離婚後の生活保護申請が受けられるケースとは?手続き方法と注意点を解説
離婚をして生活が厳しくなり、生活保護の申請を検討している方がいらっしゃると思います。
この記事では、生活保護が受けられるケースと受けられないケース、生活保護を受けることによって日常生活で制限されること等について解説します。

離婚後に生活保護が受けられるケースは?

離婚後に生活保護が受けられるケースは、以下の5つです。

最低生活費を下回っていること

世帯収入が最低生活費を下回っていることです。
最低生活費とは、厚生労働省が定めている最低限の生活費で、算出方法は居住地、世帯の人数、子どもの有無等によって異なります。
離婚して養育費を受け取っていたり、各種手当を受け取っていたりしても、最低生活費を下回っていれば生活保護受給の対象となります。

資産がないこと

預貯金や貯蓄型の保険、車などの資産がないことです。
すべての資産を手放しても最低生活費を下回っていたら生活保護の対象となりますが、資産を所有したままでは原則として生活保護は受けられません。
ただし、障害があるなど車がなければ生活ができない事情があれば、例外的に所有が認められる場合があるので、福祉事務所に相談をしましょう。

事情があって働けないこと

子どもが小さい、病気や障害があり療養が必要等の事情で働けないことです。
こうした事情が証明できる医師の診断書や障害者手帳を用意しましょう。短時間であれば働ける状態でも、給料が最低生活費を満たしていなければ、生活保護の対象になるケースもあります。

親族や前夫の援助が受けられないこと

親族や前夫の援助が受けられないことです。
民法上、3親等以内(両親・兄弟姉妹・祖父母・叔父叔母等)の親族は扶養義務があるため、生活保護の申請をした後の調査で、親族に対して生活の援助が可能かどうかの連絡が入ります。
誰からも援助が受けられない状態で、最低生活費を下回る場合は、生活保護の対象になる可能性があります。

他の制度を利用しても生活に困窮すること

他の公的な制度を利用しても最低生活費を下回り困窮することです。
自治体によって支援制度は異なりますが、生活保護の申請をする前にどのような支援が受けられるか確認をしたほうがよいでしょう。

生活保護を受けるにあたり制限されることは?

生活保護を受給するにあたり、生活をする上で制限されることがありますので紹介します。

住む場所が制限される

生活保護を受給すると住む場所が制限されます
引っ越しを余儀なくされた場合は、事前に自治体に伝えて許可を得なければいけません。

お金の使い道が制限される

生活保護を受給すると、お金の使い道が制限されます。
生活保護費は最低限度の生活を維持するために支給されるものなので、ローンの返済に利用するなど生活保護の趣旨と違う使い方は認められません

クレジットカードやローンの利用ができない

生活保護を受給するとクレジットカードやローンの利用ができません
お金の使い道が制限される点と共通しますが、生活保護はこうした返済に充てられないからです。

生活保護が受けられないケースは

生活保護を申請しても受けられないケースについて紹介します。

再婚をして生活費が増えた

再婚をして生活費が増え、最低生活費を上回っている場合は、生活保護が受けられません。

慰謝料や財産分与などで預貯金・資産が増えた

離婚後しばらくして慰謝料や財産分与を受け、預貯金・資産が増えた場合は、生活保護が受けられません。

最低生活費を上回る養育費の支払いを受けている

離婚後、前夫から最低生活費を上回る養育費の支払いを受けている場合は、生活保護は受けられません。

離婚後に生活保護を受けるための手順は?

離婚後に生活保護を受けるための申請手順は、以下のとおりです。

居住地の福祉事務所の窓口で相談をする

居住地の福祉事務所の窓口で生活保護を受けたい旨の相談をします。生活保護を受けられる条件を満たしているかどうかを含め、担当者と話し合いをします。その際に預貯金の残高がわかるものや、働けない事情が証明できる書類を持参するとよいでしょう。

生活保護の申請書を提出する

生活保護の受給資格があれば、申請書を提出します。

生活状況や資産の調査が行われる

申請書を提出した後、自治体は申請者の生活状況や資産の調査を行います。このときに申請者の親族等に援助が可能かどうか、問い合わせがされます。

受給の有無の決定が出される

自治体の調査後に生活保護受給の有無が決定されます。生活保護の受給資格があると認められれば、毎月保護費が支給されます。

離婚と生活保護に関するQ&A

離婚と生活保護に関するよくある質問についての回答を紹介します。

離婚調停中や別居中に生活保護の受給ができるか?

離婚調停中や別居中でも、条件を満たせば生活保護の受給ができるケースがあります
離婚調停中や別居中は配偶者から婚姻費用が受け取れる可能性があるので、まずはこちらを請求すべきですが、配偶者のDV等で請求ができない方もいらっしゃるでしょう。そうした事情を福祉事務所の窓口で相談すれば考慮されるかもしれません。

養育費をもらっても生活保護の受給はできるか?

養育費をもらっていても、最低生活費を下回っていれば、生活保護の受給ができる場合があります。ただし、養育費は収入とみなされるので、生活保護費は養育費相当額を差し引いて支給されます。

まとめ

離婚をしたら生活に困窮する人は少なくありません。特に母子家庭になった場合は、厳しい状況に直面するでしょう。毎日の生活を維持するために受けられる援助は受けたほうがよいので、まずは住んでいる地域で行っている支援制度を調査しましょう。
それでも生活が厳しい場合は福祉事務所の窓口に赴き、生活保護の受給資格があるかどうかを確認しましょう。
ネクスパート法律事務所には、離婚全般に強い弁護士が在籍しています。離婚後の安定した生活を維持するため、慰謝料や財産分与の取り決めを確実に行いたいと考えている場合は、ぜひ一度ご相談ください。