離婚をする際には、養育費について話し合って金額や支払方法を決めておくことが大切です。養育費はどのようにして決めるのでしょうか?

今回は、養育費の決め方や話し合うべき事項を注意点とともに解説します。

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養育費とは何か

ここでは、養育費とは何かについて解説します。

養育費の具体的な費目は?

養育費とは、未成熟子(※)が社会人として独立自活ができるまでに必要とされる費用です。

養育費には、下記のように生存に不可欠な費用のほか、未成熟子がその家庭の生活水準に相応した自立した社会人として成長するために必要な費用が含まれます。

※未成熟子の範囲は、経済的に独立して自分の力だけで生活できることが期待できるか否かで定まるため、未成年者の範囲とは必ずしも一致しません。

衣食住のための費用

衣服代、食費、家賃などが該当します。

教育費

学校の授業料、教材費、クラブ活動費などが該当します。予備校や塾、家庭教師などの費用や受験料なども含まれることがあります。

医療費

通院治療費、入院費、薬剤費などが該当します。

養育費はいつまで受け取れるのか?

一般的に、養育費の支払義務の始期および終期は、請求した時(あるいは調停等の申立時)から子どもが成人に達するまでの期間とする扱いが多いです。

ただし、父母の学歴などの生活環境や資力により個別に定められるので、「大学またはこれに準ずる高等教育機関を卒業する日の属する月まで」とか、「満22歳に達する日に属する月まで」などの決め方もあります。

なお、20224月に成人年齢が18歳に引き下げになったので、養育費を取り決めるときは、この点も踏まえて終期を具体的に定めることをおすすめします。

養育費の決め方は?

ここでは、養育費の決め方について解説します。

養育費の取り決めは、当事者間の話し合いからスタート

養育費は、まずは当事者同士が話し合いをして、金額や支払い方法の合意を目指します。合意ができたら養育費についてどのような取り決めをしたか、書面に残しておきましょう。

養育費について取り決める事項

養育費を決める際には、最低でも下記の4つの事項を取り決めましょう。

  • 養育費の月額
  • 支払い期日
  • 支払い方法
  • 支払い期間

子どもを養育する上で、塾の費用や病気やけがでかかった治療費など予定になかった出費が発生することがあります。あらかじめこのようなケースを想定して、どのように分担するのか、決めておくのも有効です。

養育費の相場の金額は?

養育費の相場を知るにあたり参考にするのは、家庭裁判所の養育費算定表です。子どもの人数、年齢に従って算定表を選びます。

具体的には、算定表の義務者(養育費を支払う側)と権利者(養育費を受け取る側)の収入欄を給与所得者・自営業者の区別に従って、それぞれの年収額を探し、双方の線が交差する欄の金額を導き出します。この金額が、義務者が負担すべき養育費の標準的な月額です。

年収は、給与所得者は源泉徴収票に記載がある支払金額、自営業者は確定申告書の課税される所得金額となります。相手方の年収を把握していないと正しい金額を出せないので、相手方の収入を正確に把握しましょう。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所 (courts.go.jp)

養育費を決めたあとにすべきことは?

養育費について合意ができたら、その内容をもとに公正証書を作成することをおすすめします。

公正証書とは、公証人が作成する公文書で、私文書に比べて、権利義務に関する当事者の意思その他の事実が正確に記載されているという高い信頼性があります。公正証書に強制執行認諾文言を付すことで、将来養育費の不払いが生じた場合、裁判所の手続きを経ることなく強制執行の手続きがとれます。

養育費を決めずに離婚したらどうなるか?

ここでは、養育費を決めずに離婚したらどうなるかについて解説します。

協議離婚後に養育費の請求は可能

離婚時に養育費の取り決めをしなかった場合は、あとからでも請求できます。

詳細は、下記関連記事をご参照ください。

養育費はあとからでも請求できる?離婚後に請求する場合の注意点

養育費請求には時効があるので注意

養育費をあとから請求する場合は、消滅時効に注意しましょう。

養育費請求権は定期金債権にあたるため、月ごとに発生する養育費請求権は、支払期日の翌日から5年を経過すると消滅時効にかかります。

例外的に、調停・審判で過去の養育費(未払い分)の支払について確定的に取り決めをした場合は、その過去の未払い分の養育費請求権は、調停成立日または審判確定日の翌日から10年で時効消滅します。

当事者間で養育費を決められないときはどうすればよい?

ここでは、当事者間で養育費が決められないときはどうすればよいかについて解説します。

離婚前であれば、夫婦関係調整調停の手続きをする

離婚届を提出する前であれば、夫婦関係調整調停の手続きの中で養育費に関する話し合いをします。夫婦関係調整調停とは、離婚に伴う問題点を話し合う場で、子どもの親権者、面会交流、養育費、離婚に伴う財産分与、慰謝料について話し合えます。

離婚後は、養育費請求調停を申し立てる

離婚後、父母間の話し合いで合意できないときは、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てます。調停委員が両者の間に立って話し合いをするため、感情的にならずに話ができます。

調停で合意に至らない場合は、自動的に審判手続きへ移行します。家庭裁判所が、当事者の主張や提出した資料をもとに適正な養育費の金額を決定します。

養育費を決める際に弁護士に相談・依頼するメリットとは?

ここでは、養育費を決める際に弁護士に相談・依頼するメリットについて解説します。

相手とやりとりが不要となり、適正な養育費の交渉ができる

養育費の話し合いは、相手方とのやり取りが不可欠ですが、顔を合わせたくない人もいるでしょう。弁護士は依頼者の代理人として相手方と交渉できます。適正な金額で養育費を請求できるので、スムーズな解決を目指せます。

養育費の不払いへの対策ができる

養育費の不払いが生じた場合も、弁護士に依頼すれば相手方に支払いを促してもらえます。支払いに応じない場合には、履行勧告や履行命令、強制執行等の手続きによって、養育費の回収を図ります。

調停や審になった場合、代理人として任せられる

養育費について話し合いがまとまらず、調停や審判になった場合も、弁護士に依頼することで手続きを任せられます。

裁判所に提出書類の作成を任せられるほか、調停や審判を有利に進めるためのアドバイス、期日への同席などのサポートが受けられます。

まとめ

離婚をする際の決め事の中でも重要な事項といえる養育費ですが、納得のいく話し合いができるとは限りません。養育費について困ったことがあればすぐに弁護士に相談をしましょう。

ネクスパート法律事務所には、離婚案件を多数手がけている弁護士が所属していますので、お気軽にご相談ください。