【最新】買取サービスにも景品表示法の規制が適用!知らないと危険な5つの広告パターン

近年、買取市場の拡大に伴い、買取業界では景品表示法への意識が高まっています

買取サービスでは、消費者が実際の買取価格について事前に情報収集することが、商品購入時ほど容易ではありません。そのため、適切な表示によって消費者の自主的かつ合理的な選択に資する情報提供が強く求められています。

消費者庁は令和64月に「景品類等の指定の告示の運用基準について」を改定し、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることを明確化しました。

 

目次

買取サービスの広告で問題となる5つの類型

ここでは、買取サービスの広告で景品表示法上問題となる可能性がある5つの類型について説明します。

買取価格参考・買取実績参考

実際の買取実績や相場と大きく乖離した参考価格を表示するケースです。

  • 「これまではこの価格で買い取りました!」
  • 「買取参考価格:〇万円」

 

買取価格アップ

通常価格からの上乗せを謳いながら、実際にはアップしないケースです。

  • 「買取価格1万円アップ」
  • 「最大40%買取アップ」

 

買取価格保証

最低保証価格を表示しながら、実際にはそれを下回る価格で買い取るケースです。

  • 「最低価格1,000円で買い取ります」
  • 「〇万円以上保証」

 

なんでも買取

条件なく何でも買い取ると表示しながら、実際には買取拒否するケースです。

  • 「どんな状態でも買い取ります」
  • 「何でも買取り可能」

 

どこよりも高く買取

他社との比較調査なく最高値を謳うケースです。

  • 「地域最高値で買取」
  • 「業界No.1の買取価格」

 

買取サービスにおける景品表示法上の考え方

ここでは、買取サービスの表示が景品表示法上どのように判断されるかについて説明します。

買取サービスに関する表示が、実際のものまたは事実に相違して競争事業者のものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認される場合には、優良誤認表示または有利誤認表示として景品表示法上問題となります。

特に強調表示については、買取サービスの内容や取引条件について無条件または無制約に当てはまるものと一般消費者に受け止められるため、例外などがある場合は、その旨の表示(いわゆる打消し表示)を分かりやすく適切に行わなければ、一般消費者に誤認され、景品表示法上問題となるおそれがあります。

 

買取価格参考・買取実績参考の問題点

「買取参考価格」という表示から、一般消費者は表示されている商材が当該価格でまたは当該価格に近い金額で買取りされると認識します

買取業者自らが実際に買い取ることを想定した場合の金額(過去の買取実績や直近における買取市場の相場を踏まえた金額)を大きく上回る金額を「買取参考価格」として表示し、表示している商材を当該価格よりも著しく低い価格で買い取る場合には、不当表示のおそれがあります

「買取実績価格」についても同様に、買い取った実績のない金額を表示し、実際にはそれよりも著しく低い価格で買い取る場合には、不当表示のおそれがあります

 

 未使用品の場合の買取価格をはるかに上回る高い金額を「買取参考価格」や「買取実績価格」として表示する場合は有利誤認表示になります。

 

買取価格アップの問題点

「買取価格アップ」という表示から、一般消費者は通常の買取価格からアップされた価格で買い取ってもらえると認識します

通常の買取価格からアップしない場合には、不当表示として問題となります。また、期間限定の買取価格アップキャンペーンが常態化している場合にも、不当表示のおそれがあります

 

通常の買取価格が1万円のところ、「買取価格20%アップキャンペーン」と表示しながら、実際にはアップせずに1万円で買い取る場合

有名ブランド腕時計の買取価格を10%アップするキャンペーンを1月末まで実施すると表示していたにもかかわらず、2月以降も同じ内容のキャンペーンを継続する場合。

 

買取価格保証の問題点

「買取価格保証」という表示から、一般消費者は必ず当該保証価格以上で買取りされると認識します

「買取価格保証」と表示して、実際には保証価格を下回る金額で買い取る場合には、不当表示のおそれがあります

 

有名ブランドバッグを1万円以上で買い取る旨を強調して表示しながら、実際には汚れがあること等を理由に5,000円で買い取る場合。

 

なんでも買取の問題点

「何でも買取り」という表示から、一般消費者は特段の条件なく、どのような状態であっても買取りされると認識します

「何でも買取り」と表示して、実際には一般消費者が持ち込んだ物品等の一部または全部を買い取らない場合には、不当表示のおそれがあります

「どんな商品でも・どのような状態でも買い取ります」などと、何でも無条件で買い取る旨を強調して表示しながら、実際には取扱商材ではないことや汚れがあること等を理由に買い取らない場合、優良誤認となります。

 

どこよりも高く買取の問題点

「どこよりも高く買取り」という表示から、一般消費者は他社と比較して当該事業者の買取価格が最も高いと認識します

他社と比較して買取価格の高さを特に強調する表示として、どこよりも高く買い取る旨の表示をしながら、事実と異なる場合には、不当表示として問題となります

 買取価格地域No.1と表示しながら、実際には同一地域内の競合他社の買取価格を何ら調査していない場合、有利誤認表示となります。

 

買取サービスと景品規制について

ここでは、買取サービスにおける景品規制の適用について説明します。

買取価格に応じて以下のようなサービスを提供する場合には、景品類に該当し、景品規制の対象となります

  • 次回以降に利用可能な買取価格アップ券を付与する場合
  • 現金をプレゼント(いわゆるキャッシュバック)する場合
  • 自社サービスで利用(買取価格の上乗せ等)可能なポイントを付与する場合

ただし、買取サービスにおいて実施されることが多い買取価格アップキャンペーンについて、次回以降の買取価格をアップするものではなく、その場で買取価格をアップする場合には、アップ分を含めた買取価格全体が取引の対価となるため、当該アップ分は原則として景品類に該当しません

 

まとめ

買取サービスも景品表示法の規制対象となったことで、買取業者は広告表示により一層の注意が必要になりました。消費者の誤認を招く表示は、優良誤認表示や有利誤認表示として法的問題となる可能性があります。

買取業者の皆様は、自社の広告表示が景品表示法に適合しているかを定期的に確認し、必要に応じて専門家にご相談されることをお勧めします。適切な表示により、消費者との信頼関係を築き、健全な買取市場の発展に貢献しましょう。

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