個人再生の最低弁済額とは?基準と算出方法を解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

個人再生の最低弁済額とは?基準と算出方法を解説

個人再生は、裁判所を通して借金を減額し、原則3年間で返済すれば残りの借金を免除してもらえる手続です。一定の金額は返済しなければなりません。

この記事では、個人再生の最低弁済額について、次のとおり解説します。

  • 個人再生の最低弁済額とは?
  • 個人再生の最低弁済額はどのように算出するの?
  • 個人再生の最低弁済額に関するQ&A

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個人再生の最低弁済額とは?

ここでは、最低弁済額とは何かを説明します。

個人再生で返済する金額は、法律により、最低限返済すべき金額が決められています。これを最低弁済額といいます。

個人再生の再生計画案に記載された弁済額(これを計画弁済総額といいます。)が、最低弁済額以上でなければ、認可を受けられません。

個人再生の最低弁済額はどのように算出するの?

個人再生の最低弁済額はどのように算出するのでしょうか。

個人再生には次の2つの手続があり、算出方法が異なります。

  • 小規模個人再生
  • 給与所得者等再生

ここでは、手続ごとの最低弁済額の算出方法を説明します。

小規模個人再生の最低弁済額の算出方法

小規模個人再生の計画弁済総額は、次の2つのうち多い方の金額以上を支払う内容にしなければなりません。

  • 基準債権額による最低弁済額
  • 清算価値による最低弁済額

ひとつずつ説明します。

基準債権額による最低弁済額|負債総額からの算出

基準債権額とは、再生債権者一覧表に記載した、住宅ローン債権者の債権を除いた金額です。債権者の異議や評価申立があった場合はその金額を基準に計算します。別除権が行使されていない債権者の債権額は見込額で計算します。

基準債権額による最低弁済額は、次のとおりです。

基準債権額 最低弁済額
100万円未満 全額
100万円以上500万円以下 100万円
500万円を超え1,500万円以下 借金額の5分の1
1,500万円を超え3,000万円以下 300万円
3,000万円を超え5,000万円以下 借金額の10分の1

清算価値による最低弁済額|清算配当率からの算出

清算価値とは、破産した場合に債権者に配当される財産の価値です。

清算価値は、次の財産の価値を合計して算出します。

  • 現金(99万円を超える部分)
  • 預貯金(※)
  • 土地・建物
  • 生命保険の解約払戻金(※)
  • 自動車の査定額(※)
  • 退職金見込額の8分の1
  • その他20万円以上の価値のある財産
  • 20万円未満の場合は清算価値に含めません。

例えば、車の査定額が150万円、生命保険の解約割戻金が100万円、銀行の預金が50万円あった場合、清算価値はその合計額300万円となります。

給与所得者等再生の最低弁済額の算出方法

給与所得者等再生の計画弁済総額は、次の3つのうち最も多い金額以上を支払う内容にしなければなりません。

  • 基準債権額による最低弁済額
  • 清算価値による最低弁済額
  • 可処分所得額
  1. 基準債権額による最低弁済額と2. 清算価値による最低弁済額は、小規模個人再生と同様です。
  2. 可処分所得額について説明します。

可処分所得額|決定可処分所得額の2年分

給与所得者等再生では、計画弁済総額が可処分所得額の2年分以上の額となるように再生計画を作成しなければなりません。

可処分所得額は、再生債務者の収入から税金・社会保険料や政令で定められた再生債務者及び被扶養者の最低生活費を控除して算出します。

可処分所得2年分の計算式は、次のとおりです。

可処分所得2年分の額 =直近2年間の収入合計額 -直近2年間に支払った所得税額・住民税額・社会保険料の合計額 - 再生債務者と被扶養者の最低生活費の年額×2

個人再生の最低弁済額に関するQ&A

ここでは、個人再生の最低弁済額に関するよくある質問とその回答を紹介します。

小規模個人再生の方が最低弁済額は少なくなる?

給与所得者等再生は、可処分所得要件があるため、所得が多い場合や単身者の場合、小規模個人再生に比べて計画弁済総額が高額になることがあります。このため、サラリーマンやOLの方も小規模個人再生を利用するケースが多いです。

ただし、小規模個人再生は、再生計画に対して債権者から消極的同意を得る必要があります。個人再生に反対する大口の債権者がいる場合は、再生計画案に対する書面決議で否決される可能性があります。

最低弁済額は何年かけて支払う?

個人再生の弁済期間は、原則3年・最長5年です。

分割方法は、次のいずれかを選択して再生計画案の中で定めます。

  • 毎月
  • 2ヶ月ごと
  • 3ヶ月ごと

原則3年間

原則として、再生計画認可決定の確定から3年で完済しなければなりません。

最長5年間

特別な事情があれば、弁済期間を5年まで延長できます。特別の事情とは、次のようなケースです。

  • 3年間では返済できない場合
  • 財産が多く最低弁済額が高くなった場合
  • 住宅資金特別条項を利用する場合

最低弁済額が支払えなくなったら?

最低弁済額が支払えなくなった場合は、どうすればよいでしょうか。

再生計画の変更

認可決定後、一定の要件を満たす場合は、申立てによって再生計画の変更ができます。ただし、最長2年の期間延長が認められるに留まります。

一定の要件とは、次のような場合で、その事情が長期的に継続するような場合を指します。

  • 雇用先の業績不振により減給した
  • 病気・怪我による療養で減収した

ハードシップ免責

ハードシップ免責とは、再生債務者が裁判所に申立て、免責決定を得ることで残債務を免除してもらう制度です。ハードシップ免責を得るためには、次の4つの要件を満たさなければなりません。

  • 再生債務者に帰責性がない事由により再生計画の履行が極めて困難である(就労不能状態で失業、交通事故・病気で入院など)
  • 計画弁済総額の4分の3以上を既に返済している
  • 清算価値保障の原則を満たしている
  • 再生計画の変更により最長2年の期限を延長しても返済が困難になった

自己破産

再生計画の変更や、ハードシップ免責が認められなかった場合、自己破産を検討します。

ただし、自己破産すると、個人再生では残せた財産を失う可能性があります。

まとめ

個人再生の最低弁済額を解説しました。

最低弁済額の算出方法は複雑ですので、自力での対応は困難でしょう。弁護士に依頼すれば、正確な最低弁済額を把握できます。最低弁済額を低く抑えるためのアドバイスも受けられるでしょう。

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