配偶者の不貞行為が原因で離婚をするに至った場合、できるだけ多く離婚慰謝料を取りたいと考える人がほとんどだと思います。
この記事では、不貞行為を原因とする離婚慰謝料の相場と、相場よりも高額になるケース・低額になるケースについて解説します。
相場どおり受け取るためには何をすべきかについても紹介しますので、ご参考になさってください。
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目次
不貞行為に基づく離婚慰謝料の相場の金額は?
不貞行為に基づく離婚慰謝料の相場の金額は、50万円から300万円といわれています。
この相場は、過去の裁判例から導き出されたものであるため、訴訟による解決では、よほど特別な事情がない限り、相場から大きく外れた金額で決まることはないと考えておくと良いでしょう。
夫婦で話し合いができる状態で、互いに合意できるのであれば、必ずしも相場の範囲内の金額でなければならないわけなく、双方が納得いく金額を定められます。
離婚慰謝料の相場は年収500万円ならいくらと機械的に決まるものではない
離婚慰謝料の相場は、年収500万円ならいくらというように、機械的に決まるものではありません。
離婚慰謝料の金額は、不貞行為の期間や内容、婚姻期間の長さ等を考慮して決められるからです。
不貞行為による離婚慰謝料が相場よりも高額になるケースは?
不貞行為による離婚慰謝料が相場よりも高額になるケースは、以下の6つです。
それぞれ解説します。
不貞行為をした期間が長い
不貞行為をした期間が長い場合、離婚慰謝料が高額になる可能性があります。
不貞行為をしていた期間が〇年であればいくらという決まりはありませんが、長ければ長いほど配偶者の苦痛が大きいと評価される傾向にあります。
一般的に不貞行為の期間が年単位になると、長いとみなされます。
婚姻期間が長い
婚姻期間が長い場合、離婚慰謝料が高額になる可能性があります。
婚姻期間が長ければ長いほど、配偶者の不貞行為によって受ける精神的ダメージが大きいと考えられるからです。
未成年の子どもがいる
未成年の子どもがいる場合、離婚慰謝料が高額になる可能性があります。
不貞行為が幼い子どもを養育するにあたって悪影響を与えること、幼い子どもの育児中、配偶者に不貞行為をされた側への精神的苦痛が大きいと考えられるからです。
不貞行為の態様が悪質である
不貞行為の態様が悪質な場合、離婚慰謝料が高額になる可能性があります。
配偶者がいない隙を見て不倫相手を自宅に招き入れたり、不貞行為を二度としないと約束したにも関わらず約束を破ったり、不貞行為を責められて逆ギレをするなど反省の態度が見られない場合が該当します。
夫が10年間にわたり不貞行為を続け、不倫相手との間に子どもをもうけ、妻に生活費を渡さなかったとして1100万円の慰謝料が認められた判例があります(東京地方裁判所判決平成16年9月14日)。なお、別訴において、不倫相手に対しても慰謝料200万円の支払いが命じられています。
不貞行為が原因で精神疾患を患った
配偶者の不貞行為が原因で精神疾患を患った場合、離婚慰謝料が高額になる可能性があります。
配偶者の不貞行為によってうつ病と診断されるなどの事実があれば、考慮される可能性があります。
慰謝料を支払う側の収入や社会的地位が高い
慰謝料を支払う側の収入や社会的地位の高さによっては、離婚慰謝料が高額になる可能性があります。
社会的地位が高ければ高いほど分別のある行動が求められるため、慰謝料額の算定において考慮されることがあります。
慰謝料は懲罰的なものではなく、あくまで精神的苦痛を慰謝するものですので、支払う側の収入や資産によって当然に増額されるものではありませんが、支払う側に資力がある場合は、離婚慰謝料が高額になる傾向があります。
不貞行為による離婚慰謝料が相場よりも低額になるケースは?
