SNS誹謗中傷対策・投稿者の特定方法・予防策・相談窓口を詳しく解説

インターネット上のトラブル、特に近年ではSNSにおける誹謗中傷が社会問題となっています。SNSで誹謗中傷の被害を受けた場合はどのような対応をとれば良いのでしょうか?

この記事では、SNSでの誹謗中傷の対策方法や予防策について解説します。

  • SNSで誹謗中傷されたらどのような対応をとればいい?具体的な対処方法は?
  • SNSで誹謗中傷した相手は特定できる?
  • SNSでの誹謗中傷被害を予防する方法
  • SNSで誹謗中傷されたとき相談できる窓口は?

SNSでの誹謗中傷に悩んでいる方は、ぜひご参考になさってください。

目次

SNSで誹謗中傷されたらどのような対応をとればいい?具体的な対処方法は?

ここでは、SNSで誹謗中傷の被害を受けた場合の対応方法について解説します。

SNS上の誹謗中傷は、投稿された内容に違法性があれば削除できる可能性があります。

削除方法には、主に次の3つの方法があります。

  1. SNSの運営会社に投稿の削除を依頼する
  2. プロバイダ責任制限法ガイドラインに則った削除請求を行う
  3. 削除請求の仮処分を申立てる

ひとつずつ説明します。

SNSの運営会社に投稿の削除を依頼する

誹謗中傷が投稿されたSNSのヘルプページ等に、運営会社と連絡が取れる窓口(ウェブフォームやメールアドレス等)が用意されている場合は、それらを利用して削除を依頼する方法があります。

削除依頼に任意で応じるかどうかは運営会社によりますが、削除依頼に応じてもらえる場合は、早ければ1日~数日中に対応してもらえるケースもあります。

ウェブフォームや電子メールで削除依頼を行う場合は、次の2つの情報を明記します。

  • 削除を求める具体的箇所のURL
  • 削除を求める理由

ウェブフォームや電子メールから削除依頼を行った場合、問題の投稿が削除されると同時に、その投稿が行われた際のアクセスログも削除される可能性があります。

そのため、発信者情報開示請求を予定している場合には、削除依頼の際、次の点も明記しましょう。

  • 発信者情報開示請求を予定していること
  • アクセスログを消去せず保存しておいて欲しいこと

プロバイダ責任制限法ガイドラインに則った削除請求を行う

プロバイダ責任法ガイドラインは、インターネットサービスプロバイダ等で構成される一般社団法人テレコムサービス協会が作成したガイドラインです。このガイドラインに沿ってSNSの運営会社等に侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書を送付する方法があります。

ガイドラインで請求書に添付することが求められている書類は、以下のとおりです。

  • 公的な身分証明書の写し(請求者が個人の場合)
  • 資格証明書(請求者が法人の場合)
  • 印鑑登録証明書
  • 請求者の権利が侵害されていることを示す証拠資料
  • 委任状(代理人による請求の場合)

請求を受けたSNSの運営会社等は、発信者に連絡が取れない場合を除き、原則として発信者に意見照会を行います。その後、回答期限を経て請求者に対し正式な回答が行われるのが一般的です。意見照会の期間は7~14日間とされているのが大半です。

なお、意見照会の際に、発信者に示してもよい情報の範囲や削除対象について、SNS運営会社等から問い合わせが入ることもあります。

請求から回答がなされるまでの期間は、多くのケースで1か月程度かかります。

削除請求の仮処分を申立てる

SNSの運営会社が任意の削除依頼やガイドラインに則った削除請求に応じない場合は、仮処分手続きを利用する方法があります。

削除請求の仮処分は、次のいずれかを管轄する裁判所に申立てます。

  • 債務者(SNSの運営会社)の住所地
  • 債権者(被害者)の住所地

削除請求の仮処分の申立てに必要な書類は、以下のとおりです(東京地方裁判所の場合)。

仮処分手続きでは、裁判所が債権者の主張を認める場合には、債権者に対して担保金を供託するように命じます。債権者は、裁判所から指定された金額を法務局へ供託します。削除の仮処分の場合の担保金の目安は、30~50万円です。

申立てから裁判所の削除命令が出るまでの期間は、2週間~1か月程度です。ただし、債務者が日本国内に拠点を全く持たない外国法人である場合は、半年以上かかるケースもあります。

裁判所が削除命令を出すと、債務者が投稿を削除するため、その後の訴訟等は不要になるのが一般的です。

SNSで誹謗中傷した相手は特定できる?

