内縁だったカップルが関係を解消する際、法律婚と同様に財産分与の請求ができるかどうかは気になるところです。

この記事では、内縁関係を解消する際に財産分与の請求が可能か、できるのであればどのような方法で行うかについて解説します。

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内縁関係を解消する際に財産分与は可能か?

内縁のカップルでも関係を解消する際には、財産分与の請求が可能です。

婚姻届を出してはいないものの、夫婦として協力し合い生活をしていたなら、婚姻に準ずる関係として一定の範囲で法律婚と同様の権利が認められるからです。

財産分与の割合も、法律婚と同様に原則2分の1ずつとなります。

内縁関係だったことを証明する方法は?

内縁関係の解消に伴う財産分与請求に際して、相手が内縁関係を否定する場合には、内縁関係が成立していたことを証明しなければなりません。

内縁関係の成立が認められるためには、以下の要件を満たしていることが必要です。

  • 双方に婚姻の意思があったこと
  • 夫婦同然の共同生活を送っていたこと

内縁関係の成立を証明できる可能性がある5つの資料を紹介します。

内縁関係の証拠は多くある方が望ましいと考えられます。以下に掲げた資料以外で証拠になるかどうか分からない場合は、弁護士にチェックしてもらうことをおすすめします。

住民票

住民票上の世帯が同じで、続柄の欄に、夫(未届)、妻(未届)などと記載されていれば、内縁関係を示す有効な証拠になり得ます。

健康保険証

内縁相手の健康保険に被扶養者として加入している場保険証は、内縁関係を証明する証拠として役立ちます。

健康保険法上、一定の条件を満たせば内縁関係でも被扶養者になるのが可能です。

そのため、被扶養者になれば、被扶養者と記載された健康保険証が交付されます。これが内縁関係を示すものとなり得ます。

同一世帯で生活を営んでいたことを証するもの

同一世帯で生活を営んでいたことを証明するものがあれば、内縁関係を証明できる可能性があります。

例えば、賃貸物件に住んでいる場合、賃貸借契約書の中で内縁の夫、内縁の妻と記載してあれば、内縁関係を証明するものとなります。

夫もしくは妻が扶養者として会社に申告している場合、給与明細書にも被扶養者と記載されるため、これも内縁関係を示す証拠となり得ます。

お互いの親族に夫婦として紹介されていたことが分かるもの

お互いの親族に挨拶をして、夫婦として紹介されていたり、夫婦と同様に扱われていたりした場合は、内縁関係であると証明しやすくなります。

例えば、冠婚葬祭に2人で出席し、親族と一緒に映った写真がある場合が該当します。

結婚指輪や結婚式や披露宴を挙げたことがわかる写真

結婚指輪結婚式や披露宴を挙げたことがわかる写真や書類がある場合は、お互いに婚姻の意思があることが読み取れるため、内縁関係が成立していたと判断されやすいでしょう。

内縁相手に財産分与を請求する方法は?

内縁関係を解消する場合、相手に財産分与を請求するには、どのような方法をとればいいでしょうか?以下で解説します。

話し合いで決める

2人で話し合って財産分与に合意できれば、財産分与が可能です。

法律婚と同様にまずは当事者で話し合いをしてみましょう。話し合いで合意できれば、どのような条件の財産分与でも有効です。

例えば、内縁関係を解消する原因が夫側にあった場合、同居期間中に築いた財産のすべてを妻に渡すことについて当事者双方が合意すれば、2分の1ずつの割合でなくても構いません。

家庭裁判所に調停を申し立てる

2人で話し合いをしても財産分与について合意ができなければ、家事調停・審判を利用できます。

内縁関係調整調停の手続きでは、内縁関係の解消だけでなく、解消に伴う財産分与や慰謝料に関する問題も一緒に話し合えます。

申し立てが受け付けられると調停委員が間に入って、調停成立を目指します。調停を成立させるには、2人が合意しなければならないため、合意に至らなければ調停不成立となります。

一般的に調停は、以下のような流れで進められます。

  1. 内縁の夫もしくは妻が、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをする
  2. 家庭裁判所から調停期日を知らせる呼出状が届く
  3. 1回調停期日を迎える(以降、数回にわたって調停を行う)
  4. 双方が合意できれば調停成立で終了

内縁関係解消調停が不成立で終了した場合は、調停に代わる審判手続きとして、家庭裁判所の審判によって内縁関係の解消を判断することになります。

この場合、内縁関係解消調停に附帯して申し立てた財産分与請求については、同じく調停に代わる審判手続きで審理されることもありますが、調停に代わる審判は、審判日から2週間以内に異議申し立てがあると効力を失うため、当事者間に争いがある場合は、別途財産分与調停・審判手続きでの解決を図ります。

なお、財産分与を請求できるのは、内縁関係を解消した日から2です。

内縁相手が死亡した場合に財産分与請求は可能か?

内縁相手が死亡したことによって関係が解消される場合は、財産分与の請求はできません

そもそも財産分与は、民法の規定に基づき離婚の財産的効果として、一方の請求により婚姻中に協力して蓄積した財産を清算し分与することだからです。

法律婚であれば、夫もしくは妻が亡くなったら相続人になれますが、内縁の夫もしくは妻は相続人になれません内縁相手が亡くなった場合は、財産は法定相続人が受け取ることになります。

内縁の夫や妻に自分の財産を確実に残したいと考えるなら、遺言書を作成しておきましょう。その際には、内縁の夫や妻の法定相続人から、遺留分の侵害について訴訟を提起されるといったトラブルに巻き込まれないためにも、弁護士に相談しながら遺言書を作成したほうがよいでしょう。

まとめ

内縁関係を解消する場合、籍を入れていなかったからできないのではないか…と考えるものが多いと思います。その中の一つが財産分与ですが、内縁関係の解消時も、離婚時と同様に財産分与を請求できます。

財産分与の請求ができるからといって、2人で話し合いをして合意できるとは限りません。相手が関係性を否定する場合は、内縁関係の成立を示せるもの必要になることも覚えておきましょう。

話し合いがスムーズに進まない場合は、早めに弁護士に相談をして代理人として交渉してもらうのがよいと思います。法律婚じゃないから…とあきらめずに弁護士を頼りにしてください。

ネクスパート法律事務所には、離婚や男女問題を多く手掛けてきた弁護士が在籍しています。内縁関係の解消やそれに伴う財産分与についてお悩みを抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。