配偶者から離婚を切り出されても、「離婚したくない」と思う人は少なくありません。
離婚を避けるには、感情的にならず、冷静に対処することが大切です。
まずは、話し合いを重ね、関係改善の努力をしましょう。
法的に離婚を拒否する方法や、調停を活用するのも有効です。
ここでは、離婚を回避するための具体的な方法や、弁護士に相談するメリットについて詳しく解説します。
目次
離婚したくないときにすべきこと
配偶者から離婚を切り出された場合は、冷静になって下記の行動を行いましょう。
冷静に話し合いの機会を持つ
離婚を回避するためには、まず冷静に話し合うことが重要です。
感情的に反応すると、状況が悪化し、相手の意思をさらに強めてしまう可能性があります。
相手がなぜ離婚を考えているのか、その理由をしっかり聞き、解決できる問題がないかを探りましょう。
話し合いは、お互いが落ち着いた状態で行うことが大切です。
無理に説得しようとせず、相手の気持ちを尊重しながら、自分の考えも伝えるようにしましょう。
第三者を交えて話し合いをする
夫婦だけで話し合うと、感情的になりやすく冷静な議論ができないことがあります。
その場合は、共通の知人や親族、信頼できる第三者に間に入ってもらうと、話し合いがスムーズに進むことがあります。
カウンセラーや夫婦問題の専門家に相談することで、客観的な視点からアドバイスをもらうのも有効です。
家庭裁判所の夫婦関係円満調整調停(円満調停)を利用することで、専門家の仲介のもと、建設的な話し合いをすることも可能です。
夫婦関係を改善できるように努力する
相手が離婚を考えている理由の多くは、長年の不満の蓄積や価値観の違いです。
そのため、夫婦関係の修復に向けて努力することが大切です。
相手の不満を真剣に受け止め、生活習慣や態度を見直して改善できる部分がないかを考えましょう。
例えば、家事の分担を見直したり、相手の意見に耳を傾けたりすることで関係が改善する可能性もあります。
努力を見せることで、相手が「もう一度やり直してみよう」と考えるきっかけになるかもしれません。
相手の離婚理由が不当でないか確認する
離婚を避けるためには、相手が主張する離婚理由が法律的に認められるものかを確認することも重要です。
日本の民法では、離婚には「法定離婚事由」が必要であり、一方的な感情や単なる性格の不一致では裁判で離婚が認められないこともあります。
特に、自分に明確な落ち度がない場合は、法的に離婚を拒否できる可能性があります。
相手が強引に離婚を進めようとしている場合は、弁護士に相談し、自分の立場を守る手段を検討しましょう。
「離婚が認められる条件は?必要な手続きや法定離婚事由について解説」の記事も参考にしてください。
離婚届を勝手に提出されないようにする
離婚を避けたい場合、相手が勝手に離婚届を提出しないよう対策を取ることも大切です。
市区町村役場に、離婚届不受理申出を提出しておけば、本人の意思確認なしに離婚届が受理されることを防ぐことができます。
この手続きをしておくことで、相手が一方的に離婚を進めることを阻止し、話し合いの時間を確保できます。
勝手に離婚届を提出された場合でも、家庭裁判所に申し立てをすることで無効にできる可能性があるため、冷静に対処しましょう。
不受理届については「離婚不受理届をすべき3つのケースと必要書類を解説」も参考にしてください。
どうしても離婚したくない場合の奥の手は?
