離婚後はやらなければならない手続きがたくさんあります。一つでも忘れてしまうと生活に影響が出ることがあるので、確実に手続きを済ませましょう。
この記事では、離婚後に必要な6つの手続きと子どもがいる場合の手続きについて解説します。文末にチェックリストも設けましたので活用してください。
ネクスパート法律事務所が
問題解決に向けて全力でサポートいたします
目次
離婚後に必要な6つの手続きをリストアップ
離婚後に必要な手続きは、主に次の6つです。
- 姓の変更に関する手続き
- 住民票の異動届・世帯主変更の手続き
- 健康保険の変更手続き
- 国民年金の変更手続き
- 印鑑証明の氏名・住所変更の手続き
- 各種名義変更の手続き
姓の変更に関する手続き
結婚で姓を変えた人が、現在の姓をそのまま使いたい場合は、離婚の際に称していた氏を称する届を出す必要があります。
民法上、結婚で姓を変えた人は離婚をしたら原則旧姓に戻るとしているので、離婚届を提出したら自動的に旧姓に戻ります。
ただし、離婚届と同時に、あるいは離婚の日から3か月以内に離婚の際に称していた氏を称する届を出せば婚姻時の姓を名乗り続けられます。
届出は、届出人の本籍地又は所在地の市区町村の役所に行います。
届出に必要なものは、以下のとおりです。
- 離婚の際に称していた氏を称する届(全国共通の用紙なので、最寄りの役所またはwebサイトで入手可))
- 戸籍謄本(本籍地で届出する場合は不要)
住民票の移動届・世帯主変更の手続き
離婚によって引っ越した場合、住民票の移動届をしなければいけません。
同じ市区町村内での引っ越しであれば住民票登録をしている市区町村の役所に住民移動届を提出します。異なる市区町村へ引っ越した場合は、旧住所地で転出届、新住所地で転入届の手続きをします。
届出に必要なものは、以下のとおりです。
- 住民移動届または転出届・転入届(届出をする役所またはwebサイトで入手可)
- 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証・保険証・在留カードなど)
マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルでの来庁予定の申請等も可能です。詳しくは、以下サイトをご参照ください。
参考:引越し手続について | 引越し | マイナポータル (myna.go.jp)
転出、転入届は、転入をした日から14日以内に届け出なければならないと法律で定められているので余裕をもって行いましょう。
離婚後、あなたが住んでいた家に引き続き住む場合で、世帯主だった人が転居・転出するときは世帯主変更手続きが必要です。
健康保険の変更手続き
次に挙げるケースの場合には、離婚後、健康保険の変更手続きが必要です。
- 元配偶者の扶養家族になっていた場合
- 元配偶者を世帯主として国民健康保険に加入していた場合
元配偶者の扶養家族になっていた場合
元配偶者の勤務先の健康保険組合に扶養家族として入っていた場合は、離婚により被扶養者としての資格を喪失します。
そのため、離婚後すぐに働かない場合や自営業者として働く場合は、国民健康保険に加入しなければなりません。元配偶者の勤務先から交付される資格喪失証明書を添えて、市区町村の役所で手続きをします。
離婚後、自身の勤務先の健康保険組合に入るならこの手続きは不要です。
元配偶者を世帯主として国民健康保険に加入していた場合
元配偶者を世帯主とした国民健康保険に加入していた場合の手続きは、離婚後の住まいをどうするかによって異なります。
元の住まいに残る場合
離婚後、引っ越しをせず、元の住まいに残る場合は国民健康保険の世帯主変更の手続きが必要です。
この手続きは市区町村の役所で手続きをします。
異なる市区町村に引っ越した場合
離婚後に異なる市区町村に引っ越した場合は、旧住所地の市区町村の役所で国民健康保険の資格喪失手続きが必要です。
その後、新住所地の市区町村の役所で国民健康保険の加入手続きを行います。通常、この手続きは転入届と一緒に行います。
国民年金の変更手続き
元配偶者の扶養家族として厚生年金に加入していた人は、離婚後、以下のいずれかの手続きが必要です。
- 国民年金への加入
- 自身の勤務先の厚生年金への加入
離婚後、以下に該当する人はお住まいの市区町村の役所で国民年金への加入手続きを行いましょう。
- 自営業
- 無職
- 厚生年金に加入しないパートタイマー
- 学生 など
自身の勤務先の厚生年金に加入する場合は、勤務先が健康保険の手続きと同時に行います。
元配偶者の扶養家族として厚生年金に加入していなかった場合でも、離婚で氏名や住所が変更になった場合は手続きが必要です。
自営業者など第1号被保険者はお住まいの市区町村の役所に変更届を提出します。厚生年金に加入している会社員や公務員などの第2号被保険者は勤務先に変更後の氏名や住所を申し出なければいけません。
ただし、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば、原則、届出は不要です。
印鑑証明の氏名・住所変更の手続き
市区町村の役所で印鑑登録をしている人は、離婚で氏名や住所が変更になった場合、手続きが必要なケースがあります。
登録している印鑑は、住民票の氏名と文字が一致していなければいけません。そのため、離婚によって姓が変更になり、登録している印鑑と住民票の姓が一致しなければ印鑑登録は自動的に失効します。この場合は、新しい印鑑で再度登録申請をしなければいけません。登録印が名前だけであれば引き続き使用できます。
同じ市区町村内に引っ越して住所のみが変更になった場合は、引き続き印鑑証明の利用ができます。
異なる市区町村へ引っ越した場合は、引っ越し先の役所で新たに実印の登録を申請する必要があります。転入届と同時に印鑑登録申請をすればスムーズです。
各種名義変更の手続き
離婚によって氏名や住所が変更になった場合に、次に挙げるものの名義変更手続きが必要になるケースがあります。
