットがあります。
- 書類の不備や記載ミスがあった場合、審査が遅延し、撮影予定に影響をきたすおそれがある
- 通常の審査期間は1〜2週間程度だが、修正対応が発生すると長期化する可能性がある
- 入管への申請・書類受領のために従業員が出入国在留管理局へ出向く必要があり、人件費・移動コストが発生する
韓国籍やその他の国籍のインフルエンサーの日本国内における撮影業務が多い場合は、ナレッジを蓄積しながら内製化を進める方法が有効です。
クライアントへの費用転嫁
ビザ取得費用および渡航費用をクライアント負担とする契約条件に変更する方法です。
実務的にはこの方法が最も現実的と考えられます。全額負担が難しい場合でも、折半とすることで自社の費用負担を軽減できます。
マルチエントリービザは使えない
ここでは、マルチエントリービザ(数次有効ビザ)が使えない理由を説明します。
費用削減策として「マルチエントリービザ(複数回用ビザ)を取得できないか」という発想もあるかもしれません。
しかし、マルチエントリービザは「短期滞在」の在留資格に対する制度であり、短期滞在では「報酬を受ける活動」が認められていません。
韓国籍のインフルエンサーが日本国内で報酬を得て撮影・プロモーション活動を行う場合は「興行」の在留資格が必要となるため、マルチエントリービザによる対応はできません。
まとめ
韓国籍インフルエンサーの日本での活動に関するポイントは、次のとおりです。
- 報酬が発生する場合は興行ビザが必要
韓国はビザ免除国だが、報酬を伴う芸能活動には在留資格「興行」が必要 - 案件の大小は関係ない
小規模な撮影案件でも興行ビザの取得が必要 - 取得しない場合は不法就労助長罪のリスク
3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 - 費用削減策
長期在留期間の取得(条件が厳しい)、申請業務の内製化、クライアントへの費用転嫁 - マルチエントリービザは使えない
短期滞在用の制度であり、報酬を受ける活動には対応不可

