「第6回 アフィリエイト広告等に関する検討会(2022年1月28日)」について公表された資料がとても話題になっています。
気になっている広告主、広告代理店、アフィリエイター、ライターの方は多いと思いますので、簡単にポイントを解説したいと思います。
特に注意すべき商材と問題となる法律
まず、消費者庁が特に注意すべき商材として挙げているのは以下の3類型になります。
金融系、健康食品・化粧品系、美容・エステ系といった商材にかかわる方は特に注意してください。
特に注意すべき商材 | 問題となる法律 |
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金融系(FXや株取引、カードローン・保険など) | 金融商品取引法・景品表示法・業界団体の自主規制など |
健康食品、化粧品系 | 薬機法・健康増進法・景品表示法・特定商取引法など |
美容、エステ系 | 医療法・景品表示法・業界団体の自主規制など |
金融系(FXや株取引、カードローン・保険など) |
金融商品取引法・景品表示法・業界団体の自主規制など |
健康食品、化粧品系 |
薬機法・健康増進法・景品表示法・特定商取引法など |
美容、エステ系 |
医療法・景品表示法・業界団体の自主規制など |
次に、報告書案では、広告主が知らなかったでは済まない、厳正な処分を、ということが明確に打ち出されています。
「アフィリエイト広告であっても、広告主による広告である以上、アフィリエイト広告の表示内容についてはまずは広告主が責任を負うべき主体であるということを、広告主等の事業者側及び国民生活センターや日本広告審査機構等の問題表示を指摘する側の双方に加え、消費者にも広く周知徹底していくことが必要である。こうした効果的な周知徹底のためにも、アフィリエイト広告を用いた不当表示に対して、景品表示法に基づき、厳正な対処を行うことが重要である。」
不当表示防止のための7つの事項
ここで、平成26年に策定された「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」を確認します。
ここでは、不当表示を防止するための7つの事項が打ち出されています。
不当表示防止のための7つの事項 | 具体的措置 |
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①景品表示法の考え方の周・啓発 | 景品表示法の考え方について、表示等に関係している役員や従業員にその職務に応じた周知・啓発を行う。 |
②法令遵守の方針等の明確化 | 景品表示法を含む法令遵守の方針や法令遵守のためにとるべき手順等を明確化する。 |
③表示等に関する情報の確認 | 商品又はサービスの長所や要点を一般消費者に訴求するために、その内容等について積極的に表示を行う場合には、当該表示の根拠となる情報を確認する。 |
④表示等に関する情報の共有 | ③で確認した情報を、当該表示等に関係する各組織部門が必要に応じて共有し確認できるようにする。 |
⑤表示等を管理するための担当者等を定めること | 表示等に関する事項を適正に管理するため、表示等を管理する担当者又は担当部門をあらかじめ定める。 |
⑥表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること | ③で確認した表示等に関する情報を、表示等の対象となる商品又はサービスが一般消費者に供給され得ると合理的に考えられる期間、事後的に確認するために、例えば、資料の保管等必要な措置を採る。 |
⑦不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応 | 特定の商品又はサービスに景品表示法違反又はそのおそれがある事案が発生した場合、事実関係の迅速かつ正確な確認、迅速かつ適正な一般消費者の誤認排除、再発防止に向けた措置を行う。 |
①景品表示法の考え方の周知・啓発 |
景品表示法の考え方について、表示等に関係している役員や従業員にその職務に応じた周知・啓発を行う。 |
②法令遵守の方針等の明確化 |
景品表示法を含む法令遵守の方針や法令遵守のためにとるべき手順等を明確化する。 |
③表示等に関する情報の確認 |
商品又はサービスの長所や要点を一般消費者に訴求するために、その内容等について積極的に表示を行う場合には、当該表示の根拠となる情報を確認する。 |
④表示等に関する情報の共有 |
③で確認した情報を、当該表示等に関係する各組織部門が必要に応じて共有し確認できるようにする。 |
⑤表示等を管理するための担当者等を定めること |
表示等に関する事項を適正に管理するため、表示等を管理する担当者又は担当部門をあらかじめ定める。 |
⑥表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること |
③で確認した表示等に関する情報を、表示等の対象となる商品又はサービスが一般消費者に供給され得ると合理的に考えられる期間、事後的に確認するために、例えば、資料の保管等必要な措置を採る。 |
⑦不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応 |
特定の商品又はサービスに景品表示法違反又はそのおそれがある事案が発生した場合、事実関係の迅速かつ正確な確認、迅速かつ適正な一般消費者の誤認排除、再発防止に向けた措置を行う。 |
この指針を受けて、今回の検討会では、以下のような提言がなされています。
提言内容 | 対策例 |
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提言①:表示の管理等 | ⑴ 表示内容の確認 ⑵ 表示等の根拠となる情報の保管 ⑶ 表示等の管理担当者等の設置 ⑷ 管理担当者等に対する研修の実施 |
提言②:不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応 | ⑸ 相談窓口の設置 ⑹ 問題があるアフィリエイト広告の是正・削除及び委託契約解除 |
提言③:アフィリエイト広告における「広告」である旨の表示 |
提言①:表示の管理等 |
⑴ 表示内容の確認 ⑵ 表示等の根拠となる情報の保管 ⑶ 表示等の管理担当者等の設置 ⑷ 管理担当者等に対する研修の実施 |
提言②:不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応 |
⑸ 相談窓口の設置 ⑹ 問題があるアフィリエイト広告の是正・削除及び委託契約解除 |
提言③:アフィリエイト広告における「広告」である旨の表示 |
提言を踏まえて|具体的に何をすればよいか
さて、ここからが問題で、この提言を踏まえて、具体的に何をすればいいか、整理してみましょう。
⑴ 表示内容の確認
- 掲載面やクリエイティブについては、事前にリーガルチェックを行うこと
- 広告主やASPとしては、チェック後にアフィリエイターが無断で掲載面を変更しないかモニタリングすること
- ①②を行ったことをエビデンスとして残しておくこと(消費者庁から指導等があったときのために)
⑵ 表示等の根拠となる情報の保管
これは広告主の問題ですが、合理的な根拠を実証するためのエビデンスを残す必要があります。特に「99%の除菌効果」「2週間でマイナス5キロ」など、数字を表示する場合にはかなり慎重にエビデンスを用意する必要があります。また、薬機法や医療法に関しては、エビデンスがあったとしても禁止される表現が多々あるので留意が必要です。
⑶ 表示等の管理担当者等の設置
⑷ 管理担当者等に対する研修の実施
⑸ 相談窓口の設置
管理担当者を決めることは簡単ですが、研修をすることや相談窓口に来た問い合わせへの対応については、ぜひ弁護士に任せてください。
ここからは宣伝ですが、ネクスパート法律事務所では、チャットワークやslackなどのチャットツールで担当者の方とやりとりさせていただきます。日々のやりとりで担当者のレベルを上げていただき、定期的に研修を行います。また、相談窓口を直接法律事務所宛にしていただくことや、外部ツールを利用して定期モニタリングを効率よく行うことも可能です。
⑹ 問題があるアフィリエイト広告の是正・削除及び委託契約解除
これは広告主やASPの問題ですが、是正を求めたことや委託契約を解除したことのエビデンスを残しておくことがポイントになります。
アフィリエイト広告に関して、消費者庁の取り締まりは益々厳しくなっていくことが想定されます。
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