OpenWorkは、企業の社員が自社に関する口コミを投稿できる情報サイトです。
不適切な口コミを放置すると優秀な人からの応募が来にくくなるおそれがあります。
この記事では、OpenWork上に投稿された誹謗中傷口コミや事実無根の掲載情報を削除するための手続きについて、次のとおり解説します。
- OpenWorkの誹謗中傷口コミを削除する方法
- OpenWorkへの削除依頼時の注意点
- OpenWorkの不適切な口コミを削除できない場合の対処法
- OpenWorkへの削除依頼を弁護士に相談する3つのメリット
誹謗中傷の口コミが投稿された企業様は、ぜひご参考になさってください。
OpenWorkの誹謗中傷口コミを削除する方法
ここでは、OpenWorkの誹謗中傷口コミを削除する方法について解説します。
削除対象となる口コミの基準を理解する
OpenWorkでは、以下に該当する場合に不適切な情報と判断し、掲載情報を非掲載とする対応がとられています。
1.申請内容から掲載情報が明らかに投稿時の事実と異なると判断できる場合
2.申請内容から掲載情報が明らかに誹謗中傷に該当する表現を含むと判断できる場合
3.その他掲載内容が公序良俗に反すると判断できる場合
引用元:OpenWork
不適切な情報かどうかの判断はOpenWork側が行い、投稿内容が不適切であると明確に判断できない場合は非掲載にしないとされています。
ネットもしくは書面郵送で削除依頼をする
OpenWorkへの削除依頼には、次の2つの方法があります。
- ウェブサイト上の通報・報告
- 書面郵送による削除依頼
ひとつずつ説明します。
ウェブサイト上の通報・報告
OpenWorkでは、読み手が不適切と感じられる投稿に対し、口コミ情報の閲覧ページから同社に報告できるフォームが設けられています。
不適切な口コミの表示画面右下の報告するボタンを押すと、報告フォームが開きます。報告フォームには、以下の事項を入力します。
- 不適切と思われる具体的内容
- 対象企業との関係
報告フォームから通報された口コミについて、OpenWorkが不適切と判断した場合は、削除される仕組みになっています。
書面郵送による削除依頼
ウェブサイト上の通報・報告のほか、プロバイダ責任制限法ガイドラインに則った削除請求の方法があります。
以下の書類をOpenWorkのCRS事務局に郵送して削除を依頼します。
- プロバイダ責任制限法ガイドラインに基づく侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書
- 発行後3ヶ月以内の印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)
- 発行後3ヶ月以内の登記簿謄本(発行後3か月以内のもの)
- 委任状(代理人による削除依頼の場合)
- 削除基準に該当する不適切な情報であることを明確に証明できるもの
プロバイダ責任制限法ガイドラインに基づく依頼書は、以下のPDFファイルを印刷してご利用ください。
侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書|プロバイダ責任法ガイドライン等検討協議会
削除依頼後、OpenWorkから削除依頼の結果や進捗状況についての個別の連絡はありませんので、削除されたかどうかは、自社に関する掲載情報を実際に見て確認する必要があります。
OpenWorkへの削除依頼時の注意点
ここでは、OpenWorkへの削除依頼時の注意点を解説します。

自力で削除依頼をする場合、確実に削除に応じてもらえるとは限らない点にご注意ください。
口コミを削除(非掲載)してもらえるとは限らない
削除依頼をしても、必ず非掲載になるとは限りません。口コミを削除(非掲載)するかどうかはOpenWorkが判断します。
営業妨害と主張されることがある
掲載されている情報が事実であるのに、不正な理由により削除依頼を申請した場合は、OpenWorkから営業妨害と主張されるケースもあるそうです。
例えば、事実と明らかに異なる投稿や誹謗中傷にあたる投稿でないのに、「会社のイメージダウンに繋がるから」との理由で削除請求した場合は、営業妨害と主張される可能性があります。
不正な理由による削除依頼が公開されるおそれがある
不正な理由により削除依頼を申請した場合、企業名と削除依頼の内容をOpenWorkのサイト上に公開されるおそれがあります。
このような措置は、不当な削除依頼や脅迫的な削除依頼に対するサイト管理者としての防衛措置・対抗措置として設けられていると考えます。礼節を守って正当な削除依頼を行えば、基本的には依頼内容が不当に公開されるケースは考えにくいです。
口コミ投稿者による削除依頼はできない
OpenWorkでは、口コミ投稿者による削除依頼に応じていません。レポート送信後・退会後のいずれも投稿者からの削除は認められていません。
OpenWorkの不適切な口コミを削除できない場合の対処法
ここでは、OpenWorkが任意の削除依頼に応じない場合の対処法について解説します。



