面会交流は離婚後もしくは別居中に、子どもと同居していない親が子どもと面会をして親子の交流をすることです。

面会交流をどのように行うかなど、詳細なルールは親同士が離婚時や別居時に話し合って約束ごとを決めます。

この記事では、面会交流でやってはいけない禁止事項とトラブルなく円滑に面会交流を続けていくために、親が気を付けるべき心構えについて解説します。

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面会交流の禁止事項|面会交流中に別居親がしてはいけないこと

面会交流を禁止・制限すべき事情となり得る行動として、面会交流中に別居親が絶対にしてはならない2つの行動について解説します。

正当な理由なく子どもを連れ去る

正当な理由なく子どもを連れ去る行為は、面会交流を禁止・制限すべき理由になります。

子どもの連れ去りのおそれのある場合、面会交流を認めることが子の利益に反する可能性があるからです。

面会交流をきっかけに子どもを連れ去って一方の親からの連絡を無視するのはもちろんのこと、当初決めたルールを守らず、時間通りに子どもを帰宅させない、予定とは違う行動をとって同居している親を不安にさせるといったことも面会交流を禁止・制限できる理由となり得ます。

正当な理由なく子どもを連れ去ってはいけません。

子どもに身体的・精神的暴力を加える

子どもに身体的・精神的暴力を加えることは、面会交流を禁止・制限すべき理由となります。

面会交流を行うことがかえって子の福祉に反する結果となる場合があるからです。

子どもに対してDVやモラハラをしていなくても、子どもの目の前で同居親に対して暴力をふるったり暴言を吐いたりしていた場合、子どもの心に深い傷跡が残っている可能性が高いです。別居している親の顔を見るのが苦痛で、子どもの心身に異常をきたしているかもしれません。

同居親に対する過去のDVの存在が直ちに面会交流の禁止という判断に結び付くものではありませんが、DV防止法に基づく接近禁止命令が出ているような場合には、面会交流が認められない可能性があります。

子どもが過去の経験などによって恐怖心から別居している親に会うのを拒否している場合は、子どもの年齢や暴力の程度、時間の経過、子どもが受けた心の傷の程度によっては、面会交流を禁止・制限すべき事由となることがあります。

継続的かつ円滑に面会交流を実現するための別居親の心構え

子どもと離れて暮らす親にとって、面会交流は子どもと接する貴重な機会です。継続的かつ円滑に面会交流を実現するために、親としてどのような心構えを持つべきか解説します。

子どもの予定や体調を配慮する

子どもの予定や体調に配慮した対応をとりましょう。

面会交流は子どもの権利であり健全な育成のために不可欠なものです。子どもの都合や気持ちを最優先するのが重要です。

子どもに会いたい気持ちは分かりますが、学校を休ませて子どもに会わせろと言ったり、子どもの体調が悪いのに無理やり会うのを強制したりするのは絶対にやめましょう。

開始時間・終了時間を守る

離婚時・別居時に約束した面会交流の開始時間と終了時間はきちんと守りましょう。

日頃から約束ごとを守っておけば、相手方から不信感を抱かれる可能性が低くなります。

交通事情などやむを得ない事情で子どもの帰宅時間が遅れそうな場合は、早めに連絡を入れて相手方を心配させない配慮も重要です。

同居親の承諾を得ず第三者を立ち会わせない

同居している親の承諾を得ずに第三者を立ち会わせるのはやめましょう。

時と場合によっては、中立的な立場の第三者が立ち合うのを条件に面会交流を行う場合がありますが、通常は同居の親が許可しない限りは、第三者を立ち会わせないようにしましょう。

たとえ自身の親(子どもにとっては祖父母)であっても、同居している親の承諾なしに立ち会わせるのはやめましょう。

子どもの前で同居親の悪口を言わない

子どもの面会交流で、同居している親の悪口を言わないようにしましょう。

離婚・別居の経緯によっては、相手への怒りがおさまらないことがあるかもしれませんが、それはあくまでも親同士の問題であって、子どもには関係ないことです。

親のいざこざに子どもを巻き込んではいけませんし、同居している親の悪口を言われた子どもは、嫌な気持ちになります。場合によっては、悪口を聞きたくないからという理由で、子どもが面会交流を拒否する可能性もあります。

