教員の借金・債務整理がバレるきっかけ|周囲にバレずに解決するには
教員の方の中には、勤務先に知られるリスクや周囲の目が気になり、債務整理を躊躇する方もいらっしゃいます。
しかし、問題の解決を先延ばしにすると、かえって事態が悪化する可能性があります。
借金問題は、その対応が早ければ早いほど、リスクやデメリットを最小限に食い止められます。
債務整理に関する不安を取り除くためにも、リスクやデメリットを正しく理解しましょう。
この記事では主に以下3点をご説明します。
- 教員の債務整理がバレるきっかけ
- 勤務先に債務整理がバレても実質的な損害は少ない点
- 教員の方が債務整理を弁護士に依頼するメリット
目次
教員の債務整理がバレるきっかけ
債務整理しても、基本的には勤務先にバレる可能性は高くありません。
ただし、以下のケースに該当する場合には、債務整理したことが勤務先にバレる可能性があります。
共済組合からの借金を整理した
教員の方の中には、共済組合(公立学校共済組合・私学共済)からの借入れがある方もいらっしゃいます。
共済組合からの借金を債務整理した場合、共済組合経由で勤務先に情報が伝わる可能性があります。共済組合から借金をした場合、その返済は給与天引きによる方法が一般的だからです。
ただし、任意整理では、交渉先の債権者を自由に選べるため、共済組合を対象から外すことで、勤務先に知られるリスクを低減できます。
給与差し押さえをきっかけに知られる
債務整理してもしなくても、借金を滞納すると勤務先にバレる可能性があります。
借金を長期間滞納すると、債権者から裁判を起こされて、強制執行(差し押さえ)されるおそれがあるからです。給与が差し押さえられると、裁判所から勤務先に差押命令が送達されるため、勤務先に借金の存在を知られます。
勤務先に借金の存在を知られたくないのであれば、滞納して債権者から裁判される前に、債務整理を検討する必要があります。
退職金見込額証明書の発行依頼時に知られる
自己破産や個人再生では、裁判所への申立時に、退職金に関する証明書を提出しなければなりません。勤務先に退職金見込額証明書の発行を求めるにあたり、人事担当者から提出先や使途を問われることがあります。
このとき「裁判所に提出するため」などと答えると、自己破産や個人再生をすると疑われる可能性があります。
このような場合は、「住宅ローンの審査に必要」、「将来設計のためファイナンシャルプランナーに提出する」と説明する方法があります。
あるいは、就業規則や雇用契約書などに、退職金の計算方法がわかる退職金規程があれば、その書類と計算書を提出することにより、退職金証明書に代えて提出できることもあります。
仮に勤務先に債務整理がバレても実質的な損害は少ない
仮に、勤務先に借金の存在や債務整理がバレても、私生活上の問題を理由に不利益処分を受けることは原則としてありません。
免職、停職、減給または戒告の対象とはならない
借金や債務整理を理由に、免職、停職、減給または戒告などの懲戒処分を受けることはありません。
公務員の懲戒事由は、以下のとおりであり、借金や債務整理は含まれないからです。
- 国家公務員法や地方公務員法等に違反した場合
- 職務上の義務に違反し、または職務を怠った場合
- 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合
私立学校の教員である場合は、就業規則を確認する必要がありますが、仮に就業規則に借金や債務整理を解雇事由とする規定があったとしても、無効とされる可能性が高いです。
個人の私生活上の自由である借金や債務整理だけを理由として解雇することは、労働契約法が定める客観的に合理的な理由にあたらないとするのが裁判所の考え方だからです。
借金や債務整理以外を理由とする分限処分に注意!
