家庭の事情があり、孫を引き取って日常的に世話をしている方もいらっしゃると思います。

この記事では、祖父母が父母に代わって孫の親権者になれるのかどうかについて解説します。

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祖父母は原則として親権者になれない

法律上、親権者になれるのは父親と母親です。原則として祖父母は親権者にはなれません。

しかし、離婚や死別した息子や娘に代わって、孫を引き取り育てている祖父母は決して珍しいことではありません。孫を守るために親権者になることを望む人もいることでしょう。その場合、一体どうしたらよいのでしょうか。

孫を養子縁組すれば祖父母が親権者になれる

ここでは、孫を養子縁組すれば祖父母が親権者になれることについて解説します。

祖父母の立場では親権者になれませんが、孫と養子縁組すれば養親として親権を獲得できます。

孫を養子縁組する方法は?

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類がありますが、ここでは普通養子縁組の例で説明します。

孫と養子縁組するには、祖父母もしくは孫の本籍地か住所地の市区町村の役所に必要書類とともに養子縁組届書を提出します。養子縁組届書が受理されれば、養子縁組が成立します。

ただし、養子縁組には、以下の条件が必要です。

  • 当事者間に養子縁組をする意思があること
  • 養親が20歳に達していること
  • 養子が養親より上の世代の親族や年上でないこと
  • 養子となる者は養親の嫡出子または養子ではないこと

孫が未成年者の場合は、原則、祖父母の双方と養子縁組をしなければいけません。なぜなら未成年者を養子にするには、配偶者とともにしなければならないと法律で決められているからです(民法795条本文)。つまり祖父母のどちらかが養子縁組に反対しているなら、養子縁組ができません(配偶者の嫡出子を養子とする場合または配偶者がその意思を表示することができない場合を除く)。

未成年者を養子とする場合には、市区町村への養子縁組の届出の前に、家庭裁判所の許可を得る必要もあります(自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合を除く)。

孫が15歳未満の場合、注意すべき点は?

孫が15歳未満の場合、養子縁組をするにあたり注意点があります。

孫の法定代理人(親権者または未成年後見人)の承諾が必要

祖父母が15歳未満の孫を養子にするには、法定代理人(親権者または未成年後見人)が、養子となる者(孫)の代わりに養子縁組の承諾をします。たとえ孫が祖父母の養子になることを望んでいても、法定代理人の承諾がなければ養子縁組はできません。

法定代理人は、実父母であるのが通常ですが、父母の親権が停止されているときには、父母のほか監護者の同意が必要です。

孫に監護者がいる場合は、監護者の承諾が必要

孫が15歳未満で、父母が離婚していて親権者とは別に監護者がいる場合は、親権者だけでなく監護者の承諾も必要です。

祖父母が親権者に近い立場になるにはどうすればいいか?

ここでは、祖父母が親権者に近い立場になるための方法として、未成年後見制度について解説します。

祖父母が孫の未成年後見人になることで、親権者と同じような権利が認められます。

未成年後見人とは、未成年者の法定代理人であり、未成年者の監護養育、財産管理、契約等の法律行為を行える人です。

父母の死亡・行方不明等により親権を行う者がいない場合、家庭裁判所は申立てによって未成年後見人を選任しますので、祖父母が選任されれば、親権者とほぼ同様の権利が与えられます。未成年後見人になるのに、特別な資格は必要ありません。

孫の父母が健在でも、親権喪失や親権停止、管理権喪失の審判がされ、父母の親権が制限されたときは、家庭裁判所は、未成年者の親族等の申立てにより、未成年後見人選任の審判をできます。

孫の親権者になりたいと考えたときは、弁護士に相談・依頼を!

家庭の事情があって孫を引き取って、親権者になりたいと考えたら、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。孫の親権者になるには養子縁組することが近道ですが、それが叶わない場合でも、親権者に近い立場になるための未成年後見制度の利用を検討できます。

弁護士であれば、それぞれに合った方法を的確にアドバイスできます。

まとめ

孫を引き取り親同然に育てている方にとって、孫の親権者になりたいと思う気持ちはごく自然なことです。親権者になれるのは父母のみと法律上で定められているために、諦めている方がいらっしゃるかもしれません。

孫を養子縁組することで養親として親権者になれますし、それが難しい状況でも方法はあります。孫の幸せを願い、どうすればいいのか悩んでいる方は、ぜひ弁護士に相談をしてみてください。孫とともに平穏な生活ができる道筋を見つけるべく、弁護士は全力でサポートいたします。