離婚理由の1つにDVが挙げられます。
しかし、DVを理由とする離婚には、不貞などとは異なる難しさがあります。
今回はそのような点も踏まえて、DV離婚で争点になる事情やこれを回避するために必要なことなどについて解説していきます。
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目次
DVとは何か
DV離婚の争点について解説する前に、そもそもDVとは何かについて解説します。
多くの方が、DVと聞くと、身体的な暴力をイメージすると思われますが、法的には、DVには以下の6種類があるとされています。
身体的暴力
殴る蹴る、首を絞めるなど、肉体的に直接的に有形力が行使されるケースを指します。
精神的・心理的暴力
暴言や嫌がらせ、中傷、無視、脅迫など主に言動により精神的に苦痛を負わせる類型です。
性的暴力
望まない性行為を行ったり、見たくないのにポルノ映像などを見ることを強要したりする類型です。
経済的暴力
生活費を渡さない、勝手に配偶者の預貯金を使う、配偶者名義で借金を作るなどの類型です。
社会的隔離
親族や友人と会わせない、外出を禁止する、メールや着信履歴を執拗にチェックするなどして、自分以外の外部の人間との交流を断たせようとする類型です。
子どもを使った暴力
子どもに相手を攻撃させたり、子どもの目の前で相手を誹謗中傷したり、子どもを利用して間接的に嫌がらせをする類型です。
子どもに対する虐待にも該当する可能性があります。
争点になり得る事項|①DVそのものがあったかどうか
DVに基づく離婚の事案で争点になり得る事項のひとつめは、DVそのものがあったかどうかという点です。
DV被害者がDVをされたことを主張しているにも関わらず、相手方がこれを否定してくるというケースです。
実はこのようなことが争点化することは少なくありません。
先の類型からもわかるとおり、DVは客観的な証拠が残りにくい類型です。
身体的な暴力のケースでも、傷跡が残らないように暴力を振るったり、被害者を脅迫して傷が残っている間に病院を受診できないようにされたりして、証拠が残らないことが少なくないのです。
そのため、加害者がしらを切ってDVを否定してくるケースが少なくありません。
争点になり得る事項|②DVに理由があるかどうか
ふたつめは、DVに理由があるかどうかです。
DV自体の証拠が残っているときでも、それをしたことについて正当な理由があると加害者が主張し、自身の責任を否定するケースです。
例えば、被害者を殴ったことは認めるけれども、被害者が自分に対して口ごたえをして言うことを聞かなかったからだと主張するケースや、外出を禁止するのは浮気の疑いがあるからだなどと主張するケースが挙げられます。
しかし、DV加害者が主張してくるDVの理由が正当なものであることはほとんどなく、正当な理由のように一見見えることでも、その証拠がないことも少なくありません。
争点になり得る事項|③慰謝料の金額
DV加害者がDV自体を認めても、慰謝料の金額について争ってくることも少なくありません。
DVの慰謝料は、DVの内容や期間、頻度、それによりどの程度の苦痛を被ったかなどにより決まりますが、例えば、DVの期間を短く、頻度を少なく、DVの程度を弱いものとして主張して、加害者側が慰謝料の金額を低いものにしようと争ってくることも少なくありません。
争点を生じさせないために必要なこと
以上のような争点を生じさせないために必要なことは、なんと言っても証拠をそろえることです。
DVを理由として離婚を求める場合、DVがあったことやその内容については、離婚を求める側が立証する必要があるからです。
確かに、殴ったり蹴られたりしている現場を録画しておくことや、暴言を吐かれているときに録音をすることは現実的ではありません。外出の禁止などは客観的な証拠をそもそも残しにくいものです。DVの証拠をそろえることはそれほど簡単なことではないといえるでしょう。
しかし、範囲を広げて考えれば、証拠をそろえることは可能です。
例えば、暴力によりけがをした場合には、病院に行って診察を受ける場合に、DVによってけがをしたことを申告すれば、カルテにその記録を残してもらえます。自治体や警察の女性センターに相談に行けば、相談の記録を残してもらえます。
離婚を請求しようとする場合に、配偶者からされたことが記載されている記録を取り寄せれば証拠の1つになります。
何かされるたびにメモをできるだけ詳しく書いて残しておくことも有効です。
一般的に証拠が残りにくいと言われているDVですが、あきらめる必要はありません。
まとめ
DVのやり口は姑息で卑劣なものが多く、その被害は第三者に伝えにくいものと言わざるを得ません。
そのために、上記のような争点が生じてしまうことが往々にしてあります。
しかし、コツコツと集められる証拠を集めていけば、離婚をすることができます。
当事務所では、DVの問題に知見が深い弁護士が在籍しております。
DVを受けて離婚したいと思っている方は、ぜひお気軽にご相談ください。証拠をどのように集めればよいか、それを根拠にしてどのような主張をすればよいかについてアドバイスすることができます。
どうぞお気軽にご相談ください。