削除請求に応じてもらえない場合は以下の対応をご検討ください。
裁判所に仮処分を申立てる
Openworkが削除依頼に応じない場合は、裁判所に削除の仮処分を申立てる方法があります。
削除の仮処分を申立てる場合は、管轄裁判所に対して以下の書類を提出します(東京地方裁判所の場合)。
- 仮処分命令申立書(収入印紙2,000円貼用)
- 証拠説明書
- 書証(債権者の権利が侵害されていることを示す証拠資料等)
- OpenWorkの登記事項証明書
- 自社の登記事項証明書(法人の場合)
自社の請求が裁判所に認められ、削除の仮処分命令が発令された場合は、Openwork側も裁判所の判断を尊重し、口コミ投稿を削除する可能性があります。


投稿者に対する法的手続きをとる
OpenWorkにおいて、自社に対する事実無根・誹謗中傷の口コミが投稿された場合、投稿者に対して損害賠償を請求することも可能です。口コミが悪質な場合は、刑事事件として被害届の提出や刑事告訴を検討するケースもあります。
ただし、OpenWorkは実名投稿ではないため、損害賠償請求等を行うためには、投稿者を特定しなければなりません。投稿者を特定するには、発信者情報開示請求の手続きをとる必要があります。
発信者情報開示請求は、投稿によって自らの権利が侵害されたことに加えて、権利侵害の明白性がある場合に認められます。
- OpenWorkに対して発信者情報開示請求を行う
- OpenWorkから開示されたIPアドレスからアクセスプロバイダを特定する
- アクセスプロバイダに対しアクセスログの保存を求める
- アクセスプロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟を提起する
- 勝訴判決が得られれば発信者情報(投稿者の氏名・住所等)が開示される


OpenWorkへの削除依頼を弁護士に相談する3つのメリット
ここでは、OpenWorkへの削除依頼を弁護士に相談するメリットを解説します。
自力で対応するよりも早く誹謗中傷を削除しやすい
弁護士に依頼すれば、法的根拠に基づいて適切に削除依頼の手続きを進められるため、自ら削除依頼するよりスムーズに対応してもらえる可能性があります。
投稿者を特定したい場合にも、発信者情報開示請求の手続きをすべて任せられます。
OpenWorkが任意の削除依頼に応じない場合は法的手続きを代行してもらえる
OpenWorkが任意の削除依頼に応じない場合は、仮処分手続きを利用せざるを得ません。削除の仮処分が認められるためには、被保全権利の存在と保全の必要性を裁判所に主張・立証しなければなりません。
弁護士に依頼すれば、必要な証拠の収集や法律知識に基づく適切な主張をしてもらえるので、迅速かつ円滑に手続きを進められます。
投稿者の特定やその後の一連の手続きを任せられる
投稿者を特定するためには、発信者情報開示請求の手続きが必要です。発信者情報開示請求は手続きが煩雑で、仮処分や訴訟が必要になる可能性が高いです。
裁判所に発信者情報の開示を認めてもらうためには、法的に正確な主張・立証を行わなければなりません。
弁護士に依頼すれば、仮処分の申立てから発信者特定後の損害賠償請求・刑事告訴等の一連の手続きをすべて任せられます。
まとめ
OpenWorkで自社に対する事実無根・誹謗中傷の投稿を発見したら、被害の拡大を防止するために、なるべく早く削除依頼を行いましょう。
OpenWorkが任意の削除依頼に応じない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
ネクスパート法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷等に関するご相談を随時受け付けております。OpenWork上で誹謗中傷口コミを投稿された企業や経営者の方は、お気軽にご相談ください。