薬機法・景表法違反を回避する3つのポイント【インフルエンサーマーケティング担当者必見】

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はじめに

インフルエンサーマーケティングは、化粧品や健康食品などのプロモーションにおいて、今や欠かせない手法です。

しかし、その影響力の大きさから、広告に関する法規制も厳しくなっており、企業側は正しい知識をもって運用する必要があります。

本記事では、インフルエンサーにPRを依頼する際に特に注意すべき「景品表示法」「薬機法」について分かりやすく解説します。

注意点1:景品表示法のステルスマーケティング規制

消費者に広告と気づかれないように商品を宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」が社会問題化したことを受け、2023年10月1日から景品表示法で規制が開始されました。

インフルエンサーへの依頼も、企業(広告主)の表示とみなされるため、この規制の対象です。

インフルエンサーの投稿が広告である場合は、そのことを明確に示す必要があります。

具体的には、消費者が一目で広告だと認識できる表示が求められます。

明確な表示の例

  • 「#PR」「#広告」「#プロモーション」などのハッシュタグを投稿の冒頭に記載する。
  • 「〇〇社から商品提供を受けて投稿しています」といった文章を記載する。

もし、これらの表示を怠り、ステルスマーケティングと判断された場合、措置命令などの行政処分の対象となるのはインフルエンサーではなく、広告主である企業です。

企業の信用を大きく損なうおそれがあるため、必ずインフルエンサーに広告であることの明記を依頼してください。

注意点2:薬機法で禁止される広告表現

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)では、化粧品や健康食品について、医薬品と誤認されるような効能効果をうたう広告が禁止されています。

インフルエンサーが個人の感想として投稿する「体験談」であっても、その内容が企業の広告の一環とみなされる以上、この規制の対象です。

特に、以下のような表現は薬機法違反となる可能性が非常に高いため注意しましょう。

健康食品に関するNG表現例

  • 「このサプリを飲んだら、1か月で5kg痩せました!」(身体の変化に関する具体的な効果
  • 「飲むだけで脂肪が燃焼します」(医薬品的な効果の標ぼう)
  • 「生活習慣病が予防できます」(病気の予防に関する表現)

化粧品に関するNG表現例

  • 「この美容液でシミが完全に消えました」(身体の変化に関する具体的な効果
  • 「肌細胞が若返る」(アンチエイジング効果の保証
  • 「アトピーが治ります」(病気の治療に関する表現)

インフルエンサーの体験談として許されるのは、あくまで使用感の範囲内です。

許容される表現例

  • 「このスムージーは果物の味がしっかりしていて、朝の習慣にしやすいです」
  • 「この化粧水は、しっとりとした使い心地で気に入っています」

効能効果を暗示する表現は避け、事実に基づいた使用感などを中心に投稿してもらう必要があります。

企業が実施すべき具体的な対策

インフルエンサー任せにすると、意図せず法律に違反してしまうリスクがあります。

広告主である企業が主体的に管理体制を構築することが不可欠です。

具体的には、以下の対策を実施しましょう。

  • 契約書への遵守事項の明記
    インフルエンサーとの契約書に、景品表示法や薬機法をはじめとする関連法規の遵守を義務付ける条項を必ず入れます。
  • 投稿ガイドラインの作成・共有
    「#PR」の表示方法や、使用を禁止する具体的なNG表現などをまとめた分かりやすいガイドラインを作成し、事前に共有します。
  • 投稿前のレビュー体制の構築
    インフルエンサーが作成した投稿案(文章、画像、動画など)を、公開前に企業側で法的な観点から確認するフローを確立します。

これらの対策を講じることで、法令違反のリスクを大幅に低減できます。

まとめ:インフルエンサーマーケティングの法的リスク管理は弁護士へ

インフルエンサーマーケティングは効果的な販促手法ですが、景品表示法や薬機法などの法律を遵守しなければ、企業の信用失墜につながる大きなリスクを伴います。

「この表現は問題ないか」「契約書の内容は十分か」など、具体的な判断に迷う場面も少なくありません。

自社での判断に不安がある場合は、広告表現のリーガルチェックや契約書の作成について、企業法務に強い弁護士にあらかじめ相談することをおすすめします。

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