離婚するにあたっては、必ずしも慰謝料が発生するわけではありません。
この記事では、慰謝料無しで離婚できるケースとそのメリット、注意点について解説します。
目次
慰謝料無しで離婚できるケースは?
慰謝料無しで離婚できるケースは、主に以下の6つです。
慰謝料が発生する原因がない
慰謝料が発生する原因がないケースです。
例えば性格の不一致を離婚理由とする場合で、双方が話し合い、お互いに納得して離婚するケースなどです。
離婚に至った原因が夫婦どちらにあるわけでもないため、慰謝料無しで離婚ができます。
夫婦関係が破綻した責任が双方に同じくらいある
夫婦関係が破綻した責任が双方に同じくらいあるケースです。
例えばダブル不倫のように、夫も妻も不貞行為をしていたケースが該当します。
W不倫の場合、両者に慰謝料請求ができる権利がありますが、話し合いで合意すれば慰謝料無しで離婚が可能です。
相手が慰謝料を請求していない
相手が慰謝料請求をしてこないケースです。
離婚に至った原因があなたにあるとしても、慰謝料を請求するかどうかは相手の判断によります。
とにかく早く離婚したい、面倒な話し合いは避けたいと考えて、あえて慰謝料を請求しない人もいます。
不法行為の証拠がない
不法行為の証拠がないケースです。
配偶者の不法行為が原因で離婚に至った場合、慰謝料請求にあたって証拠が必要です。
夫婦間の協議や調停では、証拠の提示は必須ではありませんが、相手が認めない場合や裁判で慰謝料を請求する場合は証拠が求められます。
例えば、配偶者が不貞行為をしていたなら、相手と肉体関係があったとわかる証拠が必要です。配偶者がDVをしていたなら、暴力を振るわれていたことがわかる音源や動画、けがをした場合は写真や医師の診断書が必要です。
相手が認めない場合、こうした証拠がなければ、慰謝料請求は難しくなります。
すでに損害が補填されている
すでに損害が補填されているケースです。
例えば配偶者に不貞行為があった場合で、不貞相手から十分な慰謝料をもらっている場合が該当します。不貞に対する慰謝料は、配偶者と不貞相手が2人に負うものです。あなたの損害を補填する十分な金額を不貞相手からすでにもらっていたら、それ以上の金額を配偶者に請求しても支払ってもらえない可能性があります。
加害行為と夫婦関係の破綻との間に因果関係がない
加害行為と夫婦関係の破綻との間に因果関係が認められないケースです。
例えば、夫婦関係が破綻した後に配偶者が不貞行為をした場合などです。
慰謝料は、相手の不法行為によって被った精神的苦痛のために支払われる損害賠償であるため、対象となる出来事と離婚の間に因果関係が認められることが必要です。
相当前から夫婦関係が破綻していて、配偶者の不貞行為が離婚を招いたとは言えない場合などには、慰謝料が認められない可能性があります。
慰謝料無しで離婚するメリットは?
慰謝料無しで離婚するメリットは、早期に離婚成立する可能性がある点です。
配偶者に慰謝料請求を求めても応じてもらえず、話し合いが難航するケースがあります。
証拠を集める手間や協議にかかる労力を使わず、とにかく早く離婚を成立させたいと考えているなら、慰謝料無しで離婚するのも一つの方法です。
慰謝料無しで離婚する場合に注意すべき点は?
慰謝料無しで離婚する場合、注意すべき点は主に2つです。
本当に慰謝料無しでよいかよく考える
本当に慰謝料無しでよいか、よく考えましょう。
慰謝料は離婚後でも請求できます。
しかし、相手が支払いに応じない場合は、家庭裁判所の慰謝料請求調停や地方(簡易)裁判所の訴訟手続きの利用を検討せざるを得ません。
離婚慰謝料請求権の時効は、離婚が成立した日から3年です。
「離婚時に慰謝料を請求すべきだった」と思った時には、時効が成立している可能性があります。
慰謝料無しで後悔しないかどうか、離婚時によく考えましょう。
離婚協議書を公正証書で作成する
慰謝料無しで離婚を決めた場合は、離婚協議書を公正証書で作成しましょう。
清算条項に慰謝料無しで離婚するのに合意したこと、離婚後に何ら請求をしないことを盛り込んでおきます。清算条項を記載しなければ、離婚後に慰謝料請求ができる点に留意しましょう。
離婚協議書は当事者だけでも作成ができますが、記載されている内容に食い違いが生じ、当事者間でトラブルになる可能性があります。
トラブル防止のためにも公証役場が関与して作成する信用性の高い公正証書で作成したほうがよいでしょう。
公正証書を作成しておけば、作成当時当事者が納得して作成したことが推認されます。
まとめ
離婚時は決めなければならないことが多く、慰謝料請求を諦めてしまう人もいるかもしれません。
慰謝料請求をする理由がない場合を除いて、本当に慰謝料無しで離婚していいのかどうか、じっくり検討しましょう。早く離婚したい一心で請求できたはずの慰謝料を放棄するのはもったいないからです。
慰謝料無しで合意できたと安心している人も、離婚後に相手が慰謝料請求をしないように、離婚協議書にその旨を盛り込むのを忘れないようにしてください。
ネクスパート法律事務所には、離婚全般に強い弁護士が在籍しています。
慰謝料についてわからないことがある、離婚協議書の作成を頼みたいと考えている方はぜひご相談ください。
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