ここでは、SNSで誹謗中傷等をした発信者を特定する方法について解説します。

発信者情報開示請求とは

発信者情報開示請求とは、発信者の情報を保有するプロバイダ等に対して、発信者のIPアドレスや住所・氏名等の情報開示を求める手続きです。

SNSで誹謗中傷の被害を受けた場合、書き込みや投稿をした相手を特定できなければ、損害賠償請求など被害回復のための措置をとれません。

削除請求により権利を侵害する投稿を削除しても、発信者が新たに投稿をする可能性もあります。

発信者情報開示請求手続きで発信者を特定し、不法行為に基づく損害賠償請求や刑事告訴等を行うことで、被害者の被害回復を図ります。今後同じような投稿をさせないための抑止力にもなります。

発信者情報開示請求手続きの流れ

発信者情報開示請求手続きの流れは、以下のとおりです。

  • SNSの運営会社に対して発信者のIPアドレスの開示を求める
  • 運営会社が任意開示に応じない場合は発信者情報開示の仮処分を申し立てる
  • IPアドレスから投稿に使用されたプロバイダを特定する
  • プロバイダに発信者情報の開示を請求する

ひとつずつ説明します。

SNSの運営会社に対して発信者のIPアドレスの開示を求める

SNSの運営会社に対して発信者のIPアドレスの開示を求める場合は、削除請求と同様に次の2つの方法があります。

  • ウェブフォーム・電子メールで発信者情報開示を依頼する
  • プロバイダ制限法ガイドラインに従い発信者情報開示請求を行う

ただし、TwitterやFacebookなどの内部基準は裁判所の基準よりも厳しいため、裁判所の開示命令がなければ原則として発信者情報の開示に応じてもらえないのが実情です。

運営会社が任意開示に応じない場合は発信者情報開示の仮処分を申し立てる

SNSの運営会社が任意開示に応じない場合は、発信者情報開示の仮処分を申立てます。

発信者情報開示の仮処分は、債務者(情報開示を求める相手方)の住所地を管轄する裁判所に申立てます。

発信者情報開示の仮処分の申立てに必要な書類は、以下のとおりです(東京地方裁判所の場合)。

  • 仮処分命令申立正本(収入印紙2,000円を貼用)
  • 証拠説明書
  • 疎明資料の写し(書証)
  • 資格証明書(債権者・債務者が法人の場合)
  • 訴訟委任状(代理人による申立ての場合)

仮処分手続きでは、裁判所が債権者の主張を認める場合には、債権者に対して担保金を供託するように命じます。債権者は、裁判所から指定された金額を法務局へ供託します。発信者情報開示の仮処分の場合の担保金の目安は、10~30万円です。

申立てから裁判所の開示命令が出るまでの期間は、2週間~2か月程度です。ただし、債務者が日本国内に拠点を全く持たない外国法人である場合は、半年以上かかるケースもあります。

TwitterやFacebookへの発信者情報開示の仮処分申立てでは、裁判所が開示命令を出すと、発令後数日で発信者情報(IPアドレス・タイムスタンプ)が開示されます。

IPアドレスから投稿に使用されたプロバイダを特定する

SNSの運営会社から発信者情報の開示を受けても、多くのケースで投稿に使用されたIPアドレス等のアクセスログしか判明しません。

発信者の住所・氏名の開示を受けるためには、投稿に使用されたプロバイダを特定し、プロバイダに発信者情報の開示を求めなければなりません。

プロバイダを調べる方法には、Whois検索を利用します。Whois検索とは、ドメインやIPアドレスを誰が管理しているかをデータ化して検索できるようにしたシステムです。

検索エンジンでWhoisと検索すればWhois検索ができるウェブサイトが表示されます。

プロバイダに発信者情報の開示を請求する

Whois検索で投稿に使用したプロバイダを特定したら、当該プロバイダに対して発信者情報の開示を求めます。

プロバイダに対する開示請求は原則として訴訟で行います。訴訟提起に先立ち、プロバイダに対しアクセスログの保存を要請することも重要です。

発信者情報開示請求を提起すると、プロバイダは、対象となる投稿の発信者に対し、発信者情報開示に同意するかどうかの意見照会を行います。発信者が開示に同意した場合は、判決を待たずに任意に開示されることもあります。

発信者が開示を拒否した場合や、意見照会に対して回答がない場合は、プロバイダは訴訟において開示を争うことになります。発信者情報開示請求訴訟は、ほとんどのケースで2~3回の口頭弁論期日で終結となり、判決期日が指定されます。

原告の請求が認められ勝訴判決が出れば、プロバイダが発信者情報を開示してくれます。

発信者情報開示請求の注意点

SNSでは、発信者が自ら問題となる投稿を削除することもあり得るため、当該投稿のウェブページを早期に証拠化することが重要です。

問題となる投稿を発見した場合は、なるべく早く以下の情報を証拠として保存しましょう。

  • 投稿の存在およびその内容
  • 投稿があったウェブサイトのURL

保存方法には、次の3つの方法があります。

  • 投稿があったウェブサイトをプリントアウトして印刷物として保存する
  • 投稿があったウェブサイトをスクリーンショットして画像として保存する
  • 投稿があったウェブサイトを動画で撮影して保存する

いずれの場合も、URL全体が表示されるように証拠化して保存します。

誹謗中傷した相手が特定できた後の流れ

誹謗中傷した相手に損害賠償を請求する

発信者の特定後は、発信者に対して、投稿・書き込みによって被った損害の賠償を請求できます。今後同じような投稿を行わないよう誓約させることも検討します。

刑事告訴する

誹謗中傷が悪質な場合には、警察への被害届の提出や刑事告訴により、刑事事件として発信者の処罰を求めることも可能です。

SNSでの誹謗中傷被害を予防する方法

ここでは、SNSでの誹謗中傷被害を予防する方法について解説します。

SNS運用と誹謗中傷発生時のルールを作っておく

SNSを運用している企業は、誹謗中傷被害を予防するための対策や、誹謗中傷が発生した場合の解決策のルールを作成しましょう。

社内や従業員に向けて、文章・画像の作成方法や管理方法、投稿方法などのルールを示し、定期的に研修の機会を設けることをおすすめします。

対社外には、炎上や誹謗中傷対策のために免責事項や禁止事項、削除方針などを文書にしたコミュニティガイドラインを公開することが考えられます。

誹謗中傷を誘発する投稿をしない

SNS上の誹謗中傷案件では、被害者には何の落ち度もないのに誹謗中傷されるケースもあれば、自らの投稿がきっかけとなって誹謗中傷に発展するケースもあります。

投稿の内容によっては、自身が誹謗中傷の加害者になる可能性もあるため、誹謗中傷を誘発するような投稿を控えるよう心がけましょう。

セキュリティサービスを活用する

通信事業者の中には、企業や学校向けにセキュリティサービスを提供している事業者があります。セキュリティサービスには、以下のような機能があります。

  • 不適切なコメントやメッセージを検出する機能
  • インターネットの閲覧制限をかけるフィルタリング機能

セキュリティサービスを活用すれば、トラブルを早期に把握できるため、誹謗中傷が発生した場合も迅速な対応が可能となります。

SNSで誹謗中傷されたとき相談できる窓口は?

ここでは、SNSで誹謗中傷されたときに相談できる窓口を紹介します。

インターネットに詳しい弁護士

インターネットやネットトラブルに詳しい弁護士に相談すれば、法的観点に基づくアドバイスを受けられます。

削除依頼や発信者開示請求などの手続きも代行してもらえるため、法律に基づいたトラブルの解決が可能です。発信者の責任を追及したい場合にも、損害賠償請求や刑事告訴等の手続きをサポートしてもらえます。

違法・有害情報相談センター(総務省支援事業)

違法・有害情報相談センターは、一般のインターネット利用者のほかプロバイダやサイト管理者、学校関係者等からの相談を受け付け、対応に関するアドバイスや関連情報を提供してくれる相談窓口です。

専門知識を有する相談員が、誹謗中傷や名誉毀損等のネットトラブルに関する対応方法等の助言を行います。

相談センターのホームページから利用登録を行うと、相談フォームを用いて相談できます(相談料無料)。

誹謗中傷ホットライン(一般社団法人セーファーインターネット協会)

誹謗中傷ホットラインは、一般社団法人セーファーインターネット協会が運営しているインターネット上の誹謗中傷に特化した相談窓口です。

誹謗中傷ホットラインでは、相談はもちろん、国内外のプロバイダ等に利用規約に沿った削除等の対応を促す通知を行ってもらえます。

下記ホームページの誹謗中傷ホットラインに連絡するボタンからウェブフォームを用いて相談できます(相談料無料)。

サイバー犯罪相談窓口(都道府県警察本部)

実際に被害に遭っているのか定かではない状態で警察に相談したい場合は、警視庁や各都道府県警察本部に設置されているサイバー犯罪相談窓口を利用できます。

サイバー犯罪相談窓口は、犯罪被害の未然防止や生活の安全に関する不安・悩みなどの相談に応じてくれる窓口です。全国共通ダイアル#9110で発信すれば、全国どこからかけても、その地域を管轄する警察本部の相談窓口に繋がります。

なお、サイバー犯罪相談窓口では、適宜アドバイスは受けられますが、書き込みの削除など具体的な手続きは自分で行わなければなりません。

まもろうよ こころ(厚生労働省)

まもろうよ こころは、厚生労働省が設置した悩みを抱える人への相談窓口です。

SNS上の誹謗中傷による悩みや不安を抱えている場合や、どこに相談すれば良いかわからない場合に利用できます。

電話による相談のほかLINEなどのSNS相談にも対応しています。

インターネット人権相談窓口(法務省)

法務省の人権擁護機関では、インターネットによる人権侵害のほか、様々な人権問題についても相談を受け付けています。

電話または相談フォームから相談すると、後日、最寄りの法務局からメール・電話又は面談により回答してもらえます。

まとめ

SNSで誹謗中傷を受けた場合、誹謗中傷した人物を特定するために必要な情報が保存されている間に、早い段階で対処することが大切です。

初動対応が遅れた場合には、情報が拡散され不特定多数の人に見られる可能性があるため、なるべく早く弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談すれば、発信者特定後の責任追及などの手続きも安心して任せられます。

SNSでの誹謗中傷にお悩みの方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。実績豊富な弁護士がトラブル解決まで全力でサポートします。

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