離婚を避けるための努力をしても、配偶者が強く離婚を望んでいる場合、簡単には関係修復ができないこともあります。
しかし、法的な手続きを利用すれば、離婚を拒否したり、時間を稼いで状況を変えることも可能です。
ここでは、どうしても離婚したくない場合に取るべき法的な対策について解説します。
法的に離婚を拒否する
日本の法律では、夫婦の合意があるか、法定離婚事由に該当する場合にのみ、離婚が成立します。
そのため、どちらか一方が離婚を拒否し、法定離婚事由にも当てはまらない場合、裁判でも離婚は認められない可能性があります。
法定離婚事由とは、民法770条に定められていて、具体的に以下のような行為を指します。
- 不貞行為
- 夫婦として協力義務を果たさない
- 3年以上の生死不明
- 回復のない強度の精神病
- モラハラ、DV
- 長期間の別居 など
法的離婚事由を根拠に、法的に離婚を拒否することができます。
【夫婦のどちらも法定離婚事由に該当しない場合】
夫婦のどちらも法定離婚事由に該当しない場合、裁判で離婚が認められることはありません。
裁判では、単なる性格の不一致だけでは離婚が認められにくい傾向があります。
そのため関係修復に向けた努力を続けることが重要ですが、法的には夫婦の権利を守れます。
【相手が法定離婚事由に該当している場合】
法定離婚事由に該当する側は、有責配偶者と呼ばれます。有責配偶者からの離婚請求は原則として認められません。
例えば、不倫をした配偶者が「別れたい」と主張しても、裁判では却下される可能性が高いです。
この場合、離婚を拒否することで夫婦関係を維持することができます。
ただし、長期間の別居が続くと、すでに夫婦関係が破綻していると判断され、最終的に離婚が認められることもあります。
そのため、相手の行動や状況を冷静に判断しながら、適切かつ柔軟に対応することが重要です。
「夫婦関係の破綻とは|夫婦関係の破綻が認められる夫婦の特徴」の記事も参考にしてください。
調停・裁判で時間を引き延ばす
離婚調停や裁判に進んでも、時間が経過することで、相手が離婚の意思を変える可能性があります。
調停では、合意が得られなければ離婚は成立しません。
自分の意思を明確に示し、関係修復を目指す姿勢を伝えることで、相手の考えが変わるかもしれません。
裁判になった場合でも、審理には時間がかかるため、手続きを引き延ばすことで、状況が変わるのを待つことが可能です。
相手が離婚を再考する可能性もあるため、慎重な対応が求められます。
離婚したくない時の相談先
家庭裁判所(円満調停)
離婚を回避したい場合、家庭裁判所の、夫婦関係円満調整調停(円満調停)を利用するのも一つの方法です。
円満調停は、夫婦関係の修復を目的とした調停で、調停委員が中立の立場で話し合いをサポートしてくれます。
お互いの気持ちを整理し、冷静に話し合う機会を持つことで、関係改善につながることもあります。
調停は裁判とは異なり、強制力はないため、無理に離婚を進められることはありません。
関係を見直すきっかけとして活用できます。
「円満離婚とは?子ありでの切り出し方やよくある理由を解説」の記事も参考にしてください。
夫婦カウンセリング
夫婦関係の修復を目指すなら、専門のカウンセラーによる、夫婦カウンセリングを受けるのも有効です。
夫婦問題に特化したカウンセラーが間に入ることで、お互いの気持ちを整理し、適切な解決策を見つけることができます。
特に、コミュニケーション不足や価値観の違いが原因で関係が悪化している場合、専門的なアドバイスを受けることで、関係を改善できる可能性があります。
オンラインで相談できるカウンセリングもあるため、気軽に利用してみるのもよいでしょう。
市役所の家庭相談課
離婚問題で困ったときは、市役所や自治体の家庭相談課に相談するのも一つの方法です。
家庭相談課では、夫婦問題や家庭内のトラブルについて無料で相談を受け付けており、必要に応じて専門機関を紹介してくれることもあります。
経済的な不安がある場合には、公的支援制度についても教えてもらえるため、離婚後の生活設計を考えるうえでも役立ちます。
まずは自治体の窓口に相談するとよいでしょう。
信頼できる親族や友人
離婚を回避するためには、信頼できる親族や友人に相談することも大切です。