長く子どもとの面会交流を望むなら、子どもの前で相手の悪口を言うのは絶対にやめましょう。

同居親に無断で子どもと約束をしない

同居している親に無断で、子どもと約束ごとをするのはやめましょう。

日頃一緒に暮らしていなければ、子どもの要望は何でも聞いてあげたいと思うかもしれませんが、その場で安易に引き受けるのはよくありません。

約束を果たせなかったら、子どもをがっかりさせてしまいます。子どもに何かを要求された場合は、「(子どもと同居している親と)話し合ってみる」と答えるのが賢明です。

同居親に相談せずプレゼントやお小遣いを渡さない

同居している親に相談せずにプレゼントやお小遣いを渡すのはやめましょう。

子どもを想ってしたことでも、同居している親の教育方針を乱す行為となりますし、悪気なくプレゼントやお小遣いを受け取った子どもが、とがめられる可能性があります。

良かれと思ってした行為が子どもを傷つける結果になるかもしれませんので、気を付けましょう。

面会交流を円滑にするために同居親が気をつけるべきこと

面会交流を行うにあたり、同居している親も気を付けるべきことがあります。

以下でそれぞれ解説します。

正当な理由なく面会交流をキャンセルしない

正当な理由なく面会交流をキャンセルするのはやめましょう。

面会交流は、子どものために行うものですので、このことを決して忘れてはいけません。子どもの体調不良などやむを得ない場合は仕方がないですが、事前に交わした約束はきちんと守りましょう。

やむを得ない理由でキャンセルする場合は、代替日の提案等も検討しましょう。

開始時間を守る

親同士で決めた面会交流のルールにのっとり、開始時間は守りましょう。

子どもと離れて暮らす親にとっては、子どもと会える貴重な時間です。1分でも大切にしたいと考えているでしょうから、そうした想いは尊重しましょう。

子どもの前で別居親の悪口を言わない

子どもの前で別居している親の悪口を言うのはやめましょう。

離婚や別居をしているなら、相手に対して不信感や怒りはあると思いますが、それは自分の胸の内におさめておかなければいけません。子どもにとっては、どちらも大切な親だということを忘れないようにしましょう。

面会交流へ行く子どもに対してあからさまに不機嫌な態度を取らない

面会交流へ行く子どもに対して、あからさまに不機嫌な態度をとるのはやめましょう。

子どもにとっては月に数回の別居している親と会える機会です。楽しみにしているにも関わらず、同居している親に不満気な態度をとられると罪悪感を持ってしまいます。

ある程度の年齢になった子どもは、親の顔色をうかがっていろいろと気を遣う傾向があります。面会交流をしたくても同居している親に遠慮して、仕方なく拒否する可能性もあります。

そうなると子どもにとって悪影響がありますので、こうした態度をとるのはやめましょう。

面会交流のルール策定の際に父母間で禁止事項を定められる?

面会交流のルールを策定する際に、父母の間で禁止事項を定められます。

当事者間で行う協議はもちろんのこと、調停でも、ある程度柔軟に面会交流のルールを定められます。

例えば以下のようなルールです。

  • 祖父母を含めた第三者の立会の可否
  • 誕生日などの特別な日を除く通常の面会時にプレゼントやお小遣いを渡す可否
  • 子どもの前で互いに悪口を言わないこと

面会交流のルールは、分かりやすく詳細に決めておけばトラブルを避けられる可能性があります。

面倒かもしれませんが、面会交流でトラブルを起こさないためにも検討してみてください。

まとめ

離婚・別居後に行う面会交流は、子どものためと分かっていても、同居している親にとっては複雑なものかもしれません。いくら不満に思っても、その感情を子どもの前で出さないように心掛けましょう。別居している親も面会交流を末永く続けるために、勝手な行動をとるのは慎まなければいけません。

どちらの親も子どものためを思うならルールどおりに約束ごとを果たしましょう。

面会交流に関してトラブルが生じたら、弁護士への相談をおすすめします。ネクスパート法律事務所には、離婚全般に強い弁護士が在籍しています。初回の相談は30分無料で受けられるケースがありますので、お気軽にお問合せください。