令和4年度 離婚に関する統計の概況によると、40代の離婚は、30代の離婚についで、二番目の多さとなっています。
20代の若い年齢で結婚した夫婦にとっては、子育てがひと段落するタイミングであり、そうでない夫婦にとっても、30代で我慢が限界を迎える年代です。
ここでは、40代の離婚の主な理由、離婚する夫婦の特徴、離婚してよかったと思う人の特徴などを解説します。
目次
40代の離婚の主な理由
ここでは、40代で離婚を決意する主な理由を3つ紹介します。
子育ての終わりととともに関係が冷めた
20・30代で出産をした場合、40代は、子どもが成人したり、中高生になって手がかからなくなる年齢です。
そこで、家庭のために我慢してきたものが限界に達したり、夫婦2人の時間が増えたりすることに苦痛を感じて離婚を意識します。
子育てが共通の目標だった夫婦ほど、その役割が終わると関係が冷めてしまいやすいです。
性格の不一致・価値観のずれ
長年連れ添ううちに、我慢してきたことや合わないと感じていたことが蓄積されていきます。
特に金銭感覚や仕事への考え方、老後の生活設計などでのずれが決定打となるケースも多いです。
「このまま我慢しっぱなしの人生でいいのか」と考えたときに、「40代ならまだやり直せる」と考える人も多いです。
「性格の不一致で離婚が成立するケースと慰謝料の相場」の記事も参考にしてください。
不倫・浮気の発覚
子育てや仕事が落ち着き、心に隙ができやすくなる時期でもあるため、不倫や浮気が発覚することがあります。
ちょっとした遊び心や、ときめきを求めて関係を持った結果、家庭が崩壊することもあります。
不倫は夫婦の信頼関係の根幹を揺るがすので、許すことができずに離婚に踏み切る人も少なくありません。
「浮気による離婚慰謝料の請求ができる条件や金額の相場について解説」の記事も参考にしてください。
40代で離婚しやすい夫婦の特徴
40代で離婚を選ぶ夫婦には、一定の傾向が見られます。ここでは、特に離婚に踏み切りやすい夫婦に共通する3つの特徴をご紹介します。
どちらかが経済的に自立している
共働きでないと生活を維持できない夫婦は、離婚に対しても慎重になります。しかし、夫婦のどちらか、特に妻が経済的に自立している場合、離婚を選びやすくなります。
「自分の収入だけで生活できる」と思っている人は、離婚への精神的ハードルが低い傾向にあります。
片方が我慢する結婚生活を送っている
家庭内で一方だけが不満やストレスを抱えながら我慢している状態が続くと、限界を迎えやすくなります。
特に40代は、「このままの人生でいいのか」と自分の将来を見つめ直す時期でもあり、耐え続けた結果、離婚の選択に至ることがあります。
結婚が早く子どもがすでに大きくなっている
若くして結婚し、子どもがすでに中高生や成人している場合、子育てが終わったからと離婚に踏み切る夫婦が増えます。
子どもが成長して手を離れると、「やはり自分のために生きたい」と考える人が多くなるのです。
子どもが独立していることで、離婚後の生活設計も立てやすくなります。
40代で離婚してその後の生活はどうなる?
生活が苦しくなる人が多い
離婚後は収入が一人分になるため、生活が厳しくなる人が多く見られます。
特に専業主婦だった人やパート収入のみの人は、急に家計を支える立場になり、経済的不安を抱えやすくなります。
住まいや仕事を一から整え直す必要もあり、金銭的な準備が重要です。
孤独と引き換えに自由になれる
自ら希望した離婚だとしても、突然一人になることに寂しさを感じる人もいます。
その反面、自分のペースで暮らせるようになり、趣味や友人付き合いなど、自由な時間を得られるメリットもあります。
孤独と自由は表裏一体と言えるでしょう。
満足する人と後悔する人に別れる
40代の離婚後の生活は、満足する人と、後悔する人のどちらかに別れやすいです。それぞれを比較してみます。
【満足しやすい人】
・離婚後の生活をよくシミュレーションした
・離婚後の生活の準備をきちんとした
・離婚条件で妥協しなかった など
【後悔しやすい人】
・深く考えず、感情に任せて離婚した
・離婚後の生活の準備をきちんとしなかった
・周囲の理解や協力を得ないまま離婚した など
離婚はゴールではなくスタート。離婚前にしっかりと準備や情報収集をすることが大切です。
「離婚した方がいい夫婦の特徴は?10個のチェックポイント」の記事も参考にしてください。
再婚や恋愛に前向きな人も多い
近年では40代以降の恋愛や再婚も珍しくありません。
マッチングアプリや交流イベントなど、出会いの場も広がっており、離婚をきっかけに自分に合ったパートナーを探す人もいます。
一人の時間を経て、「もう一度誰かと人生を歩みたい」と思える人も少なくありません。
40代で離婚する際の子のありなしによる違い
40代で離婚する際、子どものいる・いないはどのように影響するかを解説します。
子あり夫婦
子どもがいる場合、離婚で特に重要になるのが親権や養育費の取り決めです。
子どもが中高生以上であれば、本人の意思を尊重できたり、話し合いで理解を得られたりするケースもあります。
一方で、子どもがまだ小さい場合は、親権や養育費の分担などで揉めやすく、精神的・実務的な負担が大きくなりがちです。
子なし夫婦と比べると、どうしても離婚手続きは複雑になる傾向があります。
「子連れ離婚のやることリストや手続きの順番|まずすることは?」の記事も参考にしてください。
子なし夫婦