身近な人に話すことで、自分の気持ちを整理できたり、冷静なアドバイスをもらえたりすることがあります。
特に、共通の知人や親族であれば、相手との橋渡し役になってくれる可能性もあります。
ただし、誰に相談するかは慎重に選びましょう。
自分の味方になってくれる人がいれば、精神的な支えとなり、前向きに問題を解決するための力になります。
離婚したくないときに弁護士に相談するメリット
離婚を回避したい場合、弁護士に相談することで、法的に適切な対応ができるようになります。
ここでは、弁護士に相談することで得られる具体的なメリットについて解説します。
自分に代わって配偶者と冷静に話し合いができる
離婚問題では、夫婦だけで話し合うと感情的になり、冷静な議論が難しくなることがあります。
弁護士が間に入ることで、適切な形で相手と交渉し、関係修復の余地を探ることができます。
特に、相手が感情的になっている場合や、話し合いに応じてくれない場合、弁護士が代理人となって対応することで、落ち着いた話し合いの場を作ることが可能になります。
専門的な視点から、問題解決のための具体的な方法を提示してもらうこともできます。
離婚調停や裁判での対応をサポートしてもらえる
話し合いだけで解決しない場合、離婚調停や裁判に進むことになります。
調停では、裁判所が間に入って話し合いを進めますが、自分一人で対応すると、適切な主張ができず不利な立場に追い込まれることもあります。
弁護士に依頼すれば、調停や裁判の手続きをスムーズに進めることができ、効果的な主張を組み立てるサポートを受けられます。
調停や裁判は時間がかかることが多いため、弁護士のアドバイスを受けながら、長期的な対策を考えることが重要です。
「家事調停を弁護士に依頼するメリットは何か」の記事も参考にしてください。
夫婦関係修復に向けたアドバイスがもらえる
弁護士は、離婚問題を解決するだけでなく、夫婦関係を修復するためのアドバイスを提供することもあります。
法律的な観点から、夫婦関係の改善につながる選択肢を提示し、どのように行動すれば関係が修復できるかを助言してくれることがあります。
特に、相手の離婚理由に対して改善の余地がある場合、どのような努力をすれば相手の気持ちが変わるのかを具体的に指導してもらえることもあります。
弁護士の介入によって、関係修復のための適切な対応を取ることが可能になります。
離婚したくないときのよくある質問
自分が悪いけど離婚したくない場合の対処法は?
浮気や暴言など、自分に非がある場合でも、離婚を回避できる可能性はあります。
まずは誠実に謝罪し、具体的に改善する姿勢を示すことが重要です。
夫婦カウンセリングを利用することで、相手の気持ちが変わる可能性があります。
すぐに関係を修復するのは難しくても、時間をかけて努力することで、再び信頼を築くことができるかもしれません。
離婚したくない妻と離婚する方法は?
夫側がどうしても離婚したいのに、妻が拒否している場合、話し合いを重ねることが大切です。
離婚には法的な要件があるため、性格の不一致だけでは裁判で認められにくいケースもあります。
円満な関係を維持しつつ、調停を利用して冷静に話し合うことで、双方が納得できる解決策を探ることが可能です。
無理に離婚を進めるのではなく、時間をかけて理解を得ることが重要です。
「早く離婚したい!夫や妻とすんなり離婚するには」の記事も参考にしてください。
離婚したくない場合に調停は有効か?
離婚調停は、夫婦間の話し合いをスムーズに進めるための場ですが、離婚を回避する手段としても有効です。
調停委員が中立の立場で意見を整理し、関係修復の可能性についても話し合うことができます。
相手が一方的に離婚を主張している場合でも、調停で自分の意思を伝えることで、離婚を踏みとどまる可能性があります。
まとめ
離婚を避けたい場合、冷静に話し合い、夫婦関係の改善に向けて努力することが重要です。
第三者の仲介や法的手続きを活用することで、離婚を回避できる可能性があります。
法定離婚事由がない限り、裁判で離婚が認められないこともあるため、法的に拒否することも可能です。
弁護士に相談すれば、適切な対策を講じながら関係修復の道を探ることができます。
自分にとって最適な方法を選び、後悔のない決断をしましょう。