離婚を考える際、多くの人が直面する課題の一つが、子どもの養育費です。
養育費は、別れて暮らすことになっても、親として子どもの生活や教育を支えるための重要な資金です。しかし、その金額や支払い方法について、感情的な対立から話し合いが難航したり、口約束だけで済ませたことでトラブルに発展したりするケースは少なくありません。
この記事では、養育費調停の法的根拠から具体的な手続き、弁護士に相談するメリットを解説します

養育費調停とは

養育費調停とは、離婚後の子どもの養育費について、夫婦間の話し合いでは合意に至らなかった場合に、家庭裁判所で調停委員を交えて行う話し合いの手続きです。
当事者が直接顔を合わせず、中立的な立場の調停委員を介して話し合いを進めるのが特徴です。
この手続きの主な目的は、当事者間の合意を促し、法的拘束力のある調停調書の作成です。万が一将来相手が養育費の支払いを怠った場合でも、強制的に財産を差し押さえる強制執行が可能になります。
調停では、養育費算定表を参考にして、双方の収入や子どもの年齢、特別な事情(私立学校の学費や医療費など)を考慮して、養育費の金額を公平に決定します。
養育費は子どもの健やかな成長を保障するための親の法的義務です。義務を確実に果たすための有効な手段が養育費調停です。

養育費調停の流れは?

養育費調停は、申立てから合意成立あるいは不成立による終了まで、いくつかの段階を経て進行します。どのような流れで行われるか、以下で解説します。

家庭裁判所に申立てをする

養育費について話し合いたい側(申立人)が、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立を行います。
申立てに際しては、以下の書類の提出が必要です。

  • 書類
  • 詳細
  • 申立書
    裁判所用の原本と、相手方に送付する写し、申立人用の控えを1通ずつ提出します。申立書は全国共通の定型書式があり、裁判所のウェブサイトからダウンロードできます
  • 子どもの戸籍謄本(3か月以内に発行されたもの)
  • 子どもの身分関係を証明するための書類です。子どもの本籍地がある市区町村役場で取得します。
  • 事情説明書
    申立ての動機、調停で対立が予想される点、双方の収入状況、子どもの教育費や医療費など、調停委員が事案の全体像を把握するために必要な情報を記載します。
    進行に関する照会回答書
    これまでの夫婦間の話し合いの経緯、相手方が調停の呼び出しに応じるか、暴力行為などの懸念があるかなど、調停の進行に関わる事項について回答する書類です。
  • 収入印紙
  • 子ども1人につき1,200円
  • 手続き用の郵便切手
  • 1,000円~1,200円(裁判所によって異なる)

家庭裁判所から期日呼出状が送付される

家庭裁判所が申立てを受理したら、担当する調停委員会(裁判官1名と調停委員2名以上)を決めて最初の調停期日を指定します。
申立人と相手方に対し、期日呼出状(裁判所に行く日時や場所が書かれたもの)が送付されます。

指定された期日に出頭する

指定された日時に家庭裁判所に出頭します。
当事者はそれぞれ別の待合室で待機し、順番に調停室に呼ばれて調停委員と話し合います。
初回は、申立人が調停を申し立てた理由や希望する養育費の金額などを調停委員に説明します。
調停委員は双方の収入や生活収支、子どもの就学状況や医療費、希望する養育費の金額などについて確認します。初回で合意に至らないケースが多いため、2回目以降の期日が設定されます。一般的に1か月に1回のペースで期日が設定されます。

調停が終了する

調停は、成立もしくは不成立のいずれかの形で終了します。
当事者双方の合意が得られた場合、合意内容が裁判官によって確認され調停調書が作成されます。調停調書は、確定判決と同じ法的拘力を持つため養育費の不払いがあった際には、強制執行が可能です。
双方の主張が対立し、これ以上話し合っても合意の見込みがないと調停委員会が判断した場合、調停は不成立となります。その場合、手続きは自動的に審判へと移行し、裁判官が双方の主張や資料を基に養育費の金額を決定します。
養育費調停は事案によっても異なりますが、申立てから終了まで半年から1年程度かかります。

養育費調停を有利に進めていくために必要な準備は?

養育費調停を円滑かつ有利に進めるには、事前準備が不可欠です。
調停委員会は、養育費の金額の決定にあたり、以下のような客観的なデータに基づいた根拠を重視します。
源泉徴収票・確定申告の控えなど自身の収入を証明する資料

  • 子どもの学費の明細
  • 子どもの医療費の領収書 など
    これらの資料を事前に整理して提出すれば、調停委員が双方の経済状況や子どもの生活実態を正確に把握できます。例えば、子どもが私立の学校に通っているなら学費の明細、塾や習い事に通っているなら月謝の明細、子どもに持病があれば定期的にかかる医療費の明細などが挙げられます。

養育費調停を弁護士に依頼するメリットは?

養育費調停の手続きは当事者でだけで行うのも可能ですが、弁護士に依頼すれば得られるメリットがいくつかあります。

適切な養育費の算定と主張ができる

弁護士であれば、養育費算定表や判例に基づき、個別の事情を考慮した適正な養育費を主張できます。

調停委員とのやり取りに関するアドバイスが得られる

弁護士に依頼をすれば、調停委員とのやり取りに関するアドバイスが得られます。
調停委員は中立の立場にあるとはいえ、好印象を持たれる対応をしたほうが望ましいです。そのために弁護士のアドバイスがあれば心強いです。

相手方との直接のやり取りが避けられる

弁護士が代理人として対応すれば、相手方との直接的なやり取りが不要で、精神的な負担が大幅に軽減できます。

離婚問題全般の相談ができる

弁護士に依頼をすれば、養育費だけでなく、財産分与や慰謝料、面会交流など離婚に関する他の問題も合わせて相談し、トータルで解決を目指せます。

まとめ

感情的な対立から養育費に関して決着がつかなかったり、口約束だけで済ませてしまったりすることは、子どもの将来に不安定な要素を残します。
養育費調停では、調停委員が中立的な立場で冷静な話し合いをサポートします。調停が成立すれば、法的拘束力のある調停調書が作成され、養育費未払いのリスクから子どもを守れます。
養育費に不安を感じていれば、弁護士への相談をお勧めします。
ネクスパート法律事務所には、離婚全般を数多く手掛けてきた弁護士が在籍しています。養育費に関して相手方との話し合いが難航している方は、ぜひ一度お問合せください。
初回相談は30分無料ですので、お気軽にお問合せください。

この記事の監修弁護士

弁護士 石田志寿
第二東京弁護士会所属
石田 志寿(登録番号:47706)

はじめまして。ネクスパート法律事務所 東京オフィス弁護士の石田志寿です。

これまで家事事件をはじめ、不倫慰謝料や離婚など男女問題に特化した事件に携わってまいりました。その中でも、夫婦関係や不倫問題のご相談は、法律論だけでなくお気持ちへの配慮が重要となる分野だと強く感じております。

私が大切にしているのは、まずお話を丁寧に伺うことです。ご相談者様が抱えている不安や葛藤を正確に理解したうえで、法的に適切かつ現実的な解決策をご提案いたします。

「相談したら気持ちが落ち着いた」「話しやすかった」といったお声をいただくことも多く、心に寄り添う姿勢と、解決に向けた冷静な判断の両立を常に意識しております。

一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。