洗濯補助用品の課徴金納付命令について

令和3年10月19日、マグネシウムを使用した洗濯用品等の製造販売業を営む法人に対して、3606万円の課徴金納付命令が下されました。

本件は、同年4月27日に措置命令が下されていますが、今回は、措置命令を上回る課徴金納付命令となります。

目次

概要

「洗たくマグちゃん」と称する商品等を使用して洗濯すれば、商品の効果により、洗濯用洗剤を使用して洗濯した場合と同程度に洗浄する効果、部屋干し臭の発生を防止する効果及び菌を99パーセント以上除菌する効果が得られるかのように示す表示をしていました。

消費者庁は、期間を定めて、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、同社から資料が提出されましたが、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものでした。

その結果、景表法第5条第1項違反の優良誤認表示にあたると判断され、3606万円の課徴金納付命令が下されました。

画像は消費者庁HP内「株式会社宮本製作所に対する景品表示法に基づく措置命令について」より引用

打消し表示について

自社ウェブサイトにおける表示について、

・「但し特定の菌に限る」

・「泥汚れやファンデーション、機械油などの汚れは別途洗剤を使って部分洗いをお願い致します。」

引用元:消費者庁|株式会社宮本製作所に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について

と表示していました。

強調された広告の表示に例外がある場合には、その表示に例外がある旨を分かりやすく適切に表示しなければなりません。

この表示を打消し表示といいます。

打消し表示は、強調表示だけでは一般消費者が認識できない例外条件、制約条件等がある場合に例外的に使用されるものになります。

そのため、打消し表示をすれば、強調表示は何を表示しても構わないということにはなりません。

また、打消し表示は、一般消費者がその内容を正しく理解できる内容でなければなりません。

今回課徴金納付命令が下された表示については、強調表示を打ち消すものではないと判断されました。

体験談やQ&Aの表示内容のNG事例(抜粋)

✔本当にニオイが消えます。
✔化学物質を使わないエコな画期的商品。
✔マグちゃんはどんな汚れもきれいに落ちますか。

引用元:消費者庁|株式会社宮本製作所に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について

⇒検査機関が行った実験データによると、マグちゃんで洗濯したときの皮脂汚れの分解率は市販の洗剤と変わりません。

不実証広告規制について

体験談などを記載することによって、効果や性能を具体化している場合には、不実証広告規制の対象となるとされています。

これは、具体的なイメージを一般消費者に持たせてしまう可能性があり、著しく優良であると誤認させるおそれがあるためです。

事業者が表示の裏付けとなる合理的な根拠とは認められない資料を提出した場合には、優良誤認表示とみなされる可能性があります。

また、提出資料は、表示された具体的な効果、性能が事実であることを説明できるものでなければなりません。

措置命令を受けないようにするために

事業者は、商品やサービスの効果を著しく優良であると示す場合には、あらかじめ表示の裏付けとなる合理的な根拠を持って表示を行う必要があります。

また、新たな試験や調査の実施のために提出期限を延期することはできません。

著しく優良であるとの判断は、事業者の目線ではなく、一般消費者の認識に基づくものになります。

商品やサービスの選択に影響を与えるほどに、誇張された表示は「著しく」とみなされる可能性があります。

消費者庁から提出を求められてから準備するのでは、間に合わない可能性がありますので、広告表示には細心の注意が必要です。

ネクスパート法律事務所では、景表法や薬機法のチェックを行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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