子どもがいない夫婦の場合、親権や養育費などの問題がないため、離婚は比較的スムーズに進みます。
夫婦関係が完全に解消されやすく、離婚後も相手と関わる必要が少ないのが大きなメリットです。
仕事や住まい、再婚など、あらゆる面で再スタートを切りやすいのも特徴です。
孤独を感じることもありますが、その分、自分のための自由な時間と生活を得られます。
40代で離婚してよかったと思う男性・女性の特徴
経済的に自立している人
収入が安定している人は、離婚後の生活に不安を抱きにくく、自信を持って新たな生活を始めやすい傾向があります。
特に女性の場合、経済的に自立できているかどうかは満足度に大きく影響します。
経済的な土台があることで、精神的にも安定しやすくなります。
「経済的な理由で離婚に踏み切れない方へ|離婚後の社会保障を紹介」の記事も参考にしてください。
結婚生活がストレスだった人
我慢やストレスを抱えていた人にとって、離婚は肩の荷が下りたように感じられます。
相手に遠慮せず、自分の気持ちに正直に生きられるようになり、「もっと早く離婚していればよかった」と感じる人も少なくありません。
ストレスから解放され、心が軽くなるという声が多いです。
子育てがひと段落している人
子育てがひと段落している場合、離婚による影響も比較的少なく、子育てを終えた安心感もあって、スムーズに新しい人生に進みやすくなります。
子どものために我慢していた人ほど、子育てが落ち着いたタイミングで「自分のために生きたい」と感じやすくなります。
趣味や友人関係を持っている人
離婚後に孤独を感じやすい40代ですが、趣味がある人や、親しい友人がいる人は、前向きに新たな生活を楽しめる傾向があります。
趣味に打ち込んだり、友人と過ごす時間が心の支えとなり、離婚後も孤立することなく、日々を充実させることができます。
自分の時間が欲しかった人
結婚生活では、家族優先で自分の時間を確保できなかった人にとって、離婚は本来の自分を取り戻すきっかけになります。
誰にも気を遣わず、自分のペースで過ごせるようになり、趣味や仕事に集中できるというメリットを実感しやすくなります。
再婚を希望している人
離婚を機に、再婚や恋愛に前向きになる人も多くいます。
40代以降の婚活は難しいと思われがちですが、実際にはマッチングサービスや趣味を通じた出会いで、再婚を成功させている人も少なくありません。
40代で離婚して「人生やり直したい」と思う理由
平均寿命からみればまだ人生の折り返し地点だから
現代の日本では、男女ともに平均寿命は80歳を超えており、40代は人生の折り返し地点です。
残りの人生を真剣に考え始める時期でもあり、このまま不満を抱えたまま老後に突入するよりも、離婚して新たなスタートを切りたいと思う人が増えています。
我慢の蓄積が限界に達している人も多いから
20代や30代から積み重ねてきた小さな不満やストレスが、40代になって爆発するケースは少なくありません。
子どものため、生活のためと我慢してきた結婚生活でも、ある時ふと限界を感じて離婚を考えるようになります。
特に心の健康を損なうような関係であれば、「一度きりの人生、これ以上自分を犠牲にしたくない」と思うのは自然な流れです。
子どもが育って「自分の人生」に目が向く時期だから
子どもが中高生や大学生以上になり、手がかからなくなることで、親からひとりの人間としての自分に意識が戻るタイミングが訪れます。
これまでは家庭や育児を優先してきた人も、「これからは自分の人生を充実させたい」と思うようになり、離婚を選択肢として考えるようになります。
子育ての一区切りが、人生のリセットを後押しすることは少なくありません。
40代女性の離婚後の生活は大変?
離婚後に配偶者の収入を頼れなくなるため、自立できるだけの収入がない場合は生活が厳しくなることもあります。
ただし、就職や資格取得など事前の準備ができていれば、安定した生活を送ることは十分可能です。
経済的に自立していれば、多少の寂しさはあっても、大きな不安は感じにくいでしょう。
「50代の離婚|離婚後の生活や一人暮らしの生活費・必要な準備を解説」の記事も参考にしてください。
40代の離婚でよくある質問
40代男性が離婚後に1人暮らしできる?
1人暮らしの経験がある人なら特に問題はありません。
未経験でも、最初は戸惑っても生活には徐々に慣れていきます。自炊や掃除など、生活力を身につけるきっかけにもなります。
40代専業主婦は離婚しても大丈夫?
収入がない専業主婦にとって離婚後の生活は不安が大きいですが、財産分与や養育費、ひとり親支援などを活用すれば生活を安定させることも可能です。
仕事探しの準備は早めに進めましょう。
40代子供ありでも離婚できる?
もちろん可能です。子どもがいても離婚を選ぶ人は少なくありません。
ただし、親権や養育費の問題、子どもへの精神的ケアなど、慎重に進める必要があります。
子どもがまだ大きくないのであれば、早く離婚した方が子どもの精神的ストレスが少なく済む場合もあります。
まとめ
40代の離婚は、30代に次いで多く、特に子育てが落ち着いたタイミングや、長年の我慢が限界に達したことをきっかけに決断するケースが目立ちます。
経済的に自立している人や、趣味・友人関係を持っている人、再婚に前向きな人は、離婚後も充実した生活を送りやすいです。
一方、準備が不十分なまま勢いで離婚してしまうと、後悔につながることもあります。
離婚を考える際は、感情だけでなく将来の生活まで見据えて、冷静に準備することが大切です。