面会交流を長く円滑に続けるには、トラブル防止のために父親と母親の間で、あらかじめルールを決めておくことが推奨されます。
この記事では、面会交流のルールの決め方と決めるべきルールについて紹介します。
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目次
面会交流のルールはどのように決めるか?
面会交流のルールを決める方法には、主に以下の2つがあります。
親同士が話し合う
離婚や別居時に親同士が話し合って、面会交流のルールを決めます。
のちのちトラブルにならないように、面会交流について合意した内容は、合意書を作成して双方が所持しておきましょう。
話し合いに合意できない場合は、面会交流調停を申し立てる
親同士が話し合っても、面会交流のルールについて合意できない場合があります。その際は、どちらかの親に対して、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てられます。
面会交流調停では、家庭裁判所の調停委員が間に入って、親同士が面会交流について話し合いをします。調停はお互いに争うのではなく、調停委員が双方の親の言い分を聞いて、合意を目指す手続きです。
場合によっては、調停委員だけでなく調査官がどのような面会交流をすべきか調査をしたり、試行的な面会交流が実施されたりすることもあります。
面会交流調停で合意に至らなければ、自動的に面会交流審判に移行します。審判になったら、調停で話し合った内容をもとに裁判官が面会交流の方法を決定します。
審判内容に不服がある場合、審判を言い渡されてから2週間以内に不服申し立て(即時抗告)ができます。
面会交流調停の詳細は、「面会交流調停とは|申立ての流れや調停で聞かれること」を、面会交流審判の詳細は、「面会交流審判とは何か?審判の流れと調停との違いについて解説」をご参照ください。
決めるべき面会交流のルールの例
両親がともに面会交流について不満を持たず、円満に行えるのが理想的ですが、現実問題として難しい側面があります。両親間に対立がある場合、子どもと一緒に生活する親は、面会交流をさせたくないと考える傾向があり、子どもと離れて暮らす親は、可能なかぎり面会交流をしたいと考えていることも多いです。
どのような内容のルールを決めるべきか、以下で例を挙げます。
面会交流の頻度
子どもと離れている親が、どのぐらいの頻度で面会交流をするか決めます。
子どもの年齢や意思を参考にして、月に1回、週に1回などと決定します。子どもの学校の都合や体調を考慮して無理のない頻度で決めなければいけません。
どのくらいのペースで行うのか決めておきつつ、子の状況や成長に合わせてその内容を変更するための協議条項を盛り込む方法もあります。
面会交流の頻度については、「面会交流の一般的な頻度はどのぐらいか?頻度を減らせるケースについて解説 」をご参照ください。
面会交流の時間・日程
面会交流の時間を決めておくことも重要です。開始時刻と終了時刻を決めておくことで、スムーズに面会交流を行えます。
毎月第1土曜日の9時から17時というように、具体的な内容で決める方法もあります。
日程を細かく取り決める必要があるか、あるとしてどのような内容とするのが適切なのかは、子どもの年齢、学校の予定、意思を尊重して決めなければいけません。
面会交流を行う場所
面会交流の場所を事前に特定しておくか、別居している親の意思に任せるかを決めます。
子どもが幼い場合は面会交流を行う場所を指定したほうがよいですし、同居している親が望まない場所や子どもの教育上好ましくない場所を避けたい場合は、事前に決めておいたほうがトラブルを避けられます。
ある程度のルールを取り決めておいて、子の状況や成長に合わせてその内容を変更するための協議条項を盛り込む方法もあります。
子どもの受け渡し方法
子どもが幼い場合は、どのようにして別居している親と待ち合わせをするか具体的に決めたほうがよいです。
誰が子どもを待ち合わせ場所まで連れていくのか、誰が迎えに行くのか、両親の間で合意できていなければトラブルが起きる可能性があります。
両親の諍いが激しく、お互いに顔を合わせたくないと考えている場合は、有料で子どもの付き添いなど面会交流の支援を行う団体があるので、相談してみましょう。
子どもが乳幼児の場合の面会交流の方法
乳幼児の場合、面会交流をするにあたって配慮すべき点が多々あります。
別居している親が一人だけで乳幼児と面会交流する場合、主に以下に挙げる懸念点があります。
- 同居している親と離れることで乳幼児が不安を感じる
- ミルクや離乳食を与えたり、おむつを交換したりする必要がある
別居している親は乳幼児の世話に不慣れなので、同居している親が同席するのが望ましいです。離婚や別居の経緯によって、顔を合わせるのが難しい場合は、どちらかの祖父母が同席するのをルールにするとよいでしょう。
乳幼児の面会交流にあたっては、どちらかの自宅を指定すると乳幼児が安心できる可能性が高いです。
乳幼児の面会交流は、両親から愛情を受けていると感じる機会となるので成長過程において重要です。たとえ離れて暮らしていても、親は自分を思っていてくれると感じられるのは、子どもの自己肯定感を高めるのに必要だからなのですが、子どもが不安を感じないように子どもの気持ちを第一にルールを決めましょう。
親が連絡する手段
面会交流をするにあたって、親同士がどのように連絡を取るか、手段を決めておいたほうがよいでしょう。電話、メール、LINEなどを利用して連絡先を確認しておきましょう。
直接やり取りをしたくない場合は、他の親族などに仲介をお願いするとよいかもしれません。
子どもの学校行事への参加の可否
子どもの運動会、学芸会、授業参観などの学校行事に、別居している親が参加していいかどうか、離婚時や別居時に決めておけばトラブルが避けられます。
宿泊を伴う面会交流の可否
子どもの夏休み期間などに、別居している親と宿泊を伴う面会交流を行ってよいかどうかを決めておきましょう。
同居している親は、宿泊を伴う面会交流を許可する場合、1泊2日までなど、条件を付けておくとよいかもしれません。
子どもへのプレゼントや小遣いの可否
別居している親が、プレゼントをあげたり小遣いをあげたりできるタイミングを決めておきましょう。
誕生日などの特別な日であれば良いですが、会うたびにプレゼントや小遣いをあげていたら子どもの教育上よくありません。
同居している親から教育方針に反すると抗議を受け、トラブルになる可能性もあるので注意しましょう。
SNS等を利用したやり取りの可否
子どもがメールやLINEなどのSNSで、別居している親とのやり取りをしてよいかどうか、決めておきましょう。
子どもがやり取りを希望している場合は、なるべくその気持ちに沿うように対応したほうがよいです。あわせてZoomやSkypeなど、顔を見ながら話ができるツールを利用してもよいか、取り決めをしておきましょう。
面会交流に祖父母が立ち会うことの可否
面会交流に祖父母が立ち会ってよいかどうか、あらかじめ決めておきましょう。子どもが祖父母に会いたがっている場合で父母間で合意ができていれば、祖父母が面会交流に立ち会うのは可能です。
その際には、子どもに対して一方の親の悪口を言わないなど、祖父母も正しい対応を心掛けなければいけません。
まとめ
面会交流は、子どもの成長や福祉にとって欠かせない大切なものです。離れて暮らしていても親から変わらぬ愛情を受けていると実感するために、長く定期的に行われるのが理想です。そのためには、離婚時もしくは別居時に、面会交流をどのように行うか、可能な限り詳しく取り決めておきましょう。
ネクスパート法律事務所には、離婚問題全般に精通している弁護士が在籍しています。
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