「早く離婚をしたい!」と焦る気持ちから、養育費のことを取り決めずに離婚した方もいらっしゃるでしょう。そのような場合、あとからでも養育費を請求できるのでしょうか?
今回は、養育費を離婚後に請求する場合の注意点などを解説します。
目次
養育費はあとから請求できる?
ここでは、養育費は離婚後でも請求できるかどうかについて解説します。
養育費の取り決めをせず離婚してもあとから請求できる
離婚時に養育費について取り決めをしていない場合、あとからでも請求できます。
親は未成年の子どもを養育し、自分と同じ水準で生活させる義務があると民法で定められています。たとえ離婚したとしても親子の縁が切れるわけではありません。離れて暮らす子どもが親と同じような生活ができるように養育費を支払うのは、親として当然の務めです。
あとからでも離婚時にさかのぼって養育費の請求ができるか?
元配偶者が了承すれば、離婚時にさかのぼって養育費を受け取れることもあります。相手が任意の支払いに応じなかった場合は、家庭裁判所の調停・審判手続きを利用できますが、実務では、直接請求時あるいは調停申立て時から支払い義務が認められるのが一般的です。
離婚時から直接請求時あるいは調停申立て時までの過去の養育費は、実際に養育費の支払いを受けなくても生活ができた実績があるため、支払い義務が認められないことが多いです。
養育費の内容(金額・終期)の変更は可能か?
養育費を取り決めた後、再婚等により扶養家族に変化があった場合や収入に変化があった場合は、月々に支払う金額を増額または減額できるのでしょうか?
当初は支払い期間の終期を20歳までとしていた場合、大学に進学した場合は、22歳まで養育費の支払い期間を延長するといった変更は可能なのでしょうか?
養育費の支払い条件等について合意した後、父母双方の事情が変わった場合は、養育費の金額や終期を変更できることがあります。
ただし、養育費の減額・増額事情となりうる事情や支払終期を変更しうる事情が、合意時に予測できた範囲内の変化であれば、養育費の金額・終期の変更は容易には認められません。
合意時には想定できなかった事情が発生したときは、あらためて父母間で協議をし、あるいは、調停・審判を申し立てて、養育費の金額や終期の変更を求めます。
養育費の金額や支払期間の終期の変更の可否は、個々の状況を考慮して判断されます。ご自身のケースで変更が可能かどうかは、無料相談を活用して弁護士のアドバイスを得ることをおすすめします。
養育費をあとから請求する際の流れは?
ここでは、養育費をあとから請求する際の流れについて解説します。
相手方と話し合いをする
養育費をあとから請求するときは、まずは父母間での話し合いを試みます。
父母間で合意ができたときは、合意した内容を書面化し、公正証書を作成することをおすすめします。「債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した。」 との一文を付した強制執行認諾文言付公正証書を作成すれば、義務者が養育費の支払いを怠った場合に、家庭裁判所の調停・審判・訴訟を経ずに強制執行を申し立てられます。
養育費請求調停を申し立てる
父母間の話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、合意を目指します。それでも合意に至らなければ、審判で家庭裁判所に判断を委ねます。
養育費をあとから請求する際は消滅時効に注意
ここでは、養育費の消滅時効について解説します。
養育費をあとから請求する際に気をつけなければいけないのが消滅時効です。養育費請求権は定期的に一定の金銭等の支払いをさせることを目的とする債権なので、月ごとに養育費を請求できる権利が発生します。
父母間で養育費の取り決めをしている場合
父母間で養育費について取り決めをした場合(公正証書を作成した場合も含む)、支払期日の翌日から5年が経過すると消滅時効にかかります。
調停や審判で養育費の取り決めをした場合
調停や審判で過去の養育費の支払いについて確定的に取り決めをした場合、消滅時効は10年です。ただし、消滅時効期間が10年となるのは、調停成立時または審判確定時に支払期日が到来した分(未払い分)に限られます。
それ以降に発生する月ごとの養育費請求権の消滅時効期間は、原則どおり5年です。
養育費をあとから請求する場合、弁護士に相談・依頼するメリットは?
ここでは、養育費をあとから請求することを検討した場合、弁護士に相談・依頼するメリットについて解説します。
離婚時の話し合いの状況で柔軟な対応ができる
養育費をあとから請求するためには、まず元配偶者と会って話し合いをしなければなりません。弁護士に相談すれば、交渉時の注意点などについて適切なアドバイスが期待できます。
離婚時の話し合いの状況から、当事者同士での話し合いが困難に思われる場合には、弁護士による交渉代理あるいは調停・審判の申し立て等、最適な解決方法を提案してもらえます。
代理人として相手方と直接対応ができる
離婚した相手と顔を合わせたくない方もいらっしゃるでしょう。弁護士に依頼すれば、代理人として相手方との交渉の窓口になってくれるので、精神的な負担が軽減されます。
調停や審判になった場合、裁判所の手続きを任せられる
相手方との話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判手続きの利用を検討します。
弁護士に依頼すれば、家庭裁判所に提出する書類の作成や収集を任せられ、調停期日・審判期日にも同席してもらえます。
まとめ
離婚後に生活環境が大きく変わった場合、あとから「養育費を取り決めておけばよかった」と後悔する方も少なくありません。
「元配偶者と話し合いをすることが精神的に負担だから…。」と、養育費の請求を諦めてしまうのは子どものためにもよくありません。元配偶者と直接交渉をするのが難しい場合は、ぜひ弁護士に相談をして解決を目指しましょう。
この記事の監修弁護士

はじめまして。ネクスパート法律事務所 東京オフィス弁護士の石田志寿です。
これまで家事事件をはじめ、不倫慰謝料や離婚など男女問題に特化した事件に携わってまいりました。その中でも、夫婦関係や不倫問題のご相談は、法律論だけでなくお気持ちへの配慮が重要となる分野だと強く感じております。
私が大切にしているのは、まずお話を丁寧に伺うことです。ご相談者様が抱えている不安や葛藤を正確に理解したうえで、法的に適切かつ現実的な解決策をご提案いたします。
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