離婚届は、夫婦だけでなく証人2人の署名欄が設けられています。

この記事では、離婚届を提出する際に証人は必要なのか、証人がいらないケースや証人になれるのはどんな人なのか、頼める人がいない場合の対処法等について解説します。

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離婚届の証人は必要か?証人がいらないケースもある?

協議離婚の場合は離婚届に証人が必要ですが、調停や裁判による離婚では離婚届に証人は不要です。

協議離婚は必要

協議離婚の場合は2名の証人が必要です。

協議離婚とは、裁判所を介さず、夫婦の話し合いにより離婚に合意し、届出をすることで成立する離婚です。この場合は2人の証人に署名をしてもらった離婚届を役所に提出しなければいけません。

協議離婚をする際になぜ証人が必要なのかというと、以下のような理由からです。

当事者が軽い気持ちで離婚するのを防止するため

当事者夫婦が軽い気持ちで離婚するのを防止するためといわれています。

一時の感情に任せて離婚届に記入する夫婦に向けて、証人欄を設けることで冷静に対応するのを促す目的があると思われます。

虚偽の離婚届の受理を防止するため

離婚届を受理する役所では、当事者に離婚の意思を確認しませんので、証人欄を設けることで虚偽の離婚届を防止する目的があると思われます。

調停・審判・裁判離婚の場合は不要

調停離婚・審判離婚・裁判離婚の場合は証人は不要です。

調停の成立や審判・判決で離婚が決まった場合、裁判所が証人となっていると考えられるからです。

離婚届の証人になれる人は?両親や友人夫婦に頼んでもいい?

18歳以上の成人であれば、離婚届の証人になれます

証人になるための特別な資格は不要ですので、一般的には両親や親しい友人夫婦に依頼する人が多いです。18歳以上であれば自分の子どもにも依頼できます。

離婚届の証人になってもらう人に何らかのデメリットはある?

離婚届の証人になる人にデメリットが生じることは基本的にありません。

夫婦の一方に離婚の意思がないと知っていながら証人になった場合には、虚偽の届出の証人として責任を問われる可能性はありますが、そのような事情がなければ、法的責任を負うこともありません。

ただし、次のような理由で離婚届の証人欄への署名を嫌がる人も一定数いるのも事実です。

証人欄に氏名や住所、本籍を記入しなければならない

氏名、住所、本籍などのプライバシーにかかわる情報を証人欄に記載するのに抵抗を感じる人がいます。

縁起が悪いと考え、精神的に負担を感じる

現在は離婚を否定的に捉える人が少なくなったものの、相変わらず離婚は縁起が悪いと考える人もいます。また、夫婦の争いごとに巻き込まれたくないと精神的に負担を感じる人もいます。

離婚届の証人は誰でもなれるものの、できる限り親族や離婚の経緯や事情を知っている信頼できる友人に依頼したほうがいいかもしれません。

縁起が悪いと断られた!離婚届の証人が見つからない場合の対処法は?

離婚届の証人が見つからない場合、どのような対処法があるのでしょうか?以下で解説します。

離婚届の証人代行サービスを利用する

離婚届の証人代行サービスを利用する方法があります。

行政書士などの専門家や業者の人が有料で離婚届の証人になるものです。

依頼先に申し込みをして、離婚届を郵送で送りやり取りする方法が多いようです。手数料は3千円から1万円と幅があり、専門家に依頼すると高くなる傾向があります。

離婚届の証人を依頼することは、プライバシーにかかわる情報が知られることになりますので、手数料の安さに惑わされずに信頼できる専門家や業者を選択しましょう。

協議離婚を弁護士に依頼している場合は弁護士に相談してみる

協議離婚の交渉を弁護士に依頼している場合は、弁護士や事務職員が証人になってくれることもあります。

依頼した弁護士に離婚届の証人になってもらえるかどうか相談してみるのもいいかもしれません。

なお、離婚届の証人欄への記載のみを依頼しても、引き受けてもらえるケースは少ないでしょう。

離婚届の証人欄を自分で書いたら罪に問われる可能性がある

離婚届の証人が見つからないことを理由に、勝手に証人欄に親族や知人の名前を書いた場合は、私文書偽造罪と同行使罪に該当するかもしれません。

離婚届を提出する際に、証人に関して身分証明書の提示などが求められるわけではないので、自分で書いてもわからないのではと考える人がいらっしゃるかもしれません。

しかし、このような罪に問われる可能性を考えて、勝手に人の名前を借りたり、代筆をしたりして証人欄に書くことは絶対にやめましょう。

まとめ

離婚届は夫婦のみが署名をして終わりではありません。協議離婚の場合は、必ず2人の証人がいるので、あらかじめ誰になってもらうか考えておくほうがよいでしょう。

親族には気まずくて頼めない、頼める友人がいないなど、難しい状況の方がいらっしゃるかもしれません。決して自分で代筆したりせず、行政書士等の専門家や代行業者に依頼してみましょう。