- 不動産
- 自動車
- 預貯金口座
- クレジットカード
- パスポート
- 運転免許証
不動産
不動産を所有している人は、氏名や住所を変更したら住所変更登記と氏名変更登記を申請します。
2021年の不動産登記法の改正で2026年4月までに住所変更登記と氏名変更登記が義務化されると決定しています。具体的な施行日は未定ですが、氏名や住所変更後すぐに対応しておくのが望ましいです。
財産分与で不動産を取得した人は、財産分与を原因とする所有権移転登記をしたほうがよいでしょう。こちらは特に期限は設けられていませんが、ご自身の財産を守るために早めの対応をおすすめします。
自動車
自動車を所有している人が離婚した場合、2つのケースが考えられます。
一つは自動車の所有者は変わらないが所有者の氏名・住所が変更になった場合で、この場合は変更登録の手続きをします。
もう一つは、財産分与で元配偶者から自動車を譲り受けた場合、移転登録の手続きをします。
それぞれ提出する書類に違いがあるので、運輸局のホームページで確認をしましょう。
参考: Q1.自動車の名義変更や住所変更はどのようにすればよいですか? – 東北運輸局 (mlit.go.jp)
預貯金口座
氏名・住所を変更した場合、所有している預貯金口座の変更手続きが必要です。
口座の名義変更をしなければ、クレジットカードや光熱費などの引き落としができなくなる場合があるので、変更後すぐに対応しましょう。
クレジットカード
氏名・住所を変更した場合、所有しているクレジットカードの変更手続きが必要です。
最近はクレジットカードで光熱費など各種の引き落としをしている人も多いと思います。氏名が一致しないと引き落としができない場合があるので、変更後早めに対応しましょう。
パスポート
10年または5年の有効なパスポートを所持している人が氏名・本籍地を変更した場合、変更手続きが必要です。
切替申請または残存有効期間同一申請のどちらかを選択できます。
ただし、本籍地が同一都道府県内の場合、姓を変更したけれどローマ字表記に変更がない場合、現住所のみが変更になった場合は手続き不要です。
参考: 氏名や本籍などに変更があったとき|神奈川県パスポートセンター公式サイト (pref.kanagawa.jp)
運転免許証
運転免許証を持っている人は、氏名・住所・本籍地を変更したら変更届をしなければいけません。警察署、運転免許更新センター、運転免許試験場で手続きができます。
参考:警視庁
子どもがいる場合の離婚後に必要な手続きは?
子どもがいる場合の離婚後に必要な手続きは、主に以下のとおりです。
- 子どもの姓の変更手続き
- 学校関係の手続き
- 公的支援に関する手続き
子どもの姓の変更手続き
母親が旧姓に戻っても、子どもの姓はそのままです。母親と同じ姓を名乗りたい場合には、子どもの姓の変更手続きをしなければいけません。
流れとしては、親権者または本人(子どもが15歳以上の場合)が家庭裁判所に子の氏の変更許可を申立てて、認められた後に新たに作った戸籍に子を入籍させます。
先述したように、結婚によって姓を変えた人は、離婚をすると原則旧姓に戻りますが、離婚後3か月以内に所定の手続きをとれば、婚姻時の姓を名乗ることも可能です。子どものためにどうすべきか悩んでいるのであれば、よく考えて早めに決断をしましょう。
学校関係の手続き
離婚によって引っ越して子どもが転校するなら、以下の流れで学校関係の手続きが必要です。
- 現在通っている学校に転校を伝え、在学証明書等を交付してもらいます。
- 転校先の学校を調べます。基本的に引っ越しする住所の学区内にある学校になりますが、自治体のホームページで調べても分からない場合は窓口に問い合わせましょう。
- 転校先の学校が決まったら、転校の日程を早めに伝えましょう。
- 市区町村の役所で転入届をする際に、転入学通知書を交付してもらいます。転校前の学校から交付された在学証明書の提示が必要です。
- 転校先の学校で手続きをします。その際に在学証明書や転入学通知書が必要となります。
公的支援に関する手続き
離婚によって公的支援が受けられる場合があります。
子どもの生活に影響を与えることなので、条件を満たしているのであればもれなく手続きをしましょう。
児童手当
児童手当は、中学卒業までの児童を養育している人へ支給される手当です。
離婚によって児童手当の受給者が変更になる場合は、速やかに住所地の市区町村の役所で変更手続きをしましょう。
流れとしては、離婚前の受給者が児童手当受給事由消滅届を提出し、その後新たに受給者となる人が申請をします。
児童扶養手当
児童扶養手当とは、ひとり親世帯等の生活の安定と自立を促進するために設けられた手当です。
18歳に達する日以降の最初の3月31日までの児童を監護・養育している父、母、または父母に代わって養育している人に支給されます。一定の条件を満たせば受給可能で、申請した日の翌月分から支給されます。
参考: 児童扶養手当 東京都福祉局 (tokyo.lg.jp)
ひとり親家庭等医療費助成制度
ひとり親家庭等医療費助成制度とは、児童を監護しているひとり親家庭の母または父などに対して、国民健康保険等各種医療保険の自己負担分から一部負担金を除いた金額を助成する制度です。認定されたらひとり親医療証が発行されます。
参考: ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親) 東京都福祉局 (tokyo.lg.jp)
離婚後に必要な手続きチェックリスト
離婚後に必要な手続きをチェックリストとしてまとめました。手続きもれがないかどうか、チェック用に活用してください。
まとめ
離婚後によって氏名・住所・本籍地が変更になった場合や子どもがいる場合、さまざまな手続きをしなければなりません。市区町村の役所で手続きができるものが多いので、効率よく済ませられるようにスケジュールを立てて臨みましょう。