ペットを飼っていた夫婦が離婚する場合、どちらが引き取るか揉めることがあります。
ペットは家族同然で、夫婦どちらもかわいがっていればいるほど手放したくない思いは強いでしょう。
この記事では、離婚をする際にペットはどちらが引き取るのか、解説します。
話し合いで決める際のポイントやよくある疑問とその回答も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ネクスパート法律事務所が
問題解決に向けて全力でサポートいたします
目次
離婚する場合ペットはどちらが引き取るか?
ペットは、法律上、物として扱われます。
そのため、現金や不動産と同じように財産分与の対象となり、どちらが引き取るかを話し合いで決める必要があります。
ペットがいつから飼われていたかは、どちらが引き取るかの決定に影響を与えますので、以下で確認しましょう。
婚姻前からペットを飼っていた場合
夫婦のどちらかが婚姻前からペットを飼っていた場合、財産分与の対象になりません。
もともとペットを飼っていた人の特有財産となるため、婚姻前から婚姻前から飼っていた人がペットを引き取るのが一般的です。
ただし、話し合いで合意ができれば他方が引き取ってもかまいません。
婚姻後にペットを飼った場合
婚姻後にペットを飼った場合は、夫婦の共有財産なので財産分与の対象になります。
どちらがペットを引き取るのか、現金や不動産と同じように話し合いで決定します。
離婚時にペットの引き取りはどのように決めるか?
離婚時にペットの引き取りはどのように決めるか、以下で解説します。
ペットに親権はなく物として財産分与の対象となる
ペットは、法律上、物として扱われているため、親権という概念はありません。
財産分与の対象となるものの、ペットは物理的に分けられないため、一般的にはペットを引き取る一方当事者が、他方当事者に対して、別の財産(ないしペットの対価)を渡すなどの方法が取られます。
どちらもペットを引き取りたいと話し合いが平行線になった場合、家庭裁判所に調停を申立てます。そこで調停委員に対して、自身がペットの飼い主としてふさわしいことを主張し、合意を目指します。
引き取りを決める4つのポイント
ペットをどちらが引き取るか、決めるために判断すべき4つのポイントを紹介します。
どちらに懐いているか
家にいる時にどちらのそばにいることが多いかなど、ペットがどちらに懐いているかで判断します。
ペットは些細な環境の変化にも反応します。今まで2人いた飼い主が1人になり、かつ懐いていないほうの飼い主に引き取られた場合は、ストレスを感じるでしょう。
双方がペットを引き取りたいと思っていれば、どちらも自分に懐いていたと主張するかもしれません。しかし、ペットの幸せを最優先に考えるためにも、日頃のペットの動きを見て冷静に判断しましょう。
どちらが主に世話をしていたか
どちらが主にペットの世話をしていたかで判断しましょう。
ごはんや散歩、体の手入れや動物病院へ連れていくなど、ペットの世話を中心となって行っていた人は、それらの飼育実績がペットへの愛情だと判断できます。
常に率先して世話をしていたのなら今後も飼育放棄をするリスクも低いとみなされるため有利に働きます。
経済的に余裕があるのはどちらか
経済的に余裕があるのはどちらかで判断しましょう。
ペットを飼うのはとてもお金がかかります。ご飯代やトリミング代、ノミ・ダニの予防、フィラリア予防など年間を通じてさまざまな費用がかかります。
最近はペットも高齢化が進み、高齢になれば病気やケガ、持病などで高額な治療費や定期的な薬代がかかるケースがあります。最後まで責任を持ってペットを飼える経済的余裕があるかどうかが重要なポイントとなります。
どちらがペットを飼育できる環境を整えているか
どちらがペットを飼育できる環境を整えているかで判断しましょう。
例えば、離婚後の住居がペットを飼える規約になっていることが最低限の条件となります。出張等が多くて家を留守にしがちな人は、ペットに寂しい思いをさせるかもしれません。
離婚に伴い実家へ戻る場合、実家にペットアレルギーの人がいるためペットを手放さなければならなくなると、ペットに対してあまりにも無責任な対応となります。
ペットが快適に住める環境であるかどうか、必ず確認をしてどちらが引き取るか決めましょう。
離婚時のペットの引き取りに関するQ&A
離婚時のペットの引き取りに関するよくある質問に対する回答を紹介します。
離婚後ペットと定期的に面会する約束は可能か?
離婚後ペットと面会交流ができる制度は法律上ありません。
ただし、家族同然で暮らしてきたペットと離れることはとてもつらいと思います。
ペットを引き取る人に対して、定期的に面会交流をしたいと申し入れてみましょう。合意が得られれば面会交流を実現できるでしょう。
子どもとの面会交流を決めるときと同じように、面会交流をする日時、頻度や方法、連絡方法などを明確にし、離婚協議書内で取り交わしておきましょう。
離婚時にペットの飼育費用の分担を求められるか?
離婚時に当事者同士で話し合い、合意が得られれば、ペットの飼育費用の分担を定められます。
ペットは法律上物と扱われるため、ペットを引き取る人が飼育費用を全額負担するのが原則です。ペットを引き取らない人に飼育費用を負担する義務はありませんが、お互い合意の上で飼育費用の分担を定めるのは自由です。
当事者同士で合意ができたら、離婚協議書に〈〇〇の飼育費用として、毎月〇日限り、月〇万円を支払う〉等、合意した内容を記載しましょう。
金額や支払期日を明記した離婚協議書を公正証書にして強制執行認諾条項をつければ、万が一飼育費用の未払いが生じた際に、裁判を経ずに差押えが可能です。
まとめ
ペットブームが続く中、離婚をした際にどちらかが引き取るかでもめるケースは意外に多いようです。「ペットと離れるのは絶対に嫌だ」、「ペットなしでは生活できない…」と考える方がほとんどだと思います。
ご自身の希望を通したい気持ちもわかりますが、家族同然に過ごしてきたペットが快適に過ごせることを第一に考え、どちらが引き取るのが最善なのか慎重に判断してください。
ネクスパート法律事務所には、離婚全般に強い弁護士が在籍しています。財産分与等でお困りの方はご相談ください。初回相談は30分無料ですので、お気軽にお問い合わせください。