離婚後に養育費の支払いが滞り、生活に支障が出る人は少なくありません。元配偶者に連絡を取って督促をするストレスを感じている人もいらっしゃることでしょう。
こうした状況を避けたいと養育費保証サービスの利用を考えている人がいらっしゃるかもしれません。
この記事では養育費保証サービスとは何か、サービスを利用するメリットとデメリットについて解説します。
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目次
養育費保証サービスとは何か?
養育費保証サービスは、養育費の支払い義務者が支払いを滞納した場合、民間の保証会社が養育費を立て替えるサービスです。比較的新しいサービスなので初めて知る人もいらっしゃると思います。
養育費保証サービスの利用にあたっては、保証料の支払いが必要となります。
養育費保証サービスのメリットは?
養育費保証サービスを利用する主なメリットは、以下の2点です。
養育費の立て替えをしてもらえる
養育費の支払いが滞った場合、元配偶者に代わって立て替えをしてもらえる点です。
養育費の支払い義務者が意図的に養育費を滞納するケースがありますが、それ以外にも予期せぬ失業や病気で、養育費を支払いたくてもできない状況に陥ることもあります。そうした場合、養育費の支払い義務者に代わって養育費を立て替えてもらえるなら安心です。
ただし、保証会社が支払額の上限を設定しているケースがあるため、養育費滞納の心配が完全になくなるわけではない点に留意しましょう。
元配偶者と直接連絡を取る必要がなくなる
養育費の滞納が起きた場合でも、元配偶者と直接連絡を取る必要がなくなります。
遅延の度に元配偶者に直接連絡をして督促をしなければならないと、精神的なストレスを感じることもあるでしょう。
養育費保証サービスを利用すれば、保証会社が間に入るため直接のやり取りが避けられます。
養育費保証サービスのデメリットは?
養育費保証サービスにはデメリットもいくつかありますので、以下で解説します。
保証料がかかる
養育費保証サービスを利用するにあたって、保証料を支払わなければいけない点はデメリットといえます。
保証会社によっては、高額な保証料の支払いが条件となっているケースもあります。多くの場合、保証料は養育費の支払い義務者が負担するようですが、支払い義務者との間でその旨合意ができない可能性があります。
状況によっては、養育費保証サービスを利用するなら養育費を減額してほしいと要求してくる可能性がないとはいえません。
利用条件がある
養育費保証サービスを利用するためには、一般的に以下の条件を満たす必要があります。
- 養育費に関する取り決めをした合意書面があること
- 利用申込時に養育費の未払いが発生していないこと
上記①については、保証会社によって要件が異なります。債務名義(例:公正証書や調停調書など)が必要な場合もあれば、それ以外の書面でも可とする会社もあります。ただし、離婚協議書等で合意している場合や、保証サービスの利用について支払い義務者の同意を得ていない場合は、保証期間の上限が短くなる傾向にあります。
上記の条件を満たしていても、支払い義務者の所得や勤務先の状況によっては、保証会社の審査に通らない可能性もあります。
保証会社が倒産するリスクがある
保証会社が倒産するリスクがあります。
保証会社は公的機関ではなく民間会社なので、倒産しない保証はありません。養育費保証サービスの利用を検討している場合は、保証会社がどのような会社なのか、経営基盤はしっかりしているかなど事前に調査をしたほうがいいかもしれません。
倒産以外の理由で契約が途中で解約されてしまうリスクに備え、契約書の内容はしっかり確認しておいたほうがよいでしょう。
養育費の未払いが心配なら弁護士に相談を!
養育費の未払いが心配であれば、弁護士に相談することをおすすめします。
養育費保証サービスに関しては、弁護士法72条と73条に違反しているのではないかと指摘されています。
養育費に関して元配偶者と交渉することや取り決めたことを文書にすることは、法律事務に該当し、弁護士の独占業務となります。仮に保証会社がこのようなサービスを行っていれば、弁護士法違反になります。
このように養育費保証サービスは弁護士法違反が指摘されている点がありますから、養育費の支払いについて不安があれば弁護士に相談をしたほうがよいでしょう。
なお、日本弁護士連合会は、2020年11月17日付で法務大臣に養育費不払い解消の方策に関する意見書を提出しておりますが、その中で、保証会社の業務内容・広告の妥当性・保証債務の履行状況等の検証も不十分であることから、保証会社の利用は推奨できないとしています。
参考:日本弁護士連合会:養育費の不払い解消の方策に関する意見書 (nichibenren.or.jp)
まとめ
養育費の滞納は、ひとり親世帯にとって深刻な問題です。リスクに備えてあらかじめ対策を練っておきたいと養育費保証サービスの利用を検討している方もいらっしゃるでしょう。最近では保証料の一部を補助する自治体があるようですが、養育費保証サービスの事業参入基準の設定や不適切なビジネスを防止する監督体制が整っていないことも指摘されています。
保証会社の業務形態等によっては弁護士法に違反する可能性もあるため、保証サービスの利用は慎重に検討した方がよいでしょう。
養育費の未払いの不安があれば、弁護士に相談をしてください。
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