借金や債務整理が直接的な原因でなくとも、勤務状況や心身の状況により、分限処分される可能性があります。分限処分とは、懲戒処分と異なり職員の責任を追及する制度ではなく、職員の身分を保障することを前提として、公務能率の維持及び適正な運営の確保を目的としてなされる処分です。
例えば、借金の原因がギャンブル等で、勤務状況が著しく不良な場合や、厳しい取り立てにより仕事に専念できなくなったり、心身を故障したりした場合は、免職、求職、降任、降給等の処分を受ける可能性があります。
職業・資格制限はない
公立学校の教員はもちろんのこと、私立学校の教員も自己破産による資格制限の対象にはなりません。自己破産しても、従前通り職務に就けます。
教員が債務整理をする際の注意点3つ
教員の方が債務整理する際の注意点を3つお伝えします。
自宅や車のローンが残っている場合は任意整理を検討しましょう
教員の方の中には、自宅や車の購入に際して、共済組合から貸付を受けている方もいらっしゃるでしょう。
債務整理することを勤務先に知られたくない場合は、任意整理を検討しましょう。
共済組合からの借金を手続きから外すことで、自宅や車を手放さず、かつ、勤務先にバレずに他の借金を整理できる可能性があります。
自宅や車の購入資金を、他の金融機関から借り入れている場合も同様です。
他の借金を任意整理により減額するだけでは根本的解決に至らない場合は、個人再生を検討する必要があります。
ただし、個人再生すると、自宅は残せても、ローンが残った車は原則として債権者に引き上げられます。共済組合から借り入れている場合は、個人再生することが勤務先に知られます。
退職金が高額になりそうな場合は注意!
将来受給できる退職金の額が高額になりそうな場合は注意が必要です。
自己破産では、退職金の8分の1(退職が近い場合は4分の1)に相当する金額が20万円以上の場合は、債権者の配当にあてなければなりません。8分の1(または4分の1)相当額を一括で準備できない場合は、積み立てて債権者に配当する必要があります。
個人再生では、退職金の8分の1に相当する金額が20万円を超える場合には、清算価値に計上されるため、退職金が高額な場合は、再生計画に基づく弁済額が跳ね上がる可能性があります。
任意整理ではボーナス払いを求められる可能性がある
公立学校の教員の場合は、公務員であることを理由に返済条件にボーナス時加算を求められる可能性が高くなります。
民間企業の会社員よりも収入が安定しており、ボーナスの額も多いと考えられているからです。
教員の方が債務整理を弁護士に依頼するメリット
弁護士に債務整理を依頼するメリットをご紹介します。
周囲に知られる前に借金の軽減を目指せる
借金を長期間滞納すると、債権者に裁判や支払督促を起こされ、最終的に財産を差し押さえられる危険性があります。給与を差し押さえられると、裁判所の通知により勤務先に借金の存在や差し押さえの事実を知られます。給与を満額受け取れなくなることにより、家族に知られる可能性も否定できません。
差し押さえにより周囲に知られるリスクを回避するためには、債権者が法的手続きに移る前に、債務整理をする必要があります。
借金の支払いが厳しくなったら、早い段階で債務整理を弁護士に依頼することで、周囲に知られる前に借金の軽減を目指せます。
取り立てが止まる
弁護士に債務整理を依頼すると、弁護士が送付する受任通知により取り立て(督促)が止まります。債権者からの電話やメール、書面による取り立てに悩まされる日々から解放されます。
債権者が債務者の自宅以外の場所(勤務先等)に電話やFAXで連絡したり、訪問したりすることは、違法な取り立て行為として法律で禁じられていますが、万一、そのような違法な取り立てがあった場合にも、弁護士に依頼することにより解決が望めます。
仕事や家族への影響が少ない方法を検討できる
弁護士に依頼すれば、各手続きのメリット・デメリットを踏まえて、どのような手続きを選択すべきか、適切なアドバイスを受けられます。
ご自身の負債・資産状況のほか、仕事や家族への影響を踏まえて、適切な解決方法を選択できれば、債務整理後の生活再建もしやすくなります。
教員特有のリスクが心配な方は一度ご相談ください
債務整理をしても、勤務先に知られる可能性は高くありません。
教員の方は、安定した収入が得られるため、多額の借金を抱えても自己破産せずに解決できる可能性があります。
ネクスパート法律事務所では、勤務先に借金がバレたくないとお考えの方を含め、ご相談者様の状況に応じた最善の解決策をご提案いたします。
秘密厳守で手続きを進めますので、安心してお任せいただけます。