不貞行為による離婚慰謝料が相場よりも低額になる可能性があるケースは、主に以下の6つです。
不貞行為をした期間が短い
不貞行為をした期間が短いと離婚慰謝料が相場よりも低額になる可能性があります。
不貞行為をした期間が短ければ、長いケースよりも受ける精神的苦痛は重くはないと判断されるからです。ただし、不貞行為の期間が短くても、その態様が悪質であったりする場合は必ずしも減額されるものではありません。
不貞期間が短いかどうかの判断や、慰謝料減額の要素となるかどうかは、婚姻期間と不貞期間を比較しながら検討される傾向もあります。
婚姻期間が短い
婚姻期間が短い場合は、離婚慰謝料が相場よりも低額になる可能性があります。
一般的に婚姻期間が1年未満であれば、離婚慰謝料が相場よりも低額になる傾向にあります。婚姻期間が5年のように短いとも長いともいえなければ、離婚慰謝料の金額を決める際に婚姻期間が考慮されない場合があります。
有責性が小さい
不貞行為をしたことの有責性が小さい場合は、離婚慰謝料が相場よりも低額になる可能性があります。
一時の気の迷いで一度きりの肉体関係を持ってしまった場合や、夫婦双方が不貞をしていた場合など他方の配偶者にも婚姻破綻の責任があった場合などが挙げられます。
未成年の子どもがいない
未成年の子どもがいない場合、離婚慰謝料が相場よりも低額になる可能性があります。
夫婦間に子どもがいない、すでに子どもが成人している場合は、不貞行為によって受ける精神的ダメージが重くないと判断される傾向があるからです。
不貞行為の相手から慰謝料を受け取っている
不貞行為の相手からすでに慰謝料を受け取っている場合は、離婚慰謝料が相場よりも低額になる可能性があります。
不貞行為の慰謝料は、不貞行為をした人とその相手から二重に受け取れないからです。
慰謝料を支払う側の収入や資産が少ない
慰謝料を支払う側の収入や資産が少ない場合、離婚慰謝料が相場よりも低額になるケースがあります。
収入や資産がないからといって、必然的に減額されたり、支払い義務が免除されたりするわけではありませんが、相手に支払い能力がないのが明らかな場合、ない袖は振れないため、履行可能性に鑑み相場よりも低い金額で合意せざるを得ないこともあるでしょう。
不貞行為の離婚慰謝料を相場どおり受け取るためにすべきことは?
不貞行為が原因で離婚慰謝料を請求する場合、不貞行為を証明できる証拠を複数集めておきましょう。
配偶者と不倫相手の間に肉体関係があったことを証明するのが重要です。
証拠として認められる可能性が高いのは、以下に挙げるものです。
- 配偶者と相手がラブホテルに入るところの写真や動画
- 配偶者と相手に肉体関係があることが分かるLINEやメール
- ラブホテルの領収書
- 不貞行為を認める発言をした音源
- 興信所の調査報告書
不貞行為に基づく離婚慰謝料は不倫相手にも請求できるか?
不貞行為に基づく離婚慰謝料は、配偶者に対してしか請求できません。
離婚をしなければならないのは、不倫相手にも責任があるのではないかと考える方もいらっしゃると思います。しかし、最高裁の判決では特段の事情がない限り、不倫相手に対して離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当であるとしています(最高裁平成31年2月19日判決)。
不倫相手は不貞行為を理由とする不法行為責任は負うべきですが、夫婦を離婚させたことを理由とした不法行為責任を負うことはないという判断です。
ただし、不倫相手が、不貞行為のみならず、夫婦を離婚させようと意図的に不当な干渉をした場合など、特段の事情がある場合は、離婚に伴う慰謝料の請求が認められる可能性はあります。
まとめ
配偶者の不貞行為を原因として離婚になった場合、悔しさが募りできるだけ多く慰謝料を取りたいと考えるのは自然なことです。相場どおりの慰謝料を得たいなら、配偶者の不貞行為を証明する証拠をできるだけ多く集めておきましょう。
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