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東京南青山・1階路面店のレストランに対する立退きが認められなかったケース

東京都南青山駅から徒歩2分の立地にある5階建のビル。その1階部分でレストランを経営してきた借主。しかし、建物を大改装するとして立退きを求められました!裁判所が借主の立退きを認めなかったポイントは?
裁判所が考慮した事実(東京地判平成28年3月11日)
実は増改築によって、消防法に違反する状態だった
本件建物は、増改築を経て数々の消防法に違反する部分がある状態でした。そのため、消防署が立ち入り検査を行い、できる限り早く違法状態を解消する必要がある状態でした。貸主は、本件建物の大改修の必要性があるとして借主に対して立退料を提示して立退きを求めました。
借主は契約違反なく、10年以上の長期間に渡りレストランを経営
借主は、本件建物で10年以上もの間レストランを経営してきました。借主のレストランは、南青山という立地を生かして、軌道に乗った経営を続けてきました。また、借主はその間1度も契約違反をしたことがありませんでした。これらのことから、裁判所は、借主が本件建物を使用し続ける利益が高い旨の判断をしました。
貸主の消防法違反による大改装計画は借主に酷だった
貸主は、消防違反の判断を受け、本件建物の大改装計画を具体的に立てていました。しかし、その内容として、借主が関係する部分は非常に少なく、必ずしも借主が退去する必要はありませんでした。そのため、裁判所は、借主が本件建物を使用する利益と、貸主が借主を退去させる利益とを比較し、退去は認めない判断をしました。
弁護士が解説する立退料算定のポイント
本件で特徴的なのは、貸主が借主を退去させる必要性が乏しいとして、貸主が立退料を提示しているにもかかわらず、立退きを認めなかった点にあります。立退きを拒否したい場合には、立ち退かせる必要がないことを立証することも1つの手段であることが分かります。