仕事で疲れて帰宅した際、専業主婦の妻が家事をしていなかったら、不愉快な気持ちになる人もいらっしゃるでしょう。「家にいるのになぜ家事ができないのか。」と不満が募り、離婚を考えるかもしれません。ただし、妻に離婚を切り出す前にぜひ行ってほしいことがあります。

この記事では、家事をしない専業主婦の妻との離婚の可否と、離婚を考える前にすべきことを解説します。

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家事をしない専業主婦の妻と離婚はできるか?

家事をしないという理由だけで離婚するのは難しいでしょう。

裁判で離婚が認められるには、以下のいずれかの法定離婚事由が必要だからです。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

家事をしないことは夫婦間の協力義務に反しますが、上記の1〜4に該当しないことは明らかでしょう。5についても、家事をしないだけで認定されることはまずありません。

夫婦の一方が家事をしなくても婚姻関係は継続可能だと考えられますし、話し合いで家事分担に応じる可能性があるからです。他の事情と併せて法定離婚事由に該当するケースはありますが、基本的には家事をしないことだけで裁判上の離婚が認められる可能性は低いでしょう。

したがって、妻が家事をしないという理由で離婚したい場合には、まずは夫婦の話し合いで離婚の合意を目指すのが重要です。

家事をしない専業主婦の妻と離婚を考える前にすべきことは?

家事をしない専業主婦の妻と離婚を考える前に、ぜひ行ってほしい4つのことを解説します。

妻が家事をできない事情を抱えていないか確認する

妻が家事をできない事情を抱えていないかどうか、話し合いをして確認をしましょう。
例えば、育児が大変で追い詰められている様子はないでしょうか?

子育ては一瞬たりとも目が離せず、子どもが起きている時間はつきっきりで相手をしなければなりません。掃除、洗濯、料理をするのも子どもを中心にスケジュールを立てなければいけません。子どもが寝たタイミングでたまっていた家事をやろうとしたところ、子どもが起きてしまったために家事を途中であきらめて放置するのも珍しくないという人も多いといいます。妻は家事をしないのではなく、できないのです。

こうした事情が重なり、自分は家事も育児もまともにできないと自己嫌悪に陥り、育児ノイローゼになってしまうケースもあります。家事をしていないから怠けていると考えるのではなく、妻が何か悩みを抱えていないか、話を聞いてあげてください

妻に完璧な家事を求めすぎていないか考える

専業主婦である妻に完璧な家事を求めすぎていないか、考えてみましょう。

家事は思っている以上に重労働です。現代は家電に頼れるものの、掃除や洗濯はいくらやっても終わりが見えません。男性が育児休暇を取り、あまりにもやることが多く悪戦苦闘する姿を描いたテレビCMがありますが、実際に体験してみないと家事の大変さはわからないものです。その上、会社員のように休みはなく、毎日当たり前のようにやらなければならないため、モチベーションが上がらないときもあります。

子育てをしている場合は、思うように家事は進められませんし、子育て中でなくとも、掃除、洗濯、料理を完璧にこなすのは困難です。母親が完璧な専業主婦だったから妻にも同じように求めたいという考えは避けたほうがいいかもしれません。間違っても母親だったらこうしてくれるなど、比較する発言はやめましょう。

妻に専業主婦でいることを押し付けていないか考える

妻に専業主婦でいることを押し付けていないか考えてみましょう。
妻が働きたいと言った時、「子どもはどうするのか」、「家のことはできるのか」などとプレッシャーをかけた覚えはないでしょうか?

妻は仕事をしてキャリアアップをしていきたいと考えているかもしれません。仕事でブランクを作ってしまうと再就職が難しく、焦る気持ちから家事に身が入らなくなるケースもあります。育児中の場合は、ある程度の制限がかかりますが、仕事のブランクを作らないために時短で働く方法があります。子どもが生まれたから育児に専念しなければならないという考え方は、もはや一般的ではないかもしれません。

もし妻が働くことを希望しているのであれば、夫婦で話し合い、実現できる方法はないか検討してみましょう。たとえ働くことがかなわなくても、妻は一緒になって考えてくれた夫に感謝の気持ちを持つことでしょう。

家事代行など第三者の助けを借りる

体調不良などで家事が負担になる場合は、思い切って家事代行などの第三者の助けを借りましょう。

妻は、「専業主婦なのだからすべて自分でやらなくては・」とプレッシャーに悩んでいるかもしれません。最近はリーズナブルな価格で家事代行を行っている業者がありますので、妻をプレッシャーから一度解放してあげましょう。

家事に対して苦手意識がある人も一定数いらっしゃると思います。一生懸命やっているけれど効率的に家事が進められない、あるいはうまくできない人にとって、家事代行の仕事ぶりをそばで見るのは意味のあることです。家事代行を依頼するのを出費だと思わずに、家事を学ぶ授業料だと思えば良いのではないでしょうか。

話し合いで解決できない場合は弁護士に相談を!

家事をしない専業主婦の妻と離婚を考えたものの、話し合いをしても解決ができない場合は、弁護士に相談をしましょう。

離婚調停では、離婚調停では調停委員を通じて話し合いが行われる、証拠を示しながら自分の主張を説得的に伝えることが重要です。専業主婦の妻が家事をしないことを直接的な理由として裁判で離婚を求めるのは難しいですが、裁判官に「離婚を認めてあげることが、客観的にみて望ましいことだ」と思ってもらえれば、妻を説得してもらえる余地はあります。

それには、あなた自身もきちんと家事を分担しているのに妻は家事をしないことや、妻が家事をしていないことの証拠(荒れ放題になっている部屋の写真など)が最低限必要だと思われます。

弁護士であれば、あなたが置かれている状況から以下の見通しを立て、最善の解決策を検討し、より良い解決へと導くために、適切なアドバイスができます。

  • そもそも法律上離婚が認められる事案か
  • 妻が離婚に応じない理由は何か
  • どのように進めればスムーズな離婚が可能か

離婚問題に詳しい弁護士が入ることで話し合いが進展することも、少なくありません。

まとめ

専業主婦は1日中家にいるから楽だと考えている人は一昔前に比べると少なくなりましたが、まだまだいらっしゃるようです。365日休みなくこなさなければいけない家事は、終わりがなく、達成感が得られづらい仕事といえます。

専業主婦になったからには家事を完璧にこなしたいと意気込んだものの、挫折する女性は少なくありません。家事をしない専業主婦を頭ごなしに責めるのではなく、一度向き合って話し合ってみましょう。妻は家事ができない何かを抱えているかもしれません。

どうしても家事をしない専業主婦に我慢ができない、さんざん話し合ったけれど妻が全く話を聞き入れてくれないなど、離婚に向けて行動を起こしたいと考えているなら、早い段階で弁護士に相談をしましょう。その際にはぜひ、過去に離婚案件を多く手掛けてきた弁護士を選んでください。

ネクスパート法律事務所には、離婚全般に詳しい弁護士が在籍しています。家事をしない専業主婦の妻と離婚をお考えの方は、一度ご相談ください。当事務所は、初回相談は30分無料となりますので、お気軽